たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ツンxツンの美学を見た。「みつどもえ」の、杉崎とみつばの関係にときめこう。

人には、ドリル属性というものがございます。
ええ、いわゆるドリルは男の浪漫という言葉もございます。グレンでラガンなのとか。しかしそちらのベクトルではありませぬ。
髪の毛ですよ髪の毛。髪ドリル。
実際に髪の毛が巻き巻きになっていて、しかもツインドリルなんて子は、ウィッグかなんか以外で自分は見たことないのですが、アニメやマンガの世界ではそれはもう……!…そんなにいないっすね。
かつてもいたのかもしれませんが、自分は多分にもれず、「マリみて」の瞳子ではじまりました。あの子に出会って魅力を追ってからの自分のドリル属性ときたら、すべての道はドリルで通じるって勢いでした。
 
そんな自分の中では、とあるキャラの影響もあって、ツインドリル=ツンデレ*1気味の百合っ子という印象が強くなりつつあります。もちろん瞳子のせいもあるのですが。
それこそが、「みつどもえ」の中で最近赤丸どころかピンク丸急上昇中の杉崎みくです。
 

●ドリルのねじれは心のねじれ●

まず簡単に、「みつどもえ」を知らない人でも分かるように、完結にこのキャラを説明いたします。自分の私情多目ですが。
主役三姉妹の長女、丸井みつばは人に対してちょっとサディスティックな性質を持ちつつも、極めて人の加虐性をあおるような、なんともピュアなかまってちゃんオーラ全開な女の子。
だけど、基本サディスティックだから近寄りづらい彼女。みんなスルー状態。
そこでですよ、我らがツインドリル、杉崎が猛攻撃をしかけるわけです。
みつばをライバル視し、みつばに汚い言葉を浴びせかけ、みつばの弱みをとことん握ろうと日々苦心するのです。

昔からよくある、少女漫画展開にはつきものの「主役に嫉妬するキャラ」
杉崎はそれを真似たというよりも、それをパロディとして飲み込んで作られたキャラに思います。そのくらい大げさにみつばをライバル視しまくります。
それもほとんどが勘違いからのスタートです。しかし一度気にし始めると、ずっと気になるのもまた事実。そう、杉崎はみつばが気になるのです。

もちろんこの「気になる」というのは含みがありますヨ!
後ろの二人を見ていただければわかるように、わりとみつばのことは、クラスメイト全体はどうでもいいと思っている感じがあります。まあ色々株の上がる事件が多発したため、1巻のあたりの頃ほど嫌われなくなったようですが、サディスティックで人の弱みに付け込み、口もやたら悪いみつばは、クラス内では比較的うざがられている存在として描かれているのがミソ。ほとんどのキャラが、文句までは言わないもののスルー状態です。
この点、誤解でもなんでもなくて、実際みつばはやることなすことが、迷惑です。ええ。

それに似ているようで、意外と対極な立場の杉崎。
すごいお金持ちで、クラスの中心人物的な立ち位置で注目されている子。
明るく、発言力もある彼女。実際クラスメイトがどう思っているかまではあまり描かれていませんが、みつばよりは馴染んでいるようです。

実質、どちらが上下とかというものは決してないのですが、このクラスで一番みつばを気にしているのは彼女です。
それがマイナスベクトルのものでも、気にしているというのは事実。まわりがそのこだわりぶりにどん引きするほどに。
そう、このハートと髪の毛のねじくれ具合が、杉崎xみつばのツンxツン伝説の第一歩なのです。
 

●ツンVSツン●

ところでこの二人、ツンデレっぽくみえるのですが、正確にはなんというか…サディストデレ?でしょうか。
 
このへんのシンクロ度合い、二人とも「私は人より上に立つ」という負けず嫌いぶりがかちあって、えらい温度になります。
おそらくお互いに、自分のイヤな部分が見えて拒絶しあっている感じも受けます。そのへんもあわせて、どちらも「気になる存在」と言っていいのかな。
そう言いたくなるのは、みつばと杉崎の本気っぷりをマンガで読んでいただければ分かると思います。
誰より何より、お互いに、やりすぎるくらいヒートアップしてしまう二人。これ以上さらけ出すものないだろうってくらい、虚勢をはりつつ自分の裏側をさらけ出しあいます。
お互いのそんな心理がわかっているから、さらに虚勢のバリアを高く高く。

