たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

いたぶる女の子といたぶられるダメ男の美学を考える「M男×年下の女の子」

今日の日記はエロめなので収納。
 
 

「モモパン」シリーズはニッチな性癖を集めたアンソロジーコミックス。今までも「野外放尿小便少女」「姉孕ませ」などかなり極まったフェチを寄せ集めていました。
しかし今回はツボに入って即買いでした。
題して「M男×年下の女の子」。ダメ男たちが少女にいたぶられるアンソロジーです。個々の作品もちろんクセが強いので、読む人ごとにあうあわないのふり幅も大きいのですが、エロマンガシーンに見られる「だめな男像」「強い少女像」が明確に出ていてこれが面白いので、ちょっとそのへんの美学を見てみたいと思います。
 

●サディスティック少女の方向性●

まず少女側から見てみます。

睦先生「普通のともだちとかくるから」より。
お兄ちゃんをひたすら妹が言葉責めしつつ、肉体的にもいたぶっていく物語です。
非常にその主従関係だけでもエロティックなんですが、そこにもう一人のクラスメイトの少女が入る事で、妹の欲求や感情がむき出しになっていくのが非常に面白いです。
 
エロマンガのドS少女もさまざまな方向性があります。

・自らの中からわきでる性欲求を満たすために加虐
・相手が求めているからこそ与えようとするロールプレイ
・相手の男性への愛情表現の一形態
・男性より優位に立つ事の快感

などなど。とことん責めまくる蒸気機関車と、1グラムのデレ成分配合