たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

自分の視野を仲間内だけで満足してはいないか。「プリキュア5第16話」


もう何はともあれこまち姉、まどかさん。コミック版では小説を入れたかばんのふたを閉め忘れてバイクでばらまくという失態を犯すムチャなお方でしたが、アニメ版の姉のしっかり度合いは異常です。ほれました。ときめきました。好きです眉毛とか!(どさくさに紛れて告白)
 
そんな回でした。
今回は、「何かを作ろうとして挫折したオタ」には非常にしんどい回です。
もちろん、子供番組ですから希望で満ちていますが、大人が見るとそこには二つの価値観が並んでいます。
何かを作ろうとする中学生にこそ、見てほしい回なのです。
 

●「仲間フィルター」●

今回の主役は秋元こまち(緑)。
彼女は小説家を目指して日々小説を書き続ける少女です。

中身は冒険活劇。こまちはそれを書き綴っては友人達に見せています。
といっても、以前、小説を書くのを人に見せないようにしていたことがあったので、おそらくこの5人にだけ見せてるのかもしれませんネ。

のぞみ(ピンク)はそれに対して「こんなに文章書けるなんてすごいね!」という反応をしてりん(赤)ちゃんに突っ込まれます。
まあ、ここは笑うシーンなんですが、ものすごくリアルな感想なんですよねこれ。中学生くらいで原稿用紙数百枚書いたと言うだけで、すごいんですよ。2枚くらいでも大変なのにたくさん書ける。中学生が。すごいじゃないですか。自分が中学生ならのぞみと同じ反応をする気がします。小説の知識なんてそのころはありませんでしたし。
それに、親しい友人ががんばって仕上げた作品です。当然、書き上げただけで賞賛に値することだし、ほめてあげたいですよ。
「すごい長いの書けるんだねー!」
「これ面白いよ!すごいよ!」
 
こまちの小説は非常に閉鎖的な、5人の仲間内以外の目にさらされていないとするならば、そういう評価されるでしょうね。「仲間フィルター」です。
もちろん、根本的な読書量が多いわけではないので、客観的な意見なんて出せませんし、同時に友人だからその「努力」をほめて上げたい、というプラス要素はあります。
 
それが、本当に作者のためになるかどうかは別として。
 

●客観的に評価されたこと、ありますか。●

それは、あくまでも仲間ルール。ナッツは冷静に読み、こまちの作品の欠点を指摘します。その時の狼狽っぷりがすごくてすごくて。


一人の中学生の、世界が破られた瞬間。
プリキュアメンツの中でも秀才の位置にいるこまち。おそらく「世界を見る目」という意味ではかれん(青)と並んで知識量はずば抜けて多いことでしょう。中学生としては。
しかし、彼女には決定的に人生経験が足りません。人間関係の幅も、あまり自分から広げるタイプではないでしょう。今までずーっと小説書いていたのを隠していたわけですしね。

わかってはいても、価値観の崩壊をもたらされた瞬間は、この世の終わりのような絶望感にうちひしがれることになります。
 
イラスト・小説・マンガ・音楽…なんでもいいです、やっていて、初めて辛口の評価をされたときのことを覚えていますか?
 

●「批判」と「評価」●

さて、ナッツは「こまちが何を言いたいのか、説明されなければわからないのならばこの作品に価値はない」と言いました。
さてはて、このナッツの言い方、彼のキャラクター性もあいまって、非常に冷淡なように描かれています。いや、実際には冷淡じゃあないんですけど、こまち視点で見たらショックな出来事なので、そう見えても仕方ないでしょう。
彼の行動は、本当に正しかったのカナ?
 
ココ以外は皆、ナッツを攻め立てます。他にも言い方があるんじゃないの?と。
しかし、もしここでナッツが指摘していなければ、こまちは本当に一生「仲間フィルター」から抜け出せなかった可能性すらあります。多分どこかで経験するとは思うけど、時期は遅れてしまうでしょう、このメンツの中にいたら。
時には、残酷すぎるほどに価値観をぶちやぶってくれる人が必要なのです。
 
しかし、ナッツも悩むのが面白いんですよ。

ナッツの行動は、間違っていないと思います。彼がしたのは、立派な「評価」。しかし、言葉を攻撃的にするならばそれは相手を傷つける「批判」にもなりかねません。
見ているとそこまでキツいことは言ってはいないんですけどね。ただ、ナッツ本人が悩んでいるのはやはり、自分の行ってしまったことが「批判」になってしまったこと。
正直に言う=「これは価値がない」と切り捨てることは、単なる批判。そこに「こうするとさらにいい」「この点が足りないんじゃないか」と具体的に、作者に伝わるようにすることではじめて「知り合いの作品を応援する評価」になるのかな、と思いました。

対比として、アラクネアが単なる「作品叩き」をしているのがまた面白い。こんなのつまんねーよバーカバーカ、という感じ。ちょっと大げさなくらいですが、それあまたこの後のナッツの精一杯の「正しい評価」と対比されていきます。
 
評価と、批判は大きく違う。その要素がちょびっとだけ含まれているシーンが随所に盛り込まれています。
そういう意味で、ナッツの最初の行動は、半分正解で、半分間違いなのかなあ、と自分は思いました。彼がもう少し人に対する語彙を持てば、知識はあるのでいい評価者になると思います。
評価と批判のライン引きは人によって違うと思うのですが、他の人はナッツの言動についてはどう感じたでしょうか。
 

