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「アイドルマスター」15話、「楽しい」を見つける千早、もう一歩前進!

はじめてのアイマス。アニメ版「THE IDOLM@STER」で麺カタ辛め野菜ダブルにんにく脂増し増し(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
 
エキサイトニュース書かせていただきました。
アニメから入った人とか、全然アイマスわけわからんという人向けな感じの記事です。が、ちょっとネタは仕込んで見ました。探してみてください。
 
書きながら、アイマス記事って難しいよなあーとしみじみ感じていました。
というのも、幅があまりにも広い上に、アケマスからの人、ニコニコからの人、アニメからの人と層もバラバラ、メディアミックスって言葉それおいしいのってなくらい複雑化しているので、全く知らない人からしたら「アイマスって曲をかけると女の子が踊るんでしょ?」って質問があるくらい。どこから説明しようかと考えるとこりゃ難しい。
 
とりあえずは「面白そう」→「あ、このキャラ好きかも」というルートが個人的には楽しいと思うんですが(ゲームとしての面白さ、って人ももちろんいますよね)、その「面白そう」を15話は見事に作ったなーとしみじみ感じます。
 
生っすか!?サンデー番組サイト | アニメ「アイドルマスター」公式サイト
 
ほんとすごいよね!
まるまる、生放送看板番組にしてしまう、という発想自体が「なんだこりゃ!?」だし、しかも通なファンには分かるネタが、一見さんファンでも普通に楽しめるように自然に盛りこんである(中村先生の郵パックとか)。
もちろん「アイマス文化」を楽しんで来た人にはご褒美以外のなにものでもない回でした。
個人的にはここかなー。

あみまみちゃん。これみて「ウゴウゴルーガ」大好きっ子だったぼくはニヤニヤでした。
9話の真美の「もっと売れっ子になって、亜美と一緒に仕事できるように頑張るんだ!」がかなったね!
グレンラガンチームが総力結集した「キサラギ」は普通に見たいです。そしてarcadiaの豪華な無駄遣いっぷり。キサラギロボの「くっ」は耐えている音なのか、胸が平らなことに対してなのか気になるよ。
 
さて、15話のネタ探しはいろいろなサイトでやっていて、自分も「あ、これそうか!」とニヤニヤして見ていましたが、15話の面白いところは一人だけ視点が入っていることだと思います。
そう、他の子は全員出演者としての登場なんですが、千早だけは一人称視点なんですよね。
派手な演出の中、千早の心が動いたという点で大きな意味のある回でもありました。
ちょっと追ってみます。また千早の話だよ!
ネタバレ回避のため収納。
 
 
 

●メインパーソナリティ●

765プロの看板番組、って設定が面白いですよね。『竜宮小町』とかそういう枠もない。
小鳥さんの「生っすか!?」の録画記録を見てみると半年以上やっているようですが、途中でパーソナリティ交代した可能性も否めないので詳しくはわかりません。まあ、律子の「みんな大分慣れてきたわね」というセリフもあるので一回だけではなさそうです。
なんにしてもこれはすごいよ。Bランク以上ですか!?
あ、でも集団でだからちょっと質が違いますね。
で、見て欲しいのがメインパーソナリティです。

千早、春香、美希。
これは面白い。だって人気的には竜宮小町の方が上なのに、こっちの起用なんですよ。
そして、いろいろ考えた上でこんなに適任なのはない。
まずはおっちょこちょいだけど常時ポジティブな春香さん。これは他の人も、彼女の魅力だと言っています。みんなを動かすエンジンみたいな役回りですよね。
次に天才肌の美希。メンタル面で不安定だったり、突き抜けすぎてとんちんかんなことをやらかす危うさがネックですが、それを補って余りあるほどのアドリブ力を今回発揮していました。多分番組の主力というか、彼女無しにはこの番組成立しないはず。
最後に千早。ここに彼女を入れたことが、プロデューサー最大の功績だとぼくは思うのです。
きっちりしたまとめ役としてもそうですが、こういう番組でこそ彼女が成長するであろう、というのを見越して。
横に春香がいるのを見越して。
 
