たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

マスコミという名前のコミュニケーション。「プリキュア5第33話」

エンディングが内緒のまま迎えた33話でしたが、なんとSplashStarのEDテーマ「ガンバランスDEダンス」のアレンジでした。
これはSS大好きっ子としてはたまらないプレゼント!う、うれしい…!


うむ。かわいすぎる。特にうららのかわいさは反則級。くそうはじけやがって!
 
そんな回でした。
SSはほんと、舞x咲のラブっぷりに悶えたものです。
 
さて、今回は増子さんの本質に迫る回でした。
増子美香さんというのは、いつもプリキュアメンツ(変身してない方)とナッツを追い回す、お邪魔型の学園新聞記者の子。実に見事にこの作品のメガネ分を満たす貴重なキャラです。
しかし、以前「実は部員が一人しかいない」ということが判明。いつもハイテンションな彼女の裏が、18話で明らかになりました。
関連・友達は、必要ですか?「プリキュア5第18話」
ただのひやかしキャラではなくなった彼女。プリキュアではなく、意思を持って動く数少ないクラスメイトキャラな彼女の心情が、非常に繊細な描写で描かれていました。
ちょっとそのへんを「コミュニケーション」という観点から書いてみようと思います。
 

●増子さんの、東○ポ風マスコミ術●


最初に出てくる、増子さんが作ったサンクルミエール通信。
今までも毎回、おかしな記事の方向性と、あおり気味な題名でかなり狂っていた新聞でしたが、そこが面白かったのか意外なほどにうけていました。
一時期は「イケメン」と言ってナッツの特集ばっかり組んでましたものね。
今回もそんなノリで書いてしまった記事ですが、コレを見て「あ、やばいね」と感じる人は多いかもしれません。
そう、「?」の多さ。
つまり、推測記事な上に、極めて不名誉な、ネガティブ型の釣り記事なわけです。
 
ある意味においては、この新聞は事実です。
しかし、ちょっと正しい情報が足りなくなるだけで偏向報道になってしまう恐ろしさたるや。増子さんは自信作だったようですが、フットサル部の部長はひどく心を痛め、りんちゃん大激怒。そりゃそうだよね。
 
「人に見せる言葉の使い方」っつうのは難しいものです。
決して、増子さんは人を傷つけてでも自分が目立てばいい、と思っていたわけではないことを書き添えておきます。
でもね。ええ。話題は呼ぶんです。
だから、増子さんの新聞はいつも、一人で書いているのにみんな気になってしまう。

しかし、傷ついた心は元に戻らず。
増子さんのこのへんの新聞の書き方は、彼女自身の「人との距離感」の表れなのが面白いところです。
 

そして誰もいなくなった。●

作中では、異常なまでのハイテンションさを誇る増子さん。おそらくのぞみについでハイテンションです。
この二人の共通点は、どちらも前向きで、だけどちょっとがんばりすぎてしまうところ。
それが友人達やココナツといることで解放され上に向かうのがのぞみさんなら、それゆえに友人を失いがむしゃらになっているのが増子さんではないかと思います。

今まで最初から一人だったわけではないのですよ。むしろこうしてみると、みんなといてすごい楽しそうじゃないですか。決して一人きりが好きなわけじゃないのです。
しかし、彼女が周囲を見失って、そして共に失ったものはあまりにも大きすぎて、あまりにも寂しすぎるその情景に泣かないわけにいかんですよ。
 
この描写は、心臓に悪い…。
 
増子さんにとっての人とのコミュニケーションは、新聞を作ること、でしょう。
マスコミュニケーション」は一方的ではありますが、不特定多数の人間に対して、言葉や事件を伝えるコミュニケーションです。彼女はそれが楽しいと思える、一流のエンターティナーではありました。
が、それに傾きすぎることで、彼女の周りにいる人間とのコミュニケーションを完全に失ってしまうわけです。
同じ「夢に手を伸ばしたい」「もっと前に進みたい」と思うのぞみとの大きな差が、彼女の心をどんどん孤独にさいなんでいく様は、見ていて痛々しくてしかたありません。

