たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

叶わない夢。消えていくこの瞬間。「プリキュア5第39話」

日本のがんばっているパパさんたち、おはようございます。
さあ、娘さんと一緒にプリキュア5を見てさわやかな朝を過ごしましょう!

休日出勤。
な、ナイトメア・・・なんという悪夢!
 
そんな回でした。
つうか、休日のある悪の結社ってなんですか。休日出勤一人だけの悪の結社ってなんですか。しかも事務処理ですか。経理とか大変そう。
日曜の朝に生々しすぎる。プリキュア5は本当にこのへんのソリッドさが半端ないです。
毎回思うんですが、幼い女の子にはすてきな夢を、大きな大人にはシビアな問題を考えさせるお題を提示しますよね、この作品。あ、あとオタクには妄想をネ。
はて、そんなプリキュア5のテーマは「夢」なんですが、果たしてこれが絶望に勝てるのかというと、普通に考えたら「勝つよ!当たり前じゃないか」と少年少女には言いたいところですし、のぞみもそう言うのですが、「本当に?」といきなりこっちに向き直ってきました。
本当に?夢って全部叶う?
 

●ココという現実、小々田先生という架空●


今回、全体的にほぼすべてのメインキャラにスポットが当たるというやさしいお話になっていましたが、その中でもメインになっていたのが、ココ。基本的に物語はココの視点で進んでいきます。
まず、そもそもココとのぞみの間にどんな感情が生まれていたかが問題なんですよ。
見終わった後の顔は鏡では見られない。「プリキュア5第26話」
乙女の感情の高ぶりに、ニヤけたりへこんだり。「プリキュア5第31話」
1話で突然ぶつかってときめいたのぞみ。色々な波乱を超えていくうちにほんの少しずつ二人の距離が縮むようなイベントが重なり、気づけば「一緒にいないことが考えられない」ほどに募る思いがわきあがり、それぞれお互いの存在を激しく意識しはじめました。
二人ともまだ「恋愛」という意識はない…いや持たないようにしているようです。が、間違いなくこの二人の感情は「かけがいのない存在」になりはじめています。
認めたくないけど(りんちゃん好きとして)。
 
しかしですよ。
ええまあ、小々田先生はかっこいいし、そりゃもう、男から見てもいい男すぎる。惚れますよ、かっこいいもん、芯があるもん。

こんな男の優しい先生、そりゃもう惚れますよ。
しかしですよ。こいつはどんなにかっこいい先生であろうとも、結局ケモノ状態がデフォルトなわけですよ。
のぞみは時々小々田先生との未来のビジョン(ロマンス、結婚)を妄想シーンで描くのですが、ちょっとまて、君、それははりぼてだ。彼は体力を失い、疲れると元に戻るんだ。
のぞみさんは、確かにそんな外見で人(?)を判断する娘じゃありません。だから、きっとケモノのままでも愛し続けてくれるでしょう。
だけれど、ココはそれでいいの?
そもそも、パルミエ王国復活したら、もうこののぞみと一緒にいる必要ないし、戻らなきゃいけない。そして、君は王子様だ。
結ばれないじゃないか。
 
今、ココはまだ自分の気持ちを表に出せません。具体的に言うと「のぞみと一緒にいたい」「好きだ」と言えません。
それはココがヘタレなところがあるからというのもありますが、本当のところは上記のとおり、これが続かないことが分かっているからです。

一見ほほえましいシーンに見えますが、ナッツの表情に注目。あまり快く思っておりません。
そもそも、ココとのぞみの間にはもう、ただならぬ感情が生まれてしまっていることを彼は気づいています。しかしココは「今後続かない」ということに猛烈におびえており、ナッツという親友をだしにその時間を楽しもうと必死なんです。
こんなにいい笑顔、いいテンションなのに、その心には耐えられないほどの「別離への恐怖」があります。
今が楽しければ楽しいほど、のぞみが好きになってしまえばしまうほど。
彼はケモノに戻り、そしてパルミエ王国に戻ったときの別離が訪れたときのつらさもまた何倍にも膨れ上がるのです。
 

