たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

思いっきり愛して、ずっとずっと抱きしめていてってばバカァ!「年刊中年チャンプ合併号」

中年先生(注・「中年」がペンネームです)の新刊が出た!出たよ!
もうー、前作が好きで好きで仕方なかったので、これは嬉しい。
というわけで色々書きます。
エロマンガ話なので収納。 
 
 
 
 
 

●やっぱりネジは飛んでいたさ!●

さて、中年先生の漫画の魅力の一つは、ヒロインのキャラ性です。
ヒロインの頭のネジが一本抜けているような、躁状態に近いテンションの高さ、ラブへの転げっぷりがもうーかわいいのなんの。
とにかく、恋愛に没頭しまくりなんですよ。
好きで、好きで好きで、好きで好きで好きで仕方ない!
そんな女の子たちが、かわいくないわけないだろう、そうだろう?

「うさぎとくま」より。
浪人生の主人公のことが好きで仕方ないみすずが、なかなか構ってくれなくていじいじしているシーンです。
もうーね、「好き」の弾丸なんですよ。
子供が「好き!」って言うとき、掛け値ないじゃないですか。理由も解説もない「好き!」じゃないですか。それなんですよ中年先生の描くヒロインの「好き!」は。
中年先生の描くヒロイン達は、好きが高まりすぎてボロボロとかなりの頻度で泣きます。それは上のコマのように寂し涙だったり、愛されていることを確認して至福を感じるうれし涙だったりします。
みすずはこの後、なぜ主人公が浪人したのかを聞いて、エッチしながら泣くんですよ。抱きしめられながら泣くんですよ。

「…じゃあ去年はみすずの事だけで頭いっぱいになって落ちちゃったのかーーーー。クマはーー」

愛されたい。
そんな寂しがり屋なヒロインたちは、抱きしめられてエッチされて、愛を受けまくります。そして嬉しくて、心の底から喜ぶんです。
まあ、言動がわりと子供っぽいのでネジがはずれているような印象はありますが、これひっくり返して考えると僕(読者)にしか見せてくれないあの子の本当の姿なんですよね。
 

●もっと愛して。●

ヒロイン達のなかには、横暴でわがままで自分勝手でマイペースな子もいます。
しかし基本的にこの作品集に出てくる女の子達は、みんな、主人公のことが大好きでしょうがないことが多いです。
たとえば、「うしろのメガネ太郎」という作品。主人公は全く冴えない男です。ヒロインは人垣が出来るほどの超美少女です。
ものすごい不釣合いなんです。なんでぼくなんか? 騙されてるのかな、おちょくられてるのかな、と読者にも感じさせます。
で、この子めっちゃくちゃわがままの塊みたいな子で、言うことが横暴。「一秒以内に来なかったら分かれる!いいの?」というメールを送るほどです。
一秒とか! 無理だから!
当然無理でした。
冗談で「無理でしたので悲しいですが受け止めます。さようなら」とメールを返した時の彼女の反応が、これですよ。

ボロ泣き。
いつも高慢で、気が強くて、人前では絶対弱みを見せないような彼女が、超ボロ泣きです。
なんでかって?
好きだからだよ! 好きになっちゃったんだからしかたないだろ!
女の子の好きが、溢れてます。あふれて洪水です。
その後、和解したあとの彼女のこのセリフ。

これを抱きしめずにいられようか。
男のほうがこういう時、一瞬びびりになるあたりもなんだか愛しい(男女とも)。
好きなんだよ、大好きになっちゃったんだもん、キスしてよ、抱きしめてよ、エッチしてよ。
 
中年先生の描く少女の「好き」は暴風のように激しいです。
男側が好きで、というのは当然あるんですが、それ以上に女の子の方の「好き」の比重がでかいんですよ。
「ゴッドオネイチャン」という作品では、お姉ちゃんがドMで弟にエッチなことを強要しまくるという、なんとも羨ましい設定なんですが、題名の通りやりすぎます。奔放になりすぎます。もう横暴でめちゃくちゃで、わがままの限りを尽くします。
だけど「恋人じゃないからね、好きになったり調子に乗んないでよ」とばっさり。
耐えかねた弟は、二ヶ月姉の元から離れてしまいます。もう無理だ、自分だってSなんだ、放置プレイしてやるよ!と。
ところが、二ヶ月して弟が帰ってきた途端、お姉ちゃんみんなの前でこれですよ。恥とかかなぐり捨ててこれですよ。

好きなんだよ! 好きなんだから! バカッ!!!!!
この中年先生の作品集は、女の子の「好き」が、エッチという形に昇華されて、ぎっちぎちに詰め込まれてるんだ。
 

●抱きしめたまま、離れたくないから●


田舎に泊まろう!」より。
男の子も当然彼女のことが好きなんですが、もう女の子側の好きが暴走して止まらなくなった状態です。
こたつの中で大ハッスル中なのを、見つけられそうになってどぎまぎするの図。
でもやめられない
いいね、若いね、かわいいね!
また男の子側が焦らすんですが、それを女の子側が無言で受け入れる、むしろ「もっと、もっと・・・!」というような流れでエッチに転がり込んでいくからたまりません。ほんにもうラブラブじゃけえのう。
 
