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今がんばることは、ムダじゃない!「プリキュア5第11話」


くちっずさむ、めっろでぃーがー、おもいだっさせてくれーる。
 
そんな回でした。
今回はもう題名や予告からして、この作品の大きな転換点になるストーリーでした。
プリキュア5のテーマは「夢」。そこから話ははじまります。
 

●「夢原のぞみ」という女の子●


簡単に今までの「プリキュア5」における、「夢原のぞみ(ピンク)」という主人公についてまとめておきます。

・特に取り柄がなく、持続力も弱いため、部活も勉強もできなく目立たない子だった。
・ただ、思い込んだらマッスグなところがあり、裏表ないところが親友のりん(赤)に愛されている。
・ココが突然やってきて「プリキュアになって手伝って」と言ったらすんなり承知。
・夢をしっかりもった4人の仲間を集めてリーダーになる。
・のぞみの夢は「ココの夢をかなえること」。 
・周囲の4人は努力家で、学校内でも有名だが、のぞみは無名。←前回までココ。

明確に何かが描かれた、ということはあまりなかったのですが、じわじわと10話の間に「あれ、この子なんか、弱くね?」というのが見え隠れしていたんですよね。
一番打たれ強そうで、信じるものに突進して「正義」とか「夢」とか「根性」とか「友情」とか言いそうな子なのですが、どうにももろそうな砂上の楼閣感が自分には感じられました。何よりも増子さんによる「のぞみは無名」の指摘が大きかったですネ。
 
はて、そんなわけで持続力のやたら弱いのぞみさん。勉強は全く出来ません。実に18点。平均点は80点。
なんか…0点のテストよりも妙にリアルに「勉強できない」感満載な…。

みんなもさすがにあきれるわけです。中でもかれんさん(青)の「信じられないわ!」っぷりはなかなか痛烈。かれんは生徒会長な上に、努力家で才能もある、天が二物も三物も与えた人だからまあ、しかたないです。
 
勉強だけが大事ではないですが「プリキュアやってるひまないわね。」「それじゃプリキュア4ってことで!」と皮肉られて、とうとうのぞみさんもマジキレして逃げ出してしまいます。
はて…いや確かにわからんでもないんだけど、のぞみはあまりにも勉強しようとしなさすぎているなまけっぷりだし、ジョークだということすらも受け入れられないほど心に余裕のない子だったかな?ましてや、親友のりんちゃんが言っているのだから…。
今回、はじめて本当の意味での「のぞみ」が噴出したのです。今までの明るいのぞみは「こうあるべき」という仮初の自分だったのでしょうね。
だって、彼女が今「夢」だと言っているもの自体が、他人の夢を借りているだけで「本人の夢」じゃないのですから。
 

●明るい子だからゆえに眠る、コンプレックス●


みなさんは、小・中学生の時、「勉強が出来る」と思う子だったでしょうか。「勉強が出来ない」と感じる子だったでしょうか。
実際に出来るか出来ないかは、ココが言うように「才能なんて関係ない」んですが、どう感じてきたかは人格形成を大きく左右するものになります。
「明るい子だから勉強もやれば出来る」「明るい子だからそんなに勉強については悩んでいない」は間違い。「明るい子だから、自分のコンプレックスを人一倍感じることもある」が正解なんじゃないかな、と自分は思いました。
卒業して大人になった人なら「自分のペースでやればいい」「努力することが大切」「必要な知識を少しずつ身につければいい」なんてことはみな口をそろえて言えるようになるのですが、…そんなに子供の時は余裕ないよね。
勉強じゃなくてスポーツでも音楽でも絵でもいいのですが、「人よりもできない」「みんなに追いつけない」と感じたときの苦痛は耐えがたいものです。
もうこうなると別の視点から見る余裕なんかなくなっちゃって、自分を卑下してカベを作る方向にばかり目が行ってしまいます。
のぞみは今まで、純粋さを武器に他のメンバーの心のカベを壊す役を担ってきたのですが、今回自分にこそカベがあることをようやく認識したようです。
そして、ちょっと危なかった。ココがいなかったらこのカベはしばらく壊せないものになっていたかもしれません。
 

●ココという偉大な教師●


今回のココのセリフ、あらゆる子供と大人に聞いてほしいと思いました。淫獣とは思えない!