●今この瞬間、ともに見た景色●


突然ココがテンションあがり、高い木に登り、3人で見たこの町の風景。
ココが見た秋のイチョウ舞う中でのこのシーンはあまりにも美しくて、あまりにも切ない。
この町は、この世界は、とてもどこまで澄み渡っていて、愛しいものです。それが、大好きな人と見た時なら、なおのこと。
好きな女の子がいて、信頼する親友がいて。そして美しい世界があって。
このシーンも、もちろん二人の男子がケモノであることを考えると途端に切なくなるのですが、そこで対比されるようにナッツは昔のことを言います。

悪いことだと分かっていながら、二人で上った木の上。
そしてそこから見たパルミエ王国。
これだけだとただのかわいらしいファンタジーな風景ですが、先ほどの3人で見た町と比較すると、もう胸が締め付けられます。そこで、「二人が見て心を動かされた」という瞬間が、確かにあったから。

のぞみはその点について、全く悩んでいません。彼女が見つめているのは「今この瞬間」と「とりあえず信じる」という夢。
それは、現実的じゃないものですか?夢見がちな乙女の陥る、見えていない現実なんですか?
 

●いつまでもきみといっしょにいられますようにってさ●

しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ)
何回か紹介したことのある絵本「しろいうさぎとくろいうさぎ」。
この中でくろうさぎは、幸せに楽しんでいるはずの瞬間なのに暗い顔をします。そう、彼は怖いんです。今が楽しければ楽しいほど、その人を愛しく思えば思うほど、別れの瞬間がきてしまうことが。
だから、「いつまでもきみといっしょにいられますように」とひたすら念じ、祈り続けるのです。
その真摯さが心を打つのですが、同時に「考えるより今一緒にいる瞬間も大事にするべきでは?」という思いもあります。でもそんな理論じゃなくて、感情的に「別離の不安」が沸くのはもう止められないことなんですよね。杞憂だとしても。
そして、ココにとってそれは杞憂じゃない。むしろ「種族が違う」「戻らなければならない」「先生と生徒」という苦悩が重なり、のぞみに「好き」だと言えないのです。言ってはいけないと苦しみ続けるのです。

このシーン、まるでのぞみが「しろいうさぎ」、ココが「くろいうさぎ」のようです。のぞみはただ、ココといられるこの瞬間を大切にしているだけ。ココは、未来への複雑な不安を抱えています。
うさぎと違うのは、ココは住む場所と種族が違う、ということ。
願えば、本当に叶うんだろうか。
今までのプリキュア5で、どんなに無理と思うようなことも「願えば絶対叶うよ!」という力強さで押し切ってきましたが、今回ばかりは「叶う」かどうか、いや、叶わない確立の方がはるかに高いと言う絶望的な局面に立たされているのです。しかも、それをのぞみに言うことは、できない。

国語の点数があがった件について話すと、「小々田先生の教科だから、特別にがんばった」というのぞみ。愛しすぎる。 
できるならば、抱きしめたいよ。できるならば、好きだっていいたいよ。
でも、できない。
彼はただ、手を離すのです。
 

●少女の瞳は、ただ、見つめる。●

ココの苦悩は半端じゃないヘビーさに包まれています。信じたいのに、ポジティブになりたいのに、恋っていう感情はそういうのを許してくれないんだなあ。
といっても、この作品のえらいところは、その苦悩すべきシチュエーションを悲劇的に描かないところです。
りんちゃんのセリフが面白いんですよ。どう考えても100%勝てるかどうか分からない局面に立たされたときに、絶対勝てる!とは言いません。デスパライア様が強烈な力を見せ付けてきたとき「私に勝てると思うのか?」と聞かれ。

「さあね?」
ちょっと意外。「みんながいれば!」とかじゃないんですね。「力をあわせたら勝てる!」じゃないんですよ。
自分が出来ることを精一杯やるだけ、と彼女たちは答えるのです。
OPの歌詞を思い出します。
「勝ち負けだけじゃない未来へ」
だがしかし、勝ち負け大事じゃない?未来になったら今の燃える思いも消えて、みんなばらばらになるんだよ。なに血迷っているんだい、この後のこと冷静に考えたら、どうにもならないの分かってるんでしょ?
どうだい、絶望したかい。
見ていて、こちら側の精神がどんどん削り取られていくようなデスパライア様のセリフと、ココの苦悩っぷり。そうなんです。確かにプリキュアたちは前向きで光だけを見つめているけれど、のぞみを好きになってしまったココにはあまりにも残酷な時間が待っているのが分かるから、つらくて仕方ない。
だから…あきらめますか?