この番組自体は何回も結構やっているようですが、千早自体はまだ慣れていないようです。
正直バラエティ番組に出て頑張ろうとしているだけでも大した進化です。一話を思い出すとねえ。

一話の時、前座?を終えて他のバンドを見ていた千早の複雑な表情。
この頃と同じ気持ちのままだったら、きっとこの番組での司会はありえなかったでしょう。
今は、明らかに彼女は変わりつつあります。
彼女自身のがんばりと、みんなのパワーと、春香さんのおかげで。
 

●肩の力●

基本は「生っすか!?」そのものを番組として見せてくれているのですが、休憩シーンはほぼ千早の視点に切り替わります。
今回完全に彼女の視点しかない、というのは興味深いところ。
だよね。他の子も緊張はしているけど、基本吹っ切れていると言うか「がんばるぞー!」なんですもの、視点を入れても「がんばるぞー!」しかない。
だけど、千早だけはまだ吹っ切れていない部分がいくらかあります。
 
プロデューサーは「肩の力を抜いたほうがいいかもな」と言います。
サラっと言いますが、結構厳しい言葉ですよね。もちろん励ましの言葉なんですが、どちらかと言うと叱咤激励に近い。
がんばっているよ、でももうちょっと肩の力を「ぬいたほうがいい」、つまり、もっと良くなるよというのを暗に指摘しています。がんばってるね、ではない。
こんなん言われたら困惑しますよ。

その瞬間はよくわからなくて「はい」と答える優等生千早ですが、やっぱりこの言葉胸に刺さります。
プロデューサーさんが、これまでの14話分見てみて、適当なことを言う人間じゃないのがわかっているだけに。14話ではみんながプロデューサーに厳しい返しをするシーンがありますが、それに答えるだけの人間であるのも示しました。
そして自分で自分のネックになっているものがなんなのかわからないだけに。

一瞬置いてすぐ複雑な表情になります。
「肩の力を抜く」ってなんだろう?
 
対比になっているのは美希です。
美希は本当に努力家かつ天才肌、とにかく機転が効くしアドリブもうまいし、何よりサービス精神旺盛。
緊張もあまりしていません。堂々としています。
全く肩に力が入っていません。
14話でみんなが苦しんでいる時にまっすぐ自分の思いを最初に言ったのは美希でした。
千早がもしこの仕事をしっかり引き受けるのならば、私は美希のようにならなければいけないんだろうか。
 
となりには春香がいる。
春香は楽しそうにイキイキと番組をやっている。美希ほどではないけど肩の力は入っていない。ように見える。
私は、二人に追いつけていない。
 
ステージ袖から見たステージ、というのはこういう舞台を、音楽や演劇などを描いた作品では大きな意味を持ちます。
そこにあるのは、緊張、興奮、ドキドキ、恐怖……。視線一つ、描き方一つで、ステージは何にでもなります。
この千早の視線と表情は、緊張と不安です。
せめて彼女が「○○ができていない」「○○すればいい」という答えを持っていればここまで不安定にならなかったと思います。そもそもこれが歌の舞台だったら、やることはひとつだからこうはならなかったでしょう。
でも千早としては得意分野ではないバラエティ。
今は無論彼女も「がんばろう!」モードですが、どこに手を伸ばせばいいかわからないのです。
だから、ステージ袖から見える椅子は、自分の青い椅子だけ。
本当は春香と美希の椅子も見えてもおかしくないんですが、彼女の心象としては、大勢の客席を前にして孤立してしまっています。
このステージ袖のカットだけ見てたら、不安しかわかないよ。
でも彼女の目から見えるのは、このステージ。
 

●誰かになるわけじゃなく●

この後またしばらく番組を続け、二回目の舞台裏。

千早はずっとプロデューサーの言葉を気にしていました。
「私、まだ固いのかしら」
いいなあと思うのは、春香にはそういうことを言えるようになっているところです。
他のシーンでは彼女は現時点ではそれほどみんなに自分の悩みはいいません。
言っているのかもしれないけれども、そこまでではなく、むしろやよいやみんなが失敗したら補助したりという支え役的な立ち回りが多いです。
このシーンだけじゃなく、春香には結構彼女言うんですよね。毎回ではないですが、ちょいちょいと春香と千早が会話するシーン挿入されているので印象に残りますが、今回は顕著に悩みを吐露しています。これはきっと美希には言えない。
それだけ、千早が今は春香を信用しているということです。

