たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

女の執念が生んだ黒い心と、純白と。「みつどもえ第121卵生」

ゆけーゆけー、どこまでもー。

佐藤が好きでしょうがない隊は今日もゆくー。
 
左から伊藤詩織、緒方愛梨、加藤真由美です。
最初は三人はひとからげで「変なストーカー」というくくりでしたが、最近はものすごく明確にキャラ分けされています。
今回はその中でも伊藤・緒方、そしてふたばにスポットを当てた話でした。
いつもどおりの明るいギャグですが、テーマは重い。「恋をする時の駆け引きってなんだろう」です。
 

●おがちんが隊長なわけ●

まず、「おがちん」こと緒方愛梨ですが、このメンツの隊長をやっています。
まあ正直なところ、彼女は隊長にするには危険な人物であります。なぜならば。

この子の変態度合いは危険域に達しているからです。
佐藤を踏んだ(他人の)靴の裏のにおいですら栄養素にする彼女。もはやそのかぎわけ能力は人間のものではありません。もっともこの能力を3人とも備えているのもすごいのですが、脳で考える前に体が反応するのはなんといってもおがちんです。
おがちんは佐藤君のためなら、たとえ蹴られても踏まれても幸せ。ストーキングというより、なんだろうこれは。強迫観念というか中毒というか。
こんな子に本当にリーダーをまかせてもいいのか?というのは前々からぼんやりとした疑問ではありました。しかし今回一通り流れを見ていて、それでいいのだと気づかされます。
3人の中では比較的常識人な加藤が、彼女をとてもおだやかな目で見るんですよ。そう、まさに「仕方ないなあ、ついていくよ」的な、友情の視線です。

おがちんは確かに佐藤君の事に関しては貪欲マシーンなのですが、ものすごい根のいい子なんですよ。
そもそも恋のライバルなんて0人の方がいいに決まってるじゃないですか。しかしおがちんはそのライバルをも「しょうがない隊に入れてあげよう!」と提案します。
もちろんおがちんは、恋の面において負けるつもりはありません。ありませんがとってもまっすぐなのですよ。明るく、生き生きと、清く正しく(間違った方向に)ばく進できる子なのです。
 

●黒い女●

みつどもえ」は基本的に、それほど悪人がいない世界。佐藤が好きで〜隊もなんだかんだで正々堂々しているのですが、一人強烈に真っ黒なキャラがいます。
それが、伊藤詩織みつどもえの中でもかなり異色なキャラです。

彼女はいわゆる腹黒キャラなのですが、そのレベルは小学生心理のかなりどす黒いところをついています。いや、もちろんギャグマンガだから笑えるようにはなっていますが…この子相当リアルに危険です。
まず、「自分が漁夫の利を得るように誘導」していきます。
基本的には、しょうがない隊以外の子は認めたくありません。しかし同時に、しょうがない隊の中のメンツに出し抜かれるのすらもいやなんです。
むしろ、自分がしょうがない隊にまじって、あわよくば手中にしようと淡々ともくろんでいます。以前の回でもおがちんを騙す様子が描かれており、なかなかえげつない様子が描かれました。

そして「自分の手を汚すことはしない」のが彼女のずるさ。正面から手を下さず、相手が自ら罠にはまるような誘導をします。
これはふたばに対して言っているシーンなんですが、その前にこんなコマがあります。

心の底から悲しむふたばなのですが、その後ろに佐藤君がいるのを一人だけ気づいているのです。ようするにここでふたばを陥れれば、「佐藤君に近づくための最大の障害」ともいえるふたばを、自分の手を汚すことなく、ふたば自らの手で切り立つことができる。しかもそれを自らの責任にしないように、かなり巧みな話術を使ってまるめこんでいます。
この間の計算時間はほぼありません。素です。素で彼女は人をどんどん切り落としていくかなりのダークキャラです。
 

●中和とカタルシス

みつどもえ」は一見確かにやさしくほわほわした世界なんですが、かなりの毒をたたえている作品でもあります。そこが魅力の一つ。
おそらく伊藤のようなキャラをそのまま描いたら相当にえぐい話になるはず。後味も悪くなるでしょう。
しかしここがみつどもえマジックなところで、ギャグのバランスと純粋キャラの比率で見事に中和しているんですよね。
特に今回はこの伊藤は相当悪魔のような仕打ちをふたばにしています。それを中和するために投入されたのが、純粋な「ふたば」だけではなく、もう一人の純粋キャラ「おがちん」だったのは面白いところ。

ふたばの涙はあんまり見たくないよね。
どうなるかは、ぜひとも本誌で見てください。
 
しかし、佐藤君(しんちゃん)の意識がどんどん明確化してきましたね。
ぼくはニヤニヤが止まりませんですよ。うふふ。

みつどもえ 1 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 2 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 3 (少年チャンピオン・コミックス) 
みつどもえ 4 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 5 (少年チャンピオン・コミックス) 
余談ですが、あんなに絵のうまいふたばなのに、字は下手なのね。勉強もやれば出来る子だったので、興味がないととことん手をつけないタイプなんだろうなー。
あと、没個性的な加藤ですが、昨日書いた千佳の話と同様、「普通」という位置づけでシーソーの支点のような重要な役割を果たしているのが、今回の最大のみどころだったりします。