たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ああ、やっぱり「それ町」のエビちゃんは、少年から見た少女の権化であるよね!

 

パップラドンカルメっておいしいんですかねえ。

これね。
おっさんホイホイですが。
子供の世界におけるうわさのバランスを見事に表現した名曲です。
 
そんなわけでアニメ「それ町」は、原作の雰囲気とは微妙に違うもののシャフト好きであれば十二分に楽しめるいい出来だと思います。原作のあのキレとはちょっと異なりますが、細かいところの間のとり方が個人的には好み。きちんとチマチマしたネタも拾ってますし。
で、一番期待していたのはエビちゃんですよエビちゃん

これはOPより。
主人公歩鳥の弟、タケルのクラスに居る、気が強くてリーダー格の美少女。美少女だけどクラスの中では男子と女子がいかにも小学生らしく仲が悪いのでうまくかみ合わない、そんなタケルにしてみたら「ちょっと自分と住む世界の違うところの人」、それがエビちゃんこと伊勢崎恵梨です。
声優さんが加藤英美里さん、つまり「らき☆すた」のかがみんの中の人というあたりの狙いっぷりに完全にやられました。「ツン☆デレ」。ハマり過ぎだよ……!
原作のエビちゃん三部作を見ているともうーーー体中の色々なものがモゾモゾムズムズしてならないくらい大好きな子なんですが、何がいいのか、どこがいいのか、どう最高なのかだけひたすらエビちゃん賛歌したいと思います。
ぼくは、エビちゃんが、好きなんだ!
 

●イセエビみたいな子●


タケルは歩鳥に、原作の中で「エビみたいな子」という話をしていたことがあります。性格がピンピンしていて、つんつんとんがっている。エビみたいというのはいいえて妙です。
このカットがまた原作通りに再現されていて面白いんですが、まだこの時期の少年にとっての認識は「個人」じゃないんですよね。「男か女か」。だからタケル目線で見ているエビちゃんたち、特に左の子なんて明らかに「可愛い子ではないです」というのを強調するかのように絵柄そのものが違うんですが、全部ひとくくりの「女子」。
その中で特に目立っているのがエビみたいなエビちゃんなわけですよ。
 
小学生のクラスの中での男女差というのはある一定の時期までは曖昧、中学年から高学年でばっくり分かれ、その後また興味を持ち出す、というめんどくさい流れを今も踏んでいると思います。もうこれむかーしからずーっとかわらないんでしょうね、そういう時期あるんでしょうね。性別を気にし始める時期、とでもいいましょうか。
その、少年から見た「性別」そのものなんですよエビちゃんって!

エビちゃんの席はタケルの隣なんですが、この図って大人から見たらニヤニヤする図じゃないですか。「おいお前いい席だな」「しっかりやれよ」と。実際作中でエビちゃんとタケルの関係を見た大人はみんな「デートだね」「可愛い子じゃないのこのー」と茶化しまくり。だよねー。
でも違う。少年期に隣の子がカワイイかどうかなんて別次元の話。付き合うなんて考えたこともない。それどころか、こんなに近いけど恐ろしいほど深い溝があるように感じているはずです。
このカットでもタケルまったくエビちゃんのこと気にもしてないですしね。住んでいる世界が違う、と感じているんですもん。
 

●邂逅●

エビちゃんのアプローチは突然。これも原作通り。

もーさ。
大人になってからこれ見るとすっげーニヤニヤでしょ!?
ああこの子勇気だして書いたんだろうなあとか(エビちゃん三部作の二部目でなぜエビちゃんがタケルを好きになったかは分かる)、あんなにツンケンしていたのに手紙にエビのマークを、しかも自分で「エビちゃん」と書いちゃうこのおちゃめさ。女の子アピール。
やっべーかわいいー!
しかしタケルにしてみたらこれ、脅威ですよ。
考えても見てください。小学校の男子という輪に、全く別世界だと思っていた女子が飛び込んでくる事態!
部屋で寝転がっていたらトラックが突っ込んできた級の驚きですよ。いや、UFOか?パップラドンカルメか?
繰り返しになりますが、「エビちゃん=異世界」。