すぐに「え? そんなことないと思うけど」と切り返す春香。
これも素なのがいいですよね。いろいろ考えて褒め言葉を言うんじゃなくて、サラっと。春香らしいです。思ったままでしょう。
 
千早がここで悩んでいるのは、「肩の力を抜く」の意味です。
何をもってして「肩の力を抜く」のか。反対の言葉は「柔らかい」なのか?
そもそもどこを目指せばいいの?
彼女は言います。

「私も、春香や美希みたいになれればいいんだけど」
今回のキモになるセリフだと思います。
 
実は今回全員がそれぞれ、お笑い的な要素を持ちつつも自分のコーナーを持っている、っていうのがすごいでかいんですよね。
要するに代替がきかないんですよ。「響チャレンジ」は響が必死に頑張るからこそいい。「やよいのスマイル体操」は幼稚園児と一番馴染めるやよいにしかできない。
一応765プロの看板番組という体裁ではあるものの、実はそれぞれ個々の個性を生かしている構造になっています。
だから伊織とあずさにもなにかコーナーがあって、普段はどれかのコーナーと入れ替えしている、という勝手な妄想をしております。まあ、あずささんに幼稚園児服着せるのは紳士の嗜みですが!
 
だからこそですよ。
「春香や美希みたいになれればいいんだけど」は正解ではない。
千早が仮に春香や美希になっても、それは誰も望んでいない。なにより千早がなぜメインパーソナリティの一人に抜擢されているかを考えなければいけない。
でも、だからこそ怖いんです。
みんな、私よりもできている。
みんな、私より頑張っている。
 
春香さんはこういう時に頼りになりますね。

ええっ、私になっちゃだめだよ! さっきだって失敗しちゃったし、いまだにアドリブとかくると、わあってパニックになっちゃうもん」
ああ、そうか。春香も同じなんだ。
肩の力なんて、みんな入ってはいるんだ。
「私になっちゃだめ」というのは非常に面白い表現。だよね、誰かになっても仕方がない。
 
今回、春香の失敗シーン多いです。今までの作中でもちょいちょいコケたりドジったりしているのが再現されていて、それ自体はやよいや雪歩らの目立つミスの影に隠れて目立たないんですが、多分春香さんのミス、全体的に見てもかなり多いです。
でも一連の流れだと、彼女の失敗ってウケてるから気づかないんですよね。おいしいように見える。
おいしいけれども、実は本人そんなどころじゃない。これは本人じゃないと分からないことです。
どうしても視聴者側から見ると「春香またおいしいところもってったなー」と感じるように作られているんですが、この一言で彼女自身いっぱいいっぱいなのがわかります。
と同時に、飾らない彼女の言葉が、千早の心を氷解しました。
あのステージの上で不安になっているのは自分だけじゃないじゃないか。

アイマスの会話劇ぼくすごい好きなんですよね。答えをあんまり言わない。モノローグも少なく、間を上手く取ってる。
それは春香が感じたままのことを言っているから。複雑な理論とか、説教くさいことはいらない。練習もつらいことも苦労もみんなといるのも「楽しい」と思っているから、そもそも答えなんて無い。
「美希はすごいよねー、自分の気持ちに真っ直ぐな感じっていうか、ぶれないなーっていつも感心しちゃう」
ここの演技めっちゃいいので! じっくり聞いてみて!
心の底からそう思っていて、嫉妬とか、自分と比べる不安とか、一切ないんですよこの子。
このセリフのイントネーションがあまりにもうまくて、ちょっと泣きそうになります。本当にいい子。
本当に楽しんでいる子。
そう、楽しんでいる。
 

