たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

キャラの魅力は「98%のあざとさ」と「2%のリアル」。

風呂場で思いついたことを殴り書きだよ。
 

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京アニ系の作品、主に「ハルヒ」「らき☆すた」「けいおん!」は、一般的には「キャラクター人気が強い」と見られます。
もちろん実際見てもらえばそんなことはなくて、いろいろな実験的ギミックから、緻密な伏線や青春群像の繊細さ、SF的な思想なんかが盛り込んであるのは見ている人なら100も承知だと思います。
しかし、逆を返せば「キャラが人気」というのはものすごいことなわけです。
そもそも、とってつけただけの、作者が愛を込めていない張りぼてなキャラになびくほど、視聴者は甘くないです。一見「萌の塊」に見えるキャラこそ、実はいろいろなテクニックと作者の愛情が注がれているもの。
 
じゃあ「キャラの魅力を出すには繊細でリアルならいいのか?」と言われたならば、答えはNOです。
リアルが見たいなら、ドラマを見ればいいです。いや、ドラマもフィクションですね。職場や学校の周辺の人間観察をしていればいいです。
必ずしも「リアル」ばかりを追究しても魅力的なキャラは生まれません。
超絶級の匠の手にかかれば、恐ろしいほどリアルなキャラクターが魅力的に描かれることもありますが、それはまた別のお話。
 
じゃあ記号だけを詰め込めば魅力的になるかというと、これもNO。似たようなことを「NHKにようこそ!」でやっていましたね。
いわゆる「属性」は諸刃の剣。ツンデレヤンデレ、めがね、ナース、メイド、幼なじみ・・・属性名だけでキャラクターが出来てしまう記号は非常に便利ですが、便利であるがゆえにジャンクフードになる恐れがあります。
たとえば「ツンデレ」は自分も凄く好きだから、色々見あさるわけですが。ジャンクフード的に楽しむ「ツンデレ」ってのはやはりあるわけです。
 
それは悪い意味ではないです。「消費して楽しんじゃおう」という思考です。ほら、ジャンクフードおいしいじゃないですか。あのわざとらしい味がおいしい、みたいな。
なので、キャラの性格や背景や心理を全部ぶっとばして「この子=ツンデレ」という量産キャラをもりもり食べる嗜好。これはこれで今のオタク文化の消費志向を満たしてくれるので楽しいんですよね。
 
しかし、一個100円のハンバーガーと一個1000円のハンバーガーは明らかに違うように、同じ「ツンデレ」というジャンルでくくったとしても、恐ろしいほどの魅力を持ったすごいキャラクターもいるわけです。
 
入り口は属性という記号でいいんだと思います。形式というか、あざといくらいでちょうどいい。
ギターだってテレキャスとかストラトキャスターとかレスポールとか、型があるわけじゃないですか。でもそれぞれ作り方によって違うものになる。
そもそもキャラクターが「アニメ絵」だとか「リアル絵」だとか、もっと極端に走れば「男」とか「女」とか「人間」とかという枠線の中で作られるわけです。*1
その枠の一つ一つが「記号」。だからキャラクターにある程度の「記号」はあってしかるべきです。
 
問題はそれをいかに研ぎ澄ますか。
ここからは職人技の世界だと思います。
たとえば、自分なりの「○○像」を、リアルから切り離してどんどん追究する芸術家肌タイプ。観客の需要に合うかどうかが問題ですが、強烈な印象を残すキャラクターにはなりそう。
そしてもう一方が、9割の記号の中に1割のリアルを混ぜ込んでいくタイプ。
 
京アニのキャラは元々原作もありますが、独自にかみ砕いてキャラの再構築をしています。
澪やかがみんやハルヒは「ツンデレ」ですか?と言われたら「そうかもしれない」けれど、明らかに何か違います。
けいおん!」のインタビューで「女の子はそんなに単純じゃない」という発言があって感心したのですが、その「単純じゃない部分」を「単純」な部分の隠し味にすることで、真の魅力が発揮されると思うんですよ。
あんまりにも人間の精神の複雑怪奇な部分を押し出し過ぎては見ていて参ってしまいますが、隠し味がぴりりときいているくらいがちょうどいい。
 
入り口は広い方がいいです。だから「ねこみみ!」とか「ツンデレ!」とか「幼なじみ!」とか「めがね!」でいいと思うんです。
でも実際に作品に触れていくと、それが記号的属性なだけではなく、思いもしない展開になっていくから「お?」と心が揺れる。
心が揺れるから、魅力的になる。
 
その1割の「リアル」が、視聴者の心を「おっ?」と震わせてくれると、一生忘れられないキャラになるんだなー、と思うのでした。
 

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とは言ってもキャラの作り方は人それぞれなので、すべてが当てはまる物ではないですが、2000年代以降のキャッチーなキャラの作りって「入りやすい入り口」「どこまでも深いキャラの魅力」というステップが多いのかなー?と思う次第です。
逆にその「入りやすい入り口」を見て「アニメ絵すぎてちょっと・・・」なんていう拒否反応もあるわけで・・・諸刃の剣です。
ただ、最終的にはリアル志向でも萌え路線でも、キャラの心理描写や深みにたどり着くのは同じなんじゃないかしら。
 
あ、一個大事なこと忘れてました。
記号性とかリアル性だけじゃなくて、重要視されるものの一つは「関係性」、かもしれません。単体ではなく、関係性によって魅力のにじむキャラって多いです。
 

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何を言いたいかと言うと、「入りやすい明るく元気でおバカな性格」「おちゃらけてるけど実は友人思いで周囲をよく見ていてやさしい、けど表に出さない」「幼なじみや部員との関係が円滑でニヤニヤ」な田井中律はかわいいってことです。
 

ちなみに、人生において「キャラソング」でぐっときたのは、間違いなくナディアでした。GAINAXの公式MADともいわれる、愛しのナディアの回を覚えておられるでしょうか。サンソン達やマリーのキャラソンにもうメロメロですよ!思えば「何らかの裏」や「意外性」があるキャラクターや、暑苦しいくらいに魂に何かを抱えて生き進んでいるキャラに惹かれるようになったのは、あの作品のせいです。
あとキャラソン集めたと言えば、おジャ魔女どれみかなあ。もう・・・みんな大好き!
 

*1:たまにそれすら逸脱するから楽しい!