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熱い国へ行こう!「オーケンののほほんと熱い国へ行く」

オーケンののほほんと熱い国へ行く (新潮文庫)
オーケンのエッセイとしては、1991年なので一番最初になるんじゃないかなと思われます。
題名のとおり、のほほんとインドとタイにいくのですが、かなりオーケンビジョンがしっかりとこの時から刻まれているんだなあと感じさせる、温かくも人間を見ている、そんなエッセイ集です。
 
最初インドに行くのですが、その動機の時点でレインボーマンが出てくるあたり、サブカルチャーな人の見るインド、という雰囲気満載です。
そして、インド旅行記を描くわけですが、とにかくその国のよさというよりも「インド人の面白さ」をじっくりと見据えています。マリファナもどきをすすめてくるおっさんはもとより、ボートで執拗に追い詰めてくる花売りの少女、腕を隠して乞食を装う少年など、「いやいやちょっと待てよ」という人間ばかりなのですが、インド編の最後にあるように、クックックと笑いたくなるよなたくましさに満ちています。インドすげえよインド。
 
タイ編はタイという国そのものを楽しむ雰囲気や余裕すら感じさせます。人間を描きつつも「熱い地域の魅力」をぎっちりと詰め込んだ旅行記になっています。
中でも突拍子もなく面白いのが、マジック・マッシュルーム・ヒデさんの話。自分でドラッグやるのは絶対いやだけど、人のドラッグ体験を聞くのは死ぬほど面白いじゃあないですか。そんなオーケンの好奇心と擬似トリップ感の面白さが詰まった聞き書きになっています。が、オチがまた死ぬほど怖い。
この後オーケンマジックマッシュルームでバッドトリップを体験し、心身症になるのはまた別の話。
ドラッグ、だめ、絶対。
でもまあ、本で読む分には、いいよね。
 
全体的に肩の力を抜きながら読めますが、インド・タイともに、生きるものの「生の力」を感じさせ、オーケンがそれをぬらりくらりと楽しむつくりになっています。インド旅行記はそれこそ色々な作家さんが書いていて、視点が様々で面白いのですが、その一つとしてこんな「のほほん」な楽しみ方もまたよいのではないでしょうか。
 
次回は「筋少の大車輪」
 
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ちょっとずつ追加してます。
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