でもね。
もう失っちゃったものは、戻ってこないんだよ。そして、それでいいと思ってたんだよ。今までやってこれたわけですし。
でもそれが、はりぼての虚構であることに気づいた彼女の喪失感は巨大ですよ。

どんなに後悔しても、自分が一旦切り捨ててしまった絆と時間は、完全には元通りにはならないんだよ。
 

●でも、肯定していいじゃない●

ここで、視聴者に問いかけがなされます。
増子さんが今まで一人でやってきたことは、無駄ですか?
 

のぞみって、その点先ほども書いたように、増子さんと共通する部分があるので、彼女の気持ちをいち早く察していると思います。
彼女も「自分がやってることって無駄なんじゃないか?」「みんなみたいに目立たない自分の夢ってなんだろう?」と苦悩し続けてきた子。
だからこそ、増子さんの苦悩に対して完全なる肯定をします。
すごいよね!肯定ですよ。全肯定。
「ここをこうしたらいいよね」とか「ここがよくないよね」じゃない。「増子さんがんばれ。これでいいんだよ!」です。

もちろん増子さん自身も友人から離れてしまったことを悔やみ、悩んでいます。今自分がやってることは間違いなんだと自分を否定し、新聞をやめようとすらするんです。
でも、それに対して、そして「私にも仲間ができるんだろうか」という言葉に対して、プリキュアたちはこう言う。

「YES!」
その一言だけ。
一言だけで…いいよね!
何も否定しなくていい。ただ、肯定すればいい。
 
この流れは丁度、5人ともが経験してきたことでもあります。
カワリーノトラウマで完全な自己否定に陥ったのを脱出したときに。5人がちぐはぐでそれぞれ悩みを抱えていたときに。
自分は間違っているから、もう諦めるしかないんじゃないだろうか?とそんな時に、そばに仲間がいることで「これでいいんだ、自分を受け入れよう、肯定しよう」と大きな変革を遂げてきたわけです。
おおげさな書き方ですが、ようは「私は私でいいんだ」です。
 
何もかも捨てようとした彼女。カメラも、仲間と作った新聞ももう自分には関係がないと絶望していた彼女。
気づけば、仲間はもう、いるんだよ。ね。
 
最後の最後で、新聞の隅に書かれた「部員募集」に、ただひたすら拳を握り締めました。ええ。空のペットボトルつぶしちゃったよ。
離れていった部員が戻ってきたらいいな、というのを期待しすぎるよりも。
ただ、今は。仲間を大事にしながら大勢で取材に走り回る増子さんが見たいです。
がんばれ増子美香
  

●ぼくはオタカさんになりたい。●

全体的に作画が神がかっていた今回。特にすばらしい表情ぞろいでした。迷わずの瞳のヒロインはかっこよすぎる!
今回の見どころ。
 
その1

以前も書きましたが、この作品非常にいい大人キャラに恵まれています。
中でもこのオタカさん。何をするでもなし、プリキュアの話にもからまない。だけど離れた位置でじっと生徒達を見守り、直接じゃないエールを送るステキな人です。
自分はプリキュアにもココにもなれないけど、オタカさんになりたいです。
 
その2

悲しすぎるブンビーさん降格。ああっ!無視されすぎ。
しかし今回のことで、ますますこの組織のバランスの悪さが見えてきました。だって、お前らいっぺんにいけよ!とか思いますよええ。
彼らは、自己顕示欲の異常に強い集団なんでしょうね。一人でやり遂げることに価値があると思っているようです。このへんがプリキュアとの面白い対比になってます。
 
その3

写真ってずるいよなあ。切り取られた瞬間が心に響かないわけないじゃないか。
面白いのは左が離れた仲間で、右がのぞみ達だということ。増子さんの目から見て、この二つのベクトルの仲間の姿はどう映っていたのでしょう。
 
その4

プリキュアホラーショー。
このシーンだけ、プリキュアじゃないみたいです。
 
その5
 
もっと見て見て、なのぞみとうらら。今回は「正体を隠さねばならない」という理由が希薄なので、この二人目立とうとしすぎです。
しかし「それはNGです☆」と華麗にかわすうららはやはりプロなのでした。
にしてもだ。この二人最近息があいすぎていて、のぞxりん派としては不安が!
 
