たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

映画は、いかがわしいくらいがちょうどいい

ついに25周年「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は偏ってるから愛しい - エキレビ!
 
夕張で行われている「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。
25周年です。おめでとうございます。
 
地元北海道民としては「大変いかがわしいお祭り」というイメージでした。
「またまた思い込みでしゃべりやがって」と思われても仕方ない。
だけど夕張は、絶対わかってやってたね。
 

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その理由の一つが「バリバリ夕張」。

ファンタスティック映画祭じゃないけど(てかファンタスティック映画祭じゃないのこれ?)。
「怪しいことやってますよ」という意識はあるんだよ。夕張。
どう考えたって、開催第一回の1990年に「悪魔の毒々モンスター3 毒々最後の誘惑」上映している時点で、おかしいんだよ。
 

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記事にも書きましたが、映画館って、昔怖かった。
シネコンがなくて、手書きの看板があって、行列つくってるのに入ったら立ち見で。
映画館出なければ延々と映画見れたりしたよね。
 
いわゆる「名画座」も多かった。
昼夜問わず映画映画映画。オールナイトで映画。
 
ぼくは熱心な映画ファンじゃなかった。
けれど、なけなしの小遣いで、学校やらなんやらサボって、映画館に行く、行って一日潰す、というのが、ちょっとした冒険だった。
見ていた映画はなんだったか覚えてない。それよりも「映画を見に行っちゃったぜ……」のドキドキがすごかった。
 

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ファンタスティック映画祭が始まった1990年は、まだ映画館がそういう「いかがわしい場所」だったと思う。
ゲーセンもそう。不良の溜まり場。
不良だって、今どき言わないよね。
 
この「映画館はいかがわしい」のイメージを濃縮したのが、ぼくの中にある「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」でした。
 

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なんで「シベ超」全部上映したのかは全くわかんないけどね。
そもそも「シベリア超特急 欲望列車」とか、ピンク映画じゃねえか!!!!
(映画祭バージョン)ってあるからまあ、子供でも見られるようにしているんだろうけど。
ただ「シベ超」1から順にやるんじゃなくて、ここまで徹底してるのが、僕は好きなんだよなあ。
映画が好きなのかわるのりなのか。
 
でもこんな大掛かりな悪ノリだったら、……愛しいじゃん。
 

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夕張は本当に、廃墟だった。
本当の本当に廃墟だった。
 
サブカル者の例に漏れず、ぼくも廃墟マニアで、夕張に一眼レフ(銀塩)をかついで写真をしょっちゅう取りに行きました。
 
夕張の近くに「鹿の谷」という駅があります。
本当になーんにも無いところです。ぼくが最後に行った時は廃墟化してたけど、今はどうなのかな。
 
かつて、鹿の谷には、一つ大きな博物館がありました。
何博物館だったかなー。
とある富豪が、道楽で集めた昭和初期のものを、めっちゃくちゃに並べた、それはもう雑多の極みみたいな博物館でした。
レコードなんて適当に山積み。本も山積み。触ってみてもOK。
 
その一冊を取り出すと、どう考えても超貴重な資料。
おいおいおいだめだろこれは、管理しろよ!と思ったものです。
だけど、管理しようがないくらい多い。
挙句の果て、古い消防車とかまでありました。
 
絶対夜行きたくない薄暗さ。
いかがわしかった。
 

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何年か前に写真を取りに行ったら、ない。駅員さんに聞いたら(つか駅員さんしかいなかった)「今はもう石炭の歴史村に移転したんです」との旨を聞きました。
寂しさに拍車がかかりました。
 
「石炭の歴史村」というのが夕張にあって、これが一大レジャー施設でした。
遊園地と、鉱山資料を集めた遊園地?でした。
 
ここもまたいかがわしい。
石炭資料館は「地下うんたらメートルまでさがりまーす」という謎のエスカレーターにのって、急降下。
降りた先では、炭鉱夫のマネキンがエッチラコッチラ石炭をほっている。
僕は何を見ているんだろうという気持ちで、危険と背中合わせの炭鉱夫を眺めてゾワッとしていました。
 
またなぜか石炭の歴史村には、熱帯動物剥製館がありました。
剥製なんです。動物じゃないんです。
コワイ!
昼間に入ってもこええよ! 夜とか絶対やだよ!
 
「石炭の歴史村」はいつしか、放置され廃墟に。
今は「石炭資料館」が残るのみ。
 
やりきれねえな。
バリバリ夕張の名前の通り、バリバリとバイクでやってくる人は、激減した。
 

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ぼくはいかがわしいものの方が好きだ。
うーん、違う。クリーンなものも好き。シネコン大好き。
でも「映画館」には、たまにはいかがわしくあってほしい。
 
でも、もう無理なんだよ。
 
いかがわしいものは、正直無いほうがいいのはわかってる。
マスの人が喜ばないと仕方ない。子供の楽しめる場所じゃなければ次世代につながらない。
そうあるべき。
 
でもさ。
たまにはいかがわしくありたいんだよ。
 
だから、だいぶクリーンになったとはいえ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が、好きです。
 
そもそもメロン熊作る土地だからね。
あいつら頭おかしいよ、と最高級の畏敬の念を示したい。
 

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音楽も、映画も、きっとこれからはクリーンになっていくと思う。
いいことだと思う。
でも犯罪じゃない範囲で、なにやらいかがわしいものは。
絶対残り続けると思うんだ。
そうであって、ほしいんだ。
いかがわしい文化を受け継ぐ若い世代がいても、いいじゃない。

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おわり。