異世界イズ、カミングヒア!
普通ならデレデレして赤くなるところを、あえて青ざめさせるのが「それ町」流。
だよね。大人の感性ならここの瞬間って照れるところですが、子供の感性、まだ女の子に興味はないけれども、男女の性差を意識しはじめた時期の子にしてみたら照れるとか以前に「なんで!?」が先立つ。
意外とこれって、あんまり描かれないシーンだと思うんです。男の子に対して、かわいいヒロインってのは普通ご褒美ですしね。少年漫画でも「なんで!」と言いつつ顔赤らめることのほうが圧倒的に多いはず、なのにタケルは青ざめる。
すっげーわかる。

「何しに来たの?」「遊びにいくって言ってたじゃない」
タケルとエビちゃんのやりとりのぎこちなさ。この表情と、普段の学校でのエビちゃんを比較してタケルの頭の中は大混乱。
部屋で寝転がっていたらUFOが飛び込んできてしかもキャトられそうになっているかのような感じですよ。

まあ、あながち間違ってもいないんですが。
エビちゃんペースでぼこぼこにされるタケルはカッコ悪いけれども、あくまでもこれは「タケル少年から見たエビちゃんであることを忘れてはいけません。全く未知の存在といえる「少女」への畏怖なんですよね。実際殴られたりもしてますが、ちょっとだけ「タケル感覚」が付与されている描写でしょう。
「なにを考えているかわからない」。それがタケルの感覚。
それを「エビちゃんの気持ちがちょっとわかっちゃう」大人が見ることで、ニヤニヤが止まらなくなるんだなー。
 

●ときめき●


エビちゃんはものすごい美少女です。
他のエビちゃん回で出てきますが、読者モデルができるほどに美少女です。
だから第三者である歩鳥や紺先輩やマモー(駄菓子屋のばあちゃんがルパン映画版のマモーに似ているところから)全員が「可愛い子」とエビちゃんを評します。
でもタケルには「かわいい」かどうかってジャッジ出来る状態じゃないんですよね。それ以前の段階。「性差の存在」に気づいたばかりの時期です。
マンガの女の子キャラを呼ぶのが恥ずかしかったり、エビちゃんを「恵梨」と呼べなかったりするあたり、照れくささは0ではないんです。ただ「未知への畏怖」と「照れくささ」が混在してわけが分からなくなっている状態です。

エビちゃんの方は、女の武器を知っているんですよね。この仕草!かわいいー!
まあ意識しての女の武器なのか、偶然こういうくせがついているのかまでは定かではありませんが、タケルと仲良くなるための彼女なりの近づき方を選んだ手段が一つ一つ描写されていきます。
 
このカットなんか印象的ですね。

タケルが夢中になっているカードゲームを、横から覗き込むエビちゃん
エビちゃんにしてみたら男の子の世界が未知の世界なわけで、ぜんっぜんわからないんです。
ただ、この立ち位置本当に素晴らしい。タケルがいて、対面する形で「カードゲーム」という自分のフィールドがあって。その間に刺さり込んでくるエビちゃん
まさにエビちゃん Strikes!
さりげないシーンですが、タケルの日常をぶち破る強烈な出来事を彼女は持ち込んできたのです。
 

このあたりからエビちゃんに対するタケルの意識も変わってきます。
まだ「可愛い子」とかとはなりません。ただ「女子」という意識が少しだけ進み、「見つかるかも知れない!」という吊り橋効果も相まって、青ざめていた顔が赤面するようになります。

