たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

大切な幼なじみとの、一つの別れ「けいおん!!」第24話 その3

私の涙は、大切な宝物「けいおん!!」第24話 その2
その2からの続きです。次は和ちゃん視点の話。
 

ではネタバレ有りなので収納。

ペロペロ(^ω^)
 
 
 

●同じ学校に行かない少女●

今回は和ちゃんと唯視点で見直すと、梓視点以上に猛烈な寂しさに襲われるトラップが仕組まれていました。

これは唯がタイツを破いてしまって、その換えを憂が持ってきているのを和ちゃんが先生に伝えるシーン。
これ、高校最後の世話焼きなんですよね。
だから、和ちゃんが意外な行動にでます。
唯を着替えさせるために一緒に着いて行く(ここが一年生と変わらない!)んですが、その時。

和ちゃんが廊下走っちゃうんですよね。
もどってくるときも同じです。

走って戻ってきます。
 
和ちゃんと唯は言葉にはしませんが、実は分かっています。
軽音部のみんなとはこれからも学校で一緒だけど、和ちゃんは学校が違うということを。
今まで全部面倒を見る関係だったけれども、それはこれで終わり。学校では自立しなければいけない、自立させなければいけないことを。

第一期一話より。中学校の卒業写真。
もうべったりですね。唯が和ちゃんを大好きで大好きで大好きで、写真に無理やり引きこんでいるのが微笑ましい写真です。
しかし、今回和ちゃんと唯は一緒の卒業写真を撮っていません。
この時点で分かっていたんです。
唯は、和ちゃんから自立しなければいけないことを、そして和ちゃんは唯を信じて手を離さないといけないことを。
でも、最後は、最後くらいは一緒に。タイツかえるのだけは、最後は一緒に。
 
まあ、大学行ってもお互いの家でゴロゴロしてそうですが(唯が)。
でもそれとこれは別。学校ではもう助けてくれる和ちゃんはいないし、和ちゃんは遠くから見つめていた手のかかる親友はいないのです。

第二期20話の学園祭で、唯が歌うのを見ていた和ちゃん。
一期では本当に不安気に見ていたのですが、今回は完全に信じ切った顔で見ていました。
ここで、和ちゃんの唯への思いは、一段落したのでしょう。
和ちゃんが唯と同じ大学に行く、なんて展開も見たかった気もしますが、それは必要なかったのです。
 

●私の大切な人●

 
特にセリフもないシーンですが、ものすごく二人の関係の出ているとてもいい場面だと思います。
答辞を堂々と読み上げる和ちゃん。
それを誇らしげに見つめる唯。
私の親友は、こんなにすごいんだよ!
私の親友は、こんなに立派なんだよ!!
唯の和ちゃんを見つめる視線は、あまりにも温かいものでした。
 
その後、教室にて。


卒業証書をもらって見つめ合う唯と和ちゃん。
考えてみたら、高校3年までずーーーーーーーっと一緒にいました。下手したら両親よりも一緒にいた時間長いかもしれませんね。
二人が交わす会話は相変わらずズレていました。

和「唯も卒業ね」
唯「おかげさまで」

なんか変だよね。セリフはこれだけです。
自分が卒業するんだから、唯が卒業するの当たり前じゃん!とは思いつつも、和ちゃんの「唯も卒業ね」は妙に説得力があります。
二人の視線、まるで先生と生徒ですよね。
実際そうだったと思います。唯は和ちゃんに頼りっぱなしでしたし。
けれども、和ちゃんもまた、唯が側にいることでたくさんのものを得て来ました。
関係としてはちょっと妙ちきりんな「たよる」「たよられる」がはっきりした関係だったけれども、この高校3年までの、幼稚園・小・中・高とものすごく人生の大部分を一緒に過ごしてきた友人は、本当にかけがえの無い友人、でした。
 
高校3年で同じクラスになって。
唯には軽音部員という深い絆を持った友人ができました。和ちゃんも彼女たちと仲良しではありましたが、唯と軽音部のつながりとは全く別です。
和ちゃんにも友達ができました。

メガネの高橋風子ですね。修学旅行でも一緒の仲良し。
風子は逆に、唯とそこまで仲良くありません。
今までは共通の友人がたくさんいたけれども、これからはそれぞれに別の友人ができ、人間関係の幅が別ベクトルに広がり始めます。
いつまでもなにもかも一緒で、というわけじゃなくなったのです。
もちろん、だからといって関係は変わりません。
私の、大切な人。
 

●それぞれの道●

共に進む仲間もいれば、そうでない仲間もいる。
じゃあ共に進まないから仲間じゃないのか?
そんなことはもちろんありません。
けれども、つなぎとめておきたいもの、あるじゃないですか。

和ちゃんが生徒会室に、唯達が音楽室に行く時、二人は階段の上下に分かれていきます。
澪は「またなー」と気楽に言いました。
澪は本当に強い子だね。和ちゃんと特に仲がいい彼女は、彼女と今生の別れじゃないのをちゃんと理解して、センチメンタルにひたらない。
「またな」って言えるってすごいよ。
 
ここで、、唯がふと、足を止めます。

和ちゃん! 今日帰れたら一緒に帰ろう!!

唯のアンテナは敏感です。
唯も、もちろん和ちゃんと今生の別れじゃないのは理解しています。大丈夫。
だけど。
一緒に過ごしてきた時間を考えてみたら、ここで卒業をし、学校で過ごす時間を共有できないということの重みは重々承知しているのでしょう。
ずっと側にいた人。
ずっと自分の近くにいた人。
絆は信じている。そして自分の脚でしっかり歩いていく。
けれど、今まで通りじゃないよ。

和ちゃんは何も言いませんでしたが、この手の仕草だけで十二分に唯に伝えました。
大丈夫だよ、と。

何も言わずに同じポーズを返し、「電話するね!」とだけ言ってかけていく唯。
二人はその後、余計な感傷に浸る言葉を一切言わずに、決して振り返らずにそれぞれの場所へと向かいます。

今回の自分の泣きツボの一つがこのシーン。
もうずるいよね……。
軽音部はさらに絆を深めたけど、この二人は今までの長い長い一緒の時間から一旦切り離した上で、それぞれの道を歩むんですよ。それがもう如実に出ているんだもん。
二人が大人になっても、あるいはおばあちゃんになっても、唯が「のどかちゃーん」と電話してくる様子は目に浮かびます。
けれども、今までとは違うんだよ。
二人がお互いに心の支えになって前に進めたから、さらに一度別の道を歩むんだよ。
 
軽音部の子達の「これからも仲間だから!」と歌いあげる関係とまた別の信頼関係。
大人なら必ず通ってきているはずの道です。全員が同じ道を歩むなんてことはない。
軽音部側では絆を中心に描いてきた分、和ちゃんと唯の関係は非常にずっしりと重く、しかし優しい現実として描かれていました。
改めて、これを見てから一期一話からの唯と和ちゃんの関係を見直すと、どうでもいいやり取りがグッと来ます。
「一緒に帰ろう!」じゃなくて「帰れたら一緒に帰ろう」。
一緒に帰れないかも知れないことも踏まえて。
だけど言っていいよ。だから、唯は言えるんだよ。
一緒に、帰ろう。
 
その4に続く
軽音部がみんなにくれたもの「けいおん!!」第24話 その4
 
卒業は終わりじゃないよ、はじまりだよ「けいおん!!」第24話 その1
私の涙は、大切な宝物「けいおん!!」第24話 その2