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押切作品のおばけと女の子は、かわいいんだぞ。「ぼくと姉とオバケたち」


「ぼくと姉とオバケたち」を読みました。二巻で完結です。
 
ストーリーはなく、4コマ漫画です。一応全体を見るとストーリーは地味にありますが、あんまり気にしなくてイイと思います。
 
にしてもですね、押切蓮介先生の描く女の子が死ぬほど好きなわけですよ自分は!
特に「でろでろ」の留渦のかわいさは異常です。そりゃ兄の耳雄もブラコンになるっつうもんですよ。「ミスミソウ」の春花といい、「プピポー」の若葉といい、本当にかわいくて大変。あと「ゆうやみ特攻隊」の隊長のようなガチにかっこいいのもまた、いい。
 
んで、この作品は姉が「オバケを鉄拳でねじ伏せる」タイプの姉です。

もはやどっちが怖いのか分かりません。
押切蓮介先生作品のおばけは、怖いんだけど、近所のがきんちょレベルで、気付けば仲良く共存しちゃっているのがいいと思うんです。特に今までの作品の中でも一番「仲良し度」が高いんじゃないかしら。
 
そんなお姉ちゃん、とても幽霊・オバケに寛容です。
確かに「うざったい」というのは明確に示すんですが、逆に言えば裏表が全くないために、おばけに対しての接し方も極めてストレートなんです。
だから、オバケ達もお姉ちゃんが「怖い」のに、側にいます。弟はおっかながってくれるからおばけ的にはまあ満足できるんでしょうけれども、お姉ちゃんの包容力あってこそ、おばけ達はこの家に集まり、平和に住み着くのです。
そんなお姉ちゃんが時々急にかわいくなるから、ずるい。

髪の毛といたらこれ、ってずるい!ずるいよ!
でもね、やっぱり根が良くてまじめで、きちんと理を通すような姉だからこんだけかわいいし、おばけも慕ってくるんです。
 
はて、お姉ちゃんも魅力的ですが、「最凶」を目指しつつ懐柔されてどんどんかわいくなる、細目のお菊ちゃんがさらにかわいいわけですよ。

すっごい生活感あふれるシーンですが、一番手前の子がお菊ちゃん。幽霊です。幽霊でも歯は磨きます。
実はこの子、恐がり弟のマサル君が好きだけど、うまく表現出来なくてこそこそしちゃったりします。
お前幽霊だろう!?とか思うんですが、考えて見りゃ元は人間なんだからそりゃー恋をすれば少女と同じってなもんですよ。

彼女の人間くささは一級品。
2巻では描き下ろしのお菊ちゃん物語が載るほど。人気もあったんじゃないでしょうか。
押切蓮介先生作品の女の子って、「この子はかわいいんです」という設定の元に描かれているため、その世界の中での美少女度が高いんです。「キャラ設定:かわいい」だと思っていいと思います。
お菊ちゃんは見た目こそ他の美少女にかなわないし、オバケですが、とことんまで「女の子らしさ」を持っていますし、周囲もこの子をかわいい子と意識している様子が描かれているため、そのかわいさが一際目立つんです。
いわゆる「萌えキャラ」絵ではないけれど、「かわいさ描写」の本質がある気がします。
 

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いやはや、それにしても押切蓮介先生の、おばけと人間との境界線のなさは本当にステキ。みんなやんちゃで楽しそうだものね。成仏を「卒業式」と言っちゃうあたりが、なんともかわいらしいです。
そもそも「妖怪の存在価値」ってものすごいいい加減なわけで。垢をなめるとか、枕をひっくり返すとか。それに対して「あんたの生きがいってそれだけ?」とかぶった切られたら二の句も出ません。お姉ちゃん強い。妖怪怖くない。
んじゃ一番怖いのはなにかって?「ミスミソウ」といい「ゆうやみ特攻隊」といいそうですが、結局は人間、なのよね。
逆に言えば人間が強くなれば、おばけなんて怖くないよ。怖くない。

留渦かわいいよ。
にしても、押切蓮介先生今何本連載持ってるんでしょう。なんかものすごい量のような気がするんですが…。しかも一本一本の重量があまりにもヘビーなので、魂削って描いている気がしてなりません。
 
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