「のぞみの気球は今、地上で空気を入れているとこかな。可能性という気球だよ。色々なものを見て、聞いて、感じて、学ぶことで気球は膨らむ。テスト勉強は気球を膨らませる一つの方法だよ。」

なぜ勉強をするの?
これは本当に永遠のテーマですが、プリキュア5スタッフの一つの解答がこのような形で提示されたことが本当にうれしい!
感情論ではなく、かといって押し付けでもなく。子供の心にすんなり入って色々な解釈ができそうなこのセリフ。のぞみに向けてでもあり、子供たち全員に向けてでもあるこういう言葉を日曜日の朝に聞けたのはとても幸せなことでした。
 
もっとも…自分たち大人にもこれ、当てはまりますね。
今やってることは無駄なの?今過ごしている時間は無駄なの?できないからと言って避けているだけでいいの?
ゆっくり時間をかけて、自分のペースで空気を入れることは、決して無駄ではない。
気球に例えるとはなんともうまいですね。
 
のぞみには、具体的な自分の夢は、ありません。
ココはそれをきちんと理解していたことにびっくり。

ココの夢を自分の夢に置き換えているのぞみに対して、自分のやりたいことを優先させていいんだよ、と言います。それはひいては、「自分のやりたいことがいずれ見つかるから、それを大切にしてね」という含みが感じられます。
では「ココの夢をかなえるというのが夢」というのはムダ?
そこにもちゃんとした解答が出されました。
どんなことでも経験することは無駄じゃない。やり遂げることによる自信が新しい自分を作る。
なかなか言えないですよね。見習わなきゃ。
 

●親友、りん。●


今回特筆すべきは、のぞみのことを単なる友達以上の絆で情を抱いているりんの存在。
2話でも語られていましたが、彼女がプリキュアになったのは「のぞみを守るため」だし、「のぞみがいることで自分が救われている」という思いも自覚しています。
だから茶化すのも、必死になるのも含めて、彼女の行動一つ一つに感じられる愛情がたまらなくいとしいのですよ。

りんの中の「のぞみレーダー」の高さときたら。遠く雲の上に行く気球の豆粒みたいな姿も見逃しません。誰も気づかなかったのに真っ先に気づくんだものなあ。愛だなあ。

身を挺して真っ先に雲の上に、危険を顧みずに飛び込むりん。もうのぞみしか見えない。いや、ほんとに。彼女がのぞみのピンチに飛び込んでくる様は、完全に王子様のソレでした。あ、一応うららもきたよ。

結局のところ、のぞみは頑張って「38点」でした。いやはや、なんともリアルな数字。勉強してすぐに点数が上がらないところが生々しいですね。でもりんは「のぞみ、よくがんばったねー」とほめ、責めるかれんには「のぞみが急に出来るようにはなりませんよ」と、まるで母親のよう。このセリフの言い方が、またいいんですよ。文字で書くとちょっと小ばかにしているようなセリフですが、決してそんなことのない愛のこもった語り方なんです。いやあ…りん役の声優さんは本当にうまい。
りんとのぞみの関係、保護者と被保護者のようで、お互いがお互いを必要としている関係なんですよね。ちょっと今はりんの方がのぞみに依存気味ですが、今後りんがどう成長するか、のぞみが自立(?)したときにどうなるのかが楽しみです。その時こそ本当の人間関係が生まれるでしょうしネ。
 

●一方、敵組織ですが。●


毎週いやになるくらいリアルな会社を描いてくれるこの作品ですが、今回のはまた強烈。ぐ、グラフですか…。右肩あがりなのがプリキュア、暴落しているのがこの会社。つうか何の数字だこれ。
のぞみは中学生ですから「のんびり空気をためて、飛び立てばいい」のですが、会社はそうは許してくれない。努力したかどうかなどどうでもいい、「結果がすべてなんだよ」。昇進も数字次第。

こんなざまでよく顔を出せるね!とブンビーさんが以前上司に言われたようなことを、部下に言うあたり、ほんとに中間管理職。
この対比が面白いのですよこの番組は。子供に夢だけ与えるんじゃなくて、大人に微妙な現実もちゃんと見せる!
…へこむなあ…。
 

●今週もナッツに萌えればいいと思うんだ●

おまけのみどころ。
 
その1

ココのことをベタほめして照れるナッツ。説明する必要がないくらいのこの顔。
…今自分の中の腐スイッチが入りましたがなにか。
 
その2

まあほんと、食わない回がないくらいよく食うアニメです。うらら「いただき」りん「まーす」は必聴。重ね重ね言いますが、りん役の竹内順子さんの演技は半端じゃない。
 
その3

肉弾戦の多いりん。もちろんのぞみのためだから。
プリ5のスパッツっていまいち目立たない、というかパンツ見せないためにはいてる、という感じでしかなかったのですが、今回ばかりはスパッツ愛を感じました。そう、このむっちり度合いを見せるためにスパッツはあるんだよ!!111
 
その4
次週予告が異常です。

本当によく食うアニメだ…っていう問題じゃないです。食べすぎ!
何やっても面白いうららなんですが、次回のはっちゃけっぷりは大変なことになりそうです。予告に出てくる、よりそうこまち・かれんの顔は必見。
 

アイドルですから!
作画も動きもやたらきれい。今までプリ5見てきて、なんか来週が一番楽しみで仕方ないのですが!
 
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