ここからはスーパーニヤニヤタイム!フィーバータイム!
一般的に男子は自分のテリトリーに人が入ってくるとびっくりする性質が強いです。これは大人になっても。手をつないだりしないですし、ぴったり横に密着もしない。男性は自分の空間意識が女性に比べて強めです。
しかしそこにスイッと入ってくるエビちゃん。この近さに驚いて真っ赤になるタケルのまあかわいいこと!
エビちゃんがここで何を考えているかは想像するしかありません。もしかしたらすごいドキドキしながら覗き込んできているかもしれないし、そうではなくてあんまり深いこと考えていないかもしれません。個人的には前者かなーと思いたいところです。タケルを誘うのも、デートも、こうやって側に寄るのも、彼女なりの精一杯なんじゃないかなと。タケルには伝わらないからびっくりしかできないんだけれども。
ただ、タケルは本当にいい子です。タケルにエビちゃんが惚れた要因もアニメ化されたらいいなあと思いつつ、まあ原作を読めば分かるんですが、彼は気遣いがほんとよく出来る子なんですよね。頭もいい。自分よりも相手を立てる。優しい。

タケルはエビちゃんの気持ちが最後まで分からないままです。そりゃそうだ、そんな簡単に男女の心の差がわかったら誰も苦労しないヨ。
だけどこの一日で、エビちゃんの気持ちのほんの欠片がタケルには理解できた。だからタケルにとっての「特別」が出来ました。
もうエビちゃんは「女子の誰か、名前も分からない子」じゃない。「エビちゃん」になったんです。
 

●こどものせかい●

これでラブラブな大人びたおませな恋愛にならないのが、本当にいいよね。
だって、子供だもん!

歩鳥は「いちゃいちゃ」と言っていましたが、タケルが男子に、エビちゃんが女子に接するのと同じようにバリアが崩れただけ。
まあ、エビちゃん側はちょっと色々意識しているとは思いますが、遊んでいる中身のまあ健全なこと。
でもなんて幸せそうなんだろう!と思うのは大人になったから。ぼくも子供時代に戻ってエビちゃんと一輪車やりたいぜ。
 
これで仲良し一件落着かと思いきや。

仲良くなったつもりが最初に逆戻り。アレー?
これも大人から見たら分かるんですよね。エビちゃんの中の「照れくささ」の表現なんです。ですが、タケルには分からないから、エビちゃんが般若にしか見えない。
「女ってやつが、分からない」
うん、わからないよね。
それに気づいたことが、タケルが子供から大人に一歩成長した証。
 
エビちゃん側の思考が原作マンガでもアニメでも一切描かれないのがまたいいんですよね。
無論それは描く必要がないからなんですが、それがエビちゃんを非常に特異な、少年から見た「女の子」の権化に徹底化している要因の一つでもあります。少女漫画のヒロインにはならないんです。

このエビちゃんの顔、きっとタケルは大きくなってから思い出して、頬を赤らめることでしょう。
今は「分からない」でいいよ。
その分ぼくらが頬を赤らめておくから。
キミがエビちゃんを見て頬を赤らめる日を待ってるよ
 
追記・友人に教えてもらって初めて気づいた!

エビちゃんとか呼んでんじゃないわよ」とタケルのボディにいいパンチを放ったエビちゃん。いいボクサーになれそうです。
しかしこのカットよーーーーく見てください。
エビちゃん赤面してるじゃん!
そうか、そうなんだな。
嬉しかったんだね、エビちゃん
えへ、えへへ。
エビちゃん視点のこのデート回、見てみたいですね。
とはいえそれどころじゃないタケルなのでした。今はこんな距離感でいいんじゃないかな。
 

アニメ5話の段階でもうエビちゃん出てくるとは思わなかったので、ほんとホクホク。是非モマンの話もやって欲しいです。エビちゃんのかわいさはもちろん、あのラスト含め。
ここまで書いていて思いましたが、自分は「エビちゃんと結婚したい」とかじゃなくて「エビちゃんとタケルの関係が大好き」なんだなあとつくづく思いました。もちろんタケルには、幼い頃の自分を投影しながら見ています。あの二人だからいいんだよね。
ああ、エビちゃん本当にかわいい。