まあこのシーンも笑うところなんですが、この独特な距離感が二人の関係の魅力だと思うのですよ。
どっちも「大嫌い」すぎて、変に意識してしまうそんな特別さ。
そう、ツンとツンがぶつかったときに生まれた「大嫌い」は、時として誰よりも強い、意識してしまう気持ちへと変化するのが、この二人なのです。
 

●あ、あんたのためにやったんじゃないんだからね!●

こっからデレ構成になります。
 
二人とも負けん気で、がっつりぶつかる機会が多いのですが、そうしていくとやはりお互いへの「特別感」はふくれあがっていきます。

みつばがある状況で、ぐったりしていたときに「みつばのためになんて!」と背を向けた杉崎。
死ねばいいのよ!ってのもまた極端ですが、極端なことをいう子ほど、気にしちゃってるんだな。このへんは定型句のようですが、それを分かった上で租借して描いてくれると、恐ろしいほどのかわいらしさへ変化します。

見てくださいこの、明らかに意識している視線!
そしてドリル。

回を重ねるごとに、言わずとも手を差し伸べるようになった杉崎。これは倒れて意識を失ったみつばを、無意識のうちに運んでいた杉崎の反応。
ええ、口では「重くて!」とか言いますよ。
でももう体が反応して運んじゃうんです。
なぜ?だって「気になるヤツ」なんだもの。あんたが倒れたら寝覚めが悪いのよ!とか言いそうですが、全くもって倒れたままにしていたら、杉崎は寝られないんじゃないかと思います。
 
ではみつばはどうかというと、杉崎ほどではないですが意識はしているようです。そもそもみつばは杉崎を「嫌う」というよりは、「苦手」という感じのようです。
しかしここまで日々付きまとわれて、日々悪口合戦になれば、そばにいてあたりまえの存在に。一度は杉崎たちの仲良しさんたちの会話に、ナチュラルに口をはさんでいました。
そして、そのみつばの心の奥が明らかになる回も登場。
杉崎が人身売買で売られて死んでしまったと勘違いしたみつばが、無意識にとった行動が。

ああもう!本音が出ちゃう長女みつばさん、かわいいよ。
抱きつかれて頬をあらかめる杉崎、意識しすぎだよ。
 

●ツン同士が引き起こす、受けx受け●

ここからは割りと思い込みで杉崎とみつばの関係を書いていきます。
ツンな子とツンな子がぶつかりあうとき、お互い攻めにまわるように思ってしまってましたが、実は相手が反応してくれるというのがわかって、釣り糸をたらしているだけの状態なんですよ。
別にそれで相手がコテンパンになって、抵抗すらしない、というのを望んではいません。むきになって反撃してきてくれるのをのぞんでいます。
一応「嫌いだから」「ムカつくから」という大義名分はありますが、毎日バトルするくらいになってしまえば、いないと気になる領域に突入。
今日はこのくらいやっても大丈夫かな?このくらいなら反応するかな?
そんな「誘い」の駆け引きが行われ始めます。
そして、どちらもその状態だから、キャッチャーミット構えあいという不思議な状態に。

この二人、今後も「誘い合い」状態がじわじわと進んで、うまい具合距離感を保って行くでしょう。
それが、この二人の絵に表れている気がしてならないのです。視線は交わしたいけど、似たようなS同士、背中で触れ合うのが精一杯なのです。
ラブじゃないけど。同属嫌悪じゃないけど。こんな二人の特別な距離があってもいいですよね。

まあ、周りの視線は冷ややかですが。
 
がんばってこれからも脚をひっぱりあってください。
そんな二人を見るのが、今の自分の癒しなのです。
 
みつどもえ 1 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 2 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 3 (少年チャンピオン・コミックス)
みつどもえ、他のキャラ達も最高にキャラが立ち始めて、どのエピソードもすべて欠かせず面白いです。とりあえずディープなみつどもえファンの一番人気は、おそらく千葉氏なのではないかと。「佐藤君が好きでしようがない隊」も、どこまで変態になってくれるか楽しみであります。
余談ですが、なんで杉崎こんなに目立つのかなあとおもったら、秘訣は目だったようです。彼女意図的に一重になってるんですねこれ。
 
〜関連記事〜
「萌え」と「毒」のバランスを「みつどもえ」から考える。

*1:正確にはちょっとちがうけど