たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

表紙の少女に罵られろ、『クソムシが』と!

今月の「別冊マガジン」を読んで一番印象に残ったのは、押見修造先生の惡の華の表紙でした。
モノクロ一色、決して派手じゃないのに強烈すぎるインパクトに感動しました。


惡の華(1) (少年マガジンKC)
クソムシが
何の本だよ!
題名と作家名よりでかいよ「クソムシ」
この表紙デザインをした作家さんとデザイナーさんは奇才だと思います。
いいよいい、仮に書名を間違って書店で「クソムシがありますか?」と勘違いしたっていい。
だって、このマンガそれでも売れていいと思うくらい面白いもん。
 
別マガで自分がダントツに面白いと思ってるのがこの惡の華です。
詳しくは単行本が出たら改めて感想を書きたいと思いますが、割とファンタジーだったり壮大な話が多めの別マガの中で、ものすごいスケール小さいんですよこのマンガ。
主人公がたまたま手にした好きな女の子の体操服。その行為を心酔しているボードレールの「悪の華」と混同して「ぼくは悪の華だ」と言う主人公の小心者っぷりがまた滑稽なのに心臓締め付けるほど緊迫しているんですよ。
そこに出てくる、この「クソムシが」さんこと、クラスで一番の嫌われ者の変人少女仲村さんに目撃され、主人公は弱みを握られて命令されまくるというサディスティック&マゾヒスティックなストーリー。
この命令の内容がまた常軌を逸していて、正直体操服盗んだのなんて悪でもなんでもないんじゃねと思うくらいの勢い。
 
変わり者少女の話といえば「謎の彼女X」を思い出しますが、明らかにそれと違うベクトルなのをこの表紙一枚で表現したのは素晴らしいと言わざるをえません。
ちょっといい感じのになりそうな不思議恋愛譚じゃないんですよ。
あくまでも破壊する少女と、悪の華に耽溺する純情少年が絡みあうことで、価値観の壊れる様子がエライ面白いんです。
特に今月。主人公に○○を○○させたままデートさせる仲村のドSっぷりもすごいんですが、そのデートを破壊させるべく微笑む仲村が恐ろしいほどかわいい。怖いのにかわいい。
 
よくぞこれ少年誌でやったなーというくらい強烈なマンガなんですが、確かに少年時代じゃないと分からない「悪」の描写でもあると思います。人を殺すのも、世界を滅ぼすのも悪だけど、それよりも「好きな女の子の体操服盗む」方が悪なんだよ!少年時代はさ!
 
いやはや、この表紙が書店に並ぶのが今から楽しみです。
まだ単行本出てないですが絶賛しておきます。
是非若い男子は、きれいなお姉さんのいる書店でどうどうとこれを表に向けて買いましょう

性の混沌を描かせたらほんと逸品ですね押見先生。