この「好きだから密着していたい」という、女の子側からのアプローチが最強に出ていたのが「おまえにチェックアウト」という作品でした。
ヒロインの子、手を繋ぐのも苦手、キスをするのも苦手でずーっと距離を置きっ放しだったんです。でも、彼のことは好きだし、彼も愛して待ち続けてくれる。
そんな彼女が、ぽそっと言うんです。

エッチは出来ないだろうな、と諦めかけていた主人公。それに対して、女の子の方から心を、体を開いてくれた瞬間でした。
しかも「入れっぱなしにして欲しい」ですよ。
物理的に可能かどうかじゃない。
もうそういう次元じゃないよ。
好きだから、一緒にいたい方が100億倍上回っったんだよ。
それに対しての男の子と女の子の反応が胸を締め付けます。

今まで我慢していたから、の涙じゃないよ。
大好きな彼女が、心の底から自分を愛してくれていることに対する最高の喜びですよ。
三日間入れっぱなしとか、無理じゃね?とかそんなのもういいだろ、どうでもいいだろ、そうじゃないだろ。
密着、してたいって言ってくれたんだよ!!
 
中年先生の作品から吹き出す「好き」の台風。そして台風がもたらすセックスのエロティックさと愛情の津波
読み終わった後ここまで幸せになれるラブラブエッチものは貴重じゃないかと思います。
「いちゃいちゃラブラブものは見ていて幸せそうすぎてムカつく!」という人もいるかと思いますが、女の子がここまで、自分にだけ「好きなの、好きなの!」と言うのを見せてくれるのなら、許せちゃうんじゃないかしら。
あと、中年先生はオチが秀逸。笑いも欠かしませんし、余韻もいい。

先程の入れっぱなし三日間のあとがこんな状態。結局入れっぱなしでした。
しかも親を旅行に出してバレないようにしていたはずなのにバレバレ。
いいんじゃね、バカップルめ!
 

●中年先生の戦い●

ここからは、中年先生という作家さんに対しての僕の個人的な思い入れの話になるので、漫画にだけ興味ある人は読み飛ばしてください。
 
中年先生は以前、「年刊中年チャンプ」で堂々のデビューを果たし、一躍人気作家になりました。

 
頭のネジは最初から抜けっぱなしさ「年刊中年チャンプ」
明るいテンション、ネジの飛んだ女の子達、ラブラブ度のメーター振り切ったかわいらしさ、そしてこのふざけまくった表紙。
あまりにもキャッチー、あまりにも見ていて楽しい。しかも中年て。検索しづらいから。
 
ところがそれからぱたっと連載が止まります。
ここまで売れっ子になったらどこまでも描いてくれるのでは?と思った矢先でした。
勢いもあったし、漫画も最高に面白いし……なのになぜ?
 
今回のあとがきでそれが判明しました。
手術が必要なほどのご病気だったそうです。
命に別状はないとのことですが、体力的に漫画家を続けるのが難しいという旨が書かれていました。このへんは実際に読んでみてください。
体の具合の事に関しては、もう早く治るように祈るしか出来ないんですが、中年先生こんなことを書いておられます。

初期の作品など、今まで単行本に載らなかった作品を好きだと言ってくれている方には、どのような形(同人?)になるかは分かりませんが、今までの載ってない作品ほとんど全部をまとめた本を出そうと考えています。すいません。

なんかもう、この気遣いにぐあー!っと心持っていかれてしまって。
だってそれどころじゃないんですよ、病気の療養費もかかるでしょうし、なにより日々の生活もままならないでしょうし。
だけど、自分の作品を愛してくれるファンのことを思いやってくれるこの一言を書ける、そのサービス精神にぐっときてしまいました。
 
中年先生、まずはなによりお体をお大事にしてください。「戻ってきて欲しい!」というのはファンである自分の本音のわがままですが、なによりまずお体を。二冊の素敵な、大好きな漫画を読ませてくださったことを心から感謝しています。
そして休筆ということで寂しさはありますが、あなたが最後に書いてくださった大きな手書き文字、しかと受け止めました。
色んな素敵な「ありがとうございました」を見てきましたが、中年先生のこの「ありがとうございました!」は忘れない、忘れないよ!

それでもちゃんとふざけてくれる中年先生。
笑いどころばかりですが、一番下を目に焼き付けておきます。

年刊中年チャンプ、次号はいつか発売!?

約束出来ない体調なので、絶対に戻ると言えない辛さはあると思います。
でも「戻ってきたい」と願ってくださっている、それだけで僕は中年先生に感謝をしたい。むしろこっちからしたい。
ありがとうございました!
あなたのエロマンガが読めて、よかった! 
待ってる! 待ってるんだから!
 

 
ヘドバンしながらエロ漫画!  中年『年刊中年チャンプ 合併号』
頭のネジは最初から抜けっぱなしさ「年刊中年チャンプ」