学校の体育って人間関係を膨らませるためにあるんだぜ「みつどもえ２１０卵性」

マラソンはそんなに苦手ではなかったぼくです。
いや全然得意でもないんですが（体育２の俺に死角はないぜ！）球技ってチームスポーツじゃないですか。ああいう責任の伴なうものは怖いんですよ脚引っ張りそうで！　だけどマラソンなら一人だしいいかなー的な。
とはいえ好きなわけではないので拷問でした。なんでマラソンなんてするの？と聞きたくなりますが、まー普通「体力づくり」と答えますよね。実際そうですし、大人になってからだと「走っておけばよかったなあ」なんて思うんですがそんなのはあとの話。
　

●運痴さん達の心中や以下に●

例にもれずひとはは今回のマラソンも苦手なようでした。
水泳やバスケはもとより、体育会系あらかた駄目ですね。
ひとはと握手したいです（体育２の俺に（ｒｙ））。
ほんと体育が出来ないと憂鬱以外の何物でもないんです体育の時間って。今でこそ必要だったなあとかあのときちゃんと女の子たちの脚見ておけばよかったなあとか女の子の汗ですけたTシャツチェックしておくべきだったなあとか思うんですが、その時はそんな余裕すらなかったよ！
　
ほんと何のためにあったか、と言われると「体力づくり」なんですが、実のところそれだけじゃないんですよね。
詳しい話は後回しにして、運痴ぞろいの「みつどもえ」だとどうなるか見てみましょう。

運痴というか体が重くて前に進めない雌豚みっちゃん、そしてそれよりも遅い吉岡とひとは。
私一点非常に評価したいところがあります。
みつばは何も言わずに黙々と頑張ってるんですよね。

ひとはや吉岡が割とグチグチ言いながら拒絶しているんです。
まあこれが悪いわけではなく。「私、向いてないんだよね…」というのは割と普通の反応だと思います。マラソンやだー、無意味だー、というのもまた子供らしい反応です。
しかしだ！　みっちゃんは何の文句も言わずに走っている！
そうなんよねえ。みつばって意外とこういうところ律儀なんですよね。
宿題の絵日記もきちんと付けてますし（下手くそだけど）。
確かにみつばの汗は公害問題を起こすレベルでしたが、彼女の頑張りは評価したいのです。
　

●運痴さんたちの憂鬱●

さて、面白いのはこのマラソンを通じて、吉岡とひとはに連帯感が生まれていることです。
以前の「ひわいな本」問題などで杉崎とは連帯感を持っているひとはですが、吉岡とは積極的に会話しないというかかみ合わない子です。お互い嫌いじゃないけど好きでもないという感じでしょうか。でもお互い気にかけている存在である、というのがポイント。
え？宮下？　　それはどうかな。
おいといて。

ひとはと吉岡を中心に、しょうが隊の加藤さん、そして新キャラのメガネ本庄くんとおでぶ岡部君の男キャラ二人が集結しています。運痴チームです。
この図がもうね……以前からは考えられないよね。
初期はひとははクラスで話す相手すらいませんでした。自分から避けていたというか。
そのうちやべっちやチーム杉崎と仲良くなり始めます。みつごを通じずとも仲良く話せる仲になります、特に杉崎。
そして、今までそれほど親しくなかった吉岡、完全に接点のなかった加藤さん、さらに初登場の男子二人と話をしているというこの図。
ひとはは今、もうすでにクラスの中である程度の立ち位置が出来ているんです。

この２コマかわいすぎだよ。
吉岡と冗談を言い合える仲になっているというのは素晴らしいですな。
　
基本的に「みつどもえ」は丸井家＋チーム杉崎を中心に人間関係を描いていますが、ひとはにはひとはの、ふたばにはふたばの、みつばにはみつばの人間関係が出来ていて、それらは必ずしも噛み合わないというのが重要なところです。
今ここにいる吉岡・加藤・男子二人と、ふたばやみつばはきっとかぶらないでしょう。これはひとはのコミュニティなのです。
群像劇としての「みつどもえ」はさらに踏み込んで、男子二人、岡部くんと本庄くんにもスポットを当てていてちょっと感動してしまいました。
全員が悩んだり喜んだりしながら新しいコミュニティを作っていく、その過程のために体育の時間があると今になって思うのです。

このコミュニティはこの瞬間だけのものかもしれないけれども、人間関係を拒絶していたひとはにとって非常に重要な経験であることは間違いなし。
もう丸井家やチーム杉崎やしょうが隊というくくりは必ずしも必要じゃないのです。
加藤さんが出ているのは蛇足的にすら見えますが、実はしょうが隊もそれぞれ３人が別のコミュニティを持っているという証明の意味で重要なのです。
　

●２コマのテク●

今回非常に際立っていたのは、２コマをスムーズに流すことでネタを完成させている２コマセット描写が多いことでしょうか。
先程のひとはが照れている部分もそうですね。
あるいはギャグじゃないですがこことか。

実は後ほど重要になるコマです。
このように２コマワンセットで、その２コマセットの塊をブロックのように積み上げていくマンガの作り方をしています。
１コマ目がボケ、２コマ目がツッコミ、みたいな部分も。なので非常にテンポがよいです。
今までも多かった技法なんですが、今回特に目立っている感じがします。
今後もちょっとチェックしながら見てみたいところ。
　