のぞみの目は、未来の悩みなんて見ません。ただひたすらに今この瞬間を必死に生きることと、楽しむことだけを考えています。いや、考えていないかもしれません。
自分の感情を、ひたすらに信じるのが希望なのでしょうネ。
それが本当に答えになるかどうかはわからないですが。いや、なってくれないと困るんだけど、お約束の解答に対してのぶつけ合いが半端じゃないので、見ていて熱い思いと鬱な感情がうずまきます。
はっ!それが希望vs絶望じゃないですか。

希望って、未来に対してだけ思うものですか。相手が喜ぶ顔をしてくれたいという今この瞬間の感情は、うそじゃないよ。そうココとプリキュア達は叫びます。
それと同時にココが人間型から元の姿に戻ってしまうのがまた興味深い。それが素に戻ったと言うことなのか、力が及ばないということなのか。今の時点ではわかりません。

ただ、今ここに仲間がいて、楽しい時間が送れているという事実だけは、まぎれもない真実だから、それは信じてもいいんじゃない?と問いかけます。
 
分からないですよね。言っていることは確かにまっとうですが、ココとのぞみが別れてしまうのは今の時点のままだとそのままです。それを心配するココの気持ち、もっともです。
希望の力が、なにを生んでくれるのか。
どちらかというと都合がよい状態の解決よりも、必死にあがいて苦しんで涙を流して乗り越えようとするのが「プリキュア5」です。きっと、笑顔のために歯ぁくいしばって戦い続けてくれるんでしょう。そして、それが見たいよ。
正直大人側としてはこの希望と絶望の命題は生々しすぎて、見ていてココのように余計なことを考えてしまいしんどいけれど、必死につかんでくれることを信じてこっちも「今この瞬間」を見ようじゃないか。
戦え!なにを?人生を!
 

●りんちゃんはなにげにサブリーダー●

今週のみどころ。
 
その1

りんちゃん党としては、ココxのぞは、いいんだけれども、やっぱり見ていて「りんちゃん!」って思ってしまうのですが、今回はとにかくりんちゃんの出番と言葉が素晴らしかったです。
確かに人をつなぐ役としてののぞみはリーダー的存在なんだけど、りんちゃんは話を切り出し、戦いの先頭にたつ意味での切り込み隊長でムードメーカーだとつくづく感じました。のぞみあってのりん、りんあってののぞみ。

いー顔してるねー。
 
その2

ココxのぞがくっつくとさみしい組の、のぞみ大好きーなお二人。
まあね、二人ともわかっては、いるでしょうね。鋭い子たちだし。ガンバレ、蝶ガンバレ。
 
その3

うららのソックス。片下がりとはマニアックな。
どんな層ねらいですか!・・・あ、自分か。
 
その4

今回は、メンバー以外のまわりの女の子の描き方がとにかく辛らつでリアル。イケメンインタビューしにきた記者の「あなた邪魔だからどいて」発言には本気で腹が立ちました。その後にココが激怒してくれたからよかったけど。そしてそれを素直に聞いちゃうのぞみの、元気なようで自信のない姿にもまた涙。のぞみ、いい子だわあ。
 
その5
そして、女の子のシビアな目はもう一つ。

キャーイケメン!

女の子見つける。

フーン。
な、なにこの妙なリアルモブ。
 
その6

最近ナッツがいい男すぎていちいちむかつくんですが(ひがみ)、こまちが笑顔になるので仕方ない。お、お父さんまだ認めてないんだからね!
 
その7
今回はアクションシーンすさまじいです。

本気で怖いハゲ影たち。いや、ちびりますってこれ。しかも倒しても倒してもわらわらわくんだもの、怖いよ!
とはいえ、そこは子供番組。カタルシスもきっちりと。

地面から切り離すと爆発する仕組み。いやー、爽快。
関係ないけどワールドヒーローズのギガスを思い出しました。
 
その8
それぞれ全員にアクションの見せ場があったのがうれしい!

なんてったってりんちゃん。最近足技冴えまくりです。これ、女の子だけじゃなくて男の子も見た方がいいよ、燃えるよ!