●挫折の向こうに●

小説でもマンガでも音楽でもそうですが、自分の中の世界が壊れて挫折したときの気持ちは、なかなか人には分かりえないほどの衝撃がありますよね。そんなに落ち込まなくていいのに、と周りは感じるくらいなのですが、そういう問題じゃない激しい衝撃です。世界の終わりかと思うほどに。あ、そのへんの程度は人それぞれですよネ。
しかし、そこであきらめるか、やり続けるかは大きな差。実際、絵や小説なんかはカベにぶち当たってやめた経験がある人は多いのではないでしょうか。そういう経験があればあるほど、今回は堪える…。

淫獣形態だと、ナッツは素直になれるんでしょうか。
ナッツのいいところは、こまちの作品をほめるわけではないところなんですよね。これで「いや、面白かった」とかお世辞言うようではダメなんですよ。
彼は、あくまでも「今はうまく書けなくても努力すれば成長できる」と言います。今回の作品には欠点はあるよ、というのは決して曲げません。ここで、はじめて「こまちの成長のための、評価」をするんですよネ。
中学生の頃ならば、本当の意味の「カベ」なんてまだまだぶち当たりません*1。だから中学生で挫折するなんてもってのほか。やればやった分、見返りがかえってきます。
 
こまちが今後どうがんばるかは、まだ誰にも分かりません。しかし、一人じゃないし、冷静な判断のできる大人がいっぱいいるので、これを乗り越えてますます伸びると期待できそうです。

ココ・ナッツ・おたかさん・のぞみ&りんちゃんママに続いて、信頼に値する大人がまた登場。こまちの姉、まどかさん。マジほれたんですがどうしよう。
残念ながら今回は、それほど大きな活躍をしなかった彼女ですが、「こまちに前向きな視点を与える人がそばにいること」「ナッツの意見を正しいものとして見られる第三者」として大きな位置を占めていたと思います。
でも、コミック版ののぞみ的暴走っぷりもみたいので、再登場願う。
 

●作品を作る難しさ●


こまちの描く小説は、冒険活劇です。ナッツの指摘しているとおり、確かに「何を言いたいのか分からない」というのは意外と適切で、ちょっと陳腐で「こんなのが書きたいわ」程度しか今はないんですよね、これ。
もちろん最初は「こういうのを書きたい」から入るので、海賊船と勇敢な少年という設定はよくありそうだけど、大切な思いのこもった作品になるでしょう。ほんと、物語を作るというのは難しいですよね。

ナッツが「キャラクターはいい」とほめたのは、もしかしたら「この少年くらい前向きに挑み続けろ」という激励だったのかもしれません。それにしてもなんというツンデレ
 

●がんばりました!…は、通用しますか?●

しかし「がんばればいつかかなう」で終わらないのが、プリ5のお約束。
ほんといつも、大人の胃を痛くしますね。もっとやってください。

こまちに対してみんなが「がんばれば小説家になれる!」と言うのに対して、ナイトメアの会社の中では「努力したかどうかなんてどうだっていい」と言ってのけます。結果至上主義。
しかし…これもまた事実なんですよねえ。
会社組織で大失敗したときに「努力しました!」は意味がありません。小説を投稿したときに「がんばりました!」と書いても何の役にも立ちません。
あくまでも、努力は水面下のもの。求められるのは、シビアな結果。
はて、プリキュア達と対をなすように、こういう価値観も並べて見ると、何が正しいのか本当に悩みます。
才能がないと本当にダメなのかな?努力しても無駄なこともあるのかな?
答えは、それぞれの中に。
 

●ナッツのツンデレっぷりを堪能しよう●

気になったみどころいろいろ
 
その1

とにかくナッツがかわいくてしかたない回でした。もうそれ見るためだけでも十分お釣りが来ます。ナッツはツンデレツンデレ!そして、意外と裏では熱い男。ほれるわー。

しかし、このギャップ。どうもデレのときが淫獣で、ツンの時がイケメンな気がしてなりません。
 
その2

デスパライア様「希望はどこから生まれている?」
ブンビーさん「薄い給料袋の中から…」
ブンビー役のアドリブ、キレがよすぎ&毎回リアルすぎです。もうすっかりファンです。これからも、パパさんたちの同情を一気に引き受けるキャラでいてください、ブンビーさん。
アドリブといえば、コワイナーが今日も声が変化していました。よく「コワイナー」というセリフだけであそこまで色々かわるものです。今後の楽しみが増えました。がんばれ中の人!
 
その3

かれんが親身になってこまちに寄り添っているのが非常にいいです。前々回、かれんが苦しんでいた時に手を差し伸べたのもこまちでしたしね。
ただ、彼女がどんなに小説をほめても、彼女の中でわだかまりがあった、ってのがいいですよネ。受け止めるべきものは、自分で受け止めねばならないのです。
 
その4

こまちルーム。和室にベッド、でも机は座布団!そして本棚は一切なし。彼女の性格を見るようで、なかなか面白いです。
今回はこまちの家の和菓子屋のシーンが多くて、今までのプリキュア5観と世界が違っていて、興味深いですネ。
 
その5

こまち姉のまどかさんの足。は、はだし!
はだしになる=気を許している、という感覚が自分にはあるので、なかなかこのシーンにはときめきました。こまちとまどかの関係、また見たいです。
 
その6

こういうリアルな修羅場で、困惑してしまって何もできないのがのぞみさん。もめごとに、ちょっとだけ弱いのは変わっていないようです。

だけど、きれいごとかもしれないけど、はっきり言える彼女はかっこいいですよね、ってなんだこの縛り方。エロいことを考えた自分は勝ち組。
 
その7

来週は、りんちゃんが、男に!たぶらかされる!(多分違う
そんなことをしたら、のぞみさんの嫉妬が!いやいやまてよ、なぎさも藤P先輩がいても本命はほのかだから、これもアレか?あれなのか?
という不安も抱きつつ、ワクワクしておきます。
 
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*1:一部のトップ中学生除く。全国レベルのカベは厚い。