美希が苦労しまくっているのは12話を見ている視聴者側にはもちろん、仲間達もある程度はわかっているはず。大事件でしたしね。
春香は美希と二人で話もして彼女の気持ちを知っているので、なおのこと春香の「ぶれないなー」のセリフは重みを増します。
美希は今、前だけを見ている。楽しいっていう思い、ぶれてない。
千早と目指している最終地点は違うかもしれないけれども、美希の存在は千早にとって大きな刺激になり続けています。いや、全員にとって、ですが、特に千早には。
13話のライブ回、ピンチの時に絶対諦めず美希が「やってみたい」と挑み、きつい局面をのりきった時、千早は美希の本気を見ていました。

13話より。舞台袖の千早の目の描写はほんと細かいですね。
彼女は、やり遂げた美希にこの時言いました。
「すごかったわ美希、今度は私の番ね」
千早は本音しか言いません。だから今もまだ、うまく笑えません。弟のこと、家族のこと、まだひきずっているから。
だからこそ、この「すごかったわ」は本音です。
美希や春香の輝きは一体どこから来るんだろう。何になれば、いいんだろう。
 

●「楽しいよね!」●

春香は千早に言いました。

「でも楽しいよね」
ああ、これに尽きる。
 
春香は「楽しいよね」と言います。美希は「キラキラしたい」と言います。
何かになりたいんじゃない、自分が何をしたいか。
解答として明言はされませんが、プロデューサーの「肩の力を抜く」のヒントは春香が与えてくれました。
千早は「何か」になろうとしていましたが、そうじゃない。
だって見てみてよ。

こんなに目の前にいる春香は楽しそうに笑っているじゃないか。
「こうやって、みんな一緒に番組やってると、いつも時間経つのあっという間だもん」
一拍置いて。

「そうね」
彼女が気づいた、一拍。細かい会話の間ですが、すごく意味のある間です。
 
今回ギャグとして、春香が小包を顔でぶつシーンがあります。元ネタは中村繪里子が郵パックを開けた時に失敗してまるっきり同じ事をしたというもの。

これの再現です。笑いの神に愛されてるな! さすが芸人声優中村先生!
で、最初は「ネタ仕込んでくるなあ!」とゲラゲラ笑ってたんですが、ふと。
千早が何度も思い出し笑いしてるのかまで含めて。
 
ああそうか、彼女、本気で笑ってるんだ。
今までの笑顔が笑顔ではなかったとは勿論言いませんが、これって本当の意味で、千早が笑えている重要な瞬間なんじゃないかな?と。
難しいこととか一切何も考えず、心から。
トリガーが春香だった。
あとは千早がその場を、状況を「自分が楽しめるかどうか」
 
そういえば、千早が肩の力抜けていなかった時、ずっと春香は。
 
千早のこと見てるよね。
多分気にかけていたんでしょう。ミテマスヨーミテマスヨーではない。
今、千早はみんなと、プロデューサーと、春香という仲間と一緒に一歩前にでました。

オープニングのこのシーン。
歌いたい、と願い続けていた自分が、実際その場所に行き、辛いことや思い通りに行かない局面に向き合っている。
バラエティ番組一つとっても悩みは絶えない。
でも今、彼女はステージに立っています。夢に向かって間違いなく進んでいます。
今は「どうやればうまくいくのか」と考えてしまうけれども、子供の時はもっと素直に、しがらみなく楽しかったじゃないか。
それを噛み締め、千早は「生っすか!?」の舞台にいるんだ、と考えると感慨深いものがあります。
 

もう一度一話の時。
そして、15話で春香の「でも楽しいよね」を聞いた後の彼女の顔

いい顔になったね、千早。
きっと、もっと笑顔になれるよ。
 

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にしても、全国的に明日晴れだっていうのに豪雨の中走らされる響ちょうかわいい。
なんだろう、響ってめちゃくちゃ天真爛漫なのに、妙にこう、いじめたく、なるんだよね……。
いじめたあとに全力でこうかわいがってあげたくなるというか、なんだこのサディスティックな気持ち。
 

千早の家族問題は何度もほのめかされているので、今後どこかで解決編があるんでしょうね。
961の話もあるし、今後じわじわ重くなりそうです。でもその前にりっちゃんの復帰かな?!
とりあえず「あみまみちゃん」をアイキャッチレギュラー化してください、割と本気で。