サマソ→竜巻旋風脚のコンボ。かれんさんの長いポニーテールは、アクションを引き立てるのにぴったりです。

うららはまあこんな感じ。おしりもこもこ。
んで、最強なのがやっぱりこの子

どすこいこまちさん。ふつーに防御技で押しつぶすことを覚えたようです。
 
その9

希望のコレットに触れたデスパライア様の左手が燃え上がっていく様は軽く恐怖。絶望は希望に打ち消されるってことなんだけど、いー具合にグロテスクです。
 
その10

次回はおばさん祭り。というか、オタカさん!?好きなキャラだけに、来週明かされるであろう真実が気になりすぎます。
  
Yes!プリキュア5 Vol.1 [DVD]Yes!プリキュア5 Vol.2 [DVD]Yes!プリキュア5 Vol.3 [DVD]Yes!プリキュア5 Vol.4 [DVD]
1、2は絶賛発売中。まだ2だけ画像なし。りんちゃんの太ももがポイント。
Yes!プリキュア5 Vocalアルバム2 ~VOCAL EXPLOSION!~ガンバランスdeダンス~夢みる奇跡たち~
今回は緊迫していたので、EDとブンビーさんだけが癒しでした。
Yes! プリキュア5 2008年カレンダー
フライング情報だと、来年もあるらしいとのことですが・・・どうなるのかなー?
Superior Class Series Yes!プリキュア5 キュアドリーム

Yes!プリキュア5 企画ミニアルバム ココ(小々田)&ナッツ(夏)

 
以下過去記事
 
 
大人になったら何になりたい?「YES!プリキュア5」第一話
プリキュア5が二話目にしていきなり百合展開でした。
実力の伴わない夢は持ってはいけませんか?「YES!プリキュア5 第4話」
これからのヒロインはもりもり食う時代へ!「プリキュア5 第5話」
やけにリアル社会人な敵のお仕事。「プリキュア5第6話」
少女たちの絆は、少しずつ歩き出した。「プリキュア5第7話」
学年や身分による感覚のカベってありますか。「プリキュア5第8話」
有名なみんなと、そうでない自分と。「プリキュア5第9話」
社会の仕事は甘くない。「プリキュア5第10話」
今がんばることは、ムダじゃない!「プリキュア5第11話」
アイドル業は、その一歩から。「プリキュア5第12話」
自分のために生きる?誰かのために生きる?「プリキュア5第13話」
お金で買えるの?その価値は。「プリキュア5第14話」
少女達の友情はいつまでも。「プリキュア5第15話」
自分の視野を仲間内だけで満足してはいないか。「プリキュア5第16話」
どんな時でも、そばにいるよ。「プリキュア5第17話」
友達は、必要ですか?「プリキュア5第18話」 
心配は何のためにするの?「プリキュア5第19話」
まっすぐ進むだけが道じゃない。「プリキュア5第20話」
ミルク視線で楽しむ「プリキュア第21話」
大人としてのココの立ち位置。「プリキュア5第22話」
5人それぞれの心の闇へ。「プリキュア5第23話」
追悼・ギリンマへ。平社員の憂鬱と哀しみに敬礼
さあ、その手をつなごう。「プリキュア5第24話」
4人の心がここから開くんだ!「プリキュア5第25話」
見終わった後の顔は鏡では見られない。「プリキュア5第26話」 
夏に女の子を怖がらせたくはないかい。「プリキュア5第27話」
あなたがいつも側にいたから。「プリキュア5第28話」
人をつなぐ架け橋になる人って、大切なんだよね。「プリキュア5第29話」
自分が輝くのではなくて。「プリキュア5第30話」
乙女の感情の高ぶりに、ニヤけたりへこんだり。「プリキュア5第31話」
結婚ドリームなんてお父さん許しませんよ!「プリキュア第32話」
マスコミという名前のコミュニケーション。「プリキュア5第33話」
影から支える人たち。「私があなたの騎士になる!」「プリキュア5第34話」
信じてくれる人がそばにいる、それだけでいい。「プリキュア5第35話」
あなたと一緒に、自分達のペースでゴールまで。「プリキュア5第36話」
バランスよい食事と、バランスよい人間関係。「プリキュア5第37話」
プリキュアたちの関係をファンタジーな角度から見てみよう。「プリキュア5第38話」