その6

そんな悩みは不用でした。
のぞみとりんちゃんもやはり息はぴったりこん。
のぞみはりんちゃんとうららの嫁、でFA。
 
その7

ヒロインは、ただ肯定して立ち去るのみ。
かっけー、プリキュアかっけー。
プリキュア5は、夕方のシーンが来たらまず外れません。本当に愛がこめられています。この作品では特別なんでしょうね、夕方の時間帯は。
 
その8

次回予告のエンドカードがわけわからない件。
「ぼくがちゃーりーだよ」と馬は言う。
 
 
Yes!プリキュア5 Vol.1 [DVD]Yes!プリキュア5 Vol.2 [DVD]
さてはて。じわじわ迫るDVD発売。子供達パワーで、レンタル屋で瞬殺の予感。

Yes!プリキュア5 Vocalアルバム2 ~VOCAL EXPLOSION!~

Yes!プリキュア5 Vocalアルバム2 ~VOCAL EXPLOSION!~

ガンバランスdeダンス~夢みる奇跡たち~

ガンバランスdeダンス~夢みる奇跡たち~

EDがまさかのガンバランスDEダンス。このノリで、ボーカルアルバム2楽しみです。 
Yes!プリキュア5 企画ミニアルバム ココ(小々田)&ナッツ(夏)

 
以下過去記事
 
 
大人になったら何になりたい?「YES!プリキュア5」第一話
プリキュア5が二話目にしていきなり百合展開でした。
実力の伴わない夢は持ってはいけませんか?「YES!プリキュア5 第4話」
これからのヒロインはもりもり食う時代へ!「プリキュア5 第5話」
やけにリアル社会人な敵のお仕事。「プリキュア5第6話」
少女たちの絆は、少しずつ歩き出した。「プリキュア5第7話」
学年や身分による感覚のカベってありますか。「プリキュア5第8話」
有名なみんなと、そうでない自分と。「プリキュア5第9話」
社会の仕事は甘くない。「プリキュア5第10話」
今がんばることは、ムダじゃない!「プリキュア5第11話」
アイドル業は、その一歩から。「プリキュア5第12話」
自分のために生きる?誰かのために生きる?「プリキュア5第13話」
お金で買えるの?その価値は。「プリキュア5第14話」
少女達の友情はいつまでも。「プリキュア5第15話」
自分の視野を仲間内だけで満足してはいないか。「プリキュア5第16話」
どんな時でも、そばにいるよ。「プリキュア5第17話」
友達は、必要ですか?「プリキュア5第18話」 
心配は何のためにするの?「プリキュア5第19話」
まっすぐ進むだけが道じゃない。「プリキュア5第20話」
ミルク視線で楽しむ「プリキュア第21話」
大人としてのココの立ち位置。「プリキュア5第22話」
5人それぞれの心の闇へ。「プリキュア5第23話」
追悼・ギリンマへ。平社員の憂鬱と哀しみに敬礼
さあ、その手をつなごう。「プリキュア5第24話」
4人の心がここから開くんだ!「プリキュア5第25話」
見終わった後の顔は鏡では見られない。「プリキュア5第26話」 
夏に女の子を怖がらせたくはないかい。「プリキュア5第27話」
あなたがいつも側にいたから。「プリキュア5第28話」
人をつなぐ架け橋になる人って、大切なんだよね。「プリキュア5第29話」
自分が輝くのではなくて。「プリキュア5第30話」
乙女の感情の高ぶりに、ニヤけたりへこんだり。「プリキュア5第31話」
結婚ドリームなんてお父さん許しませんよ!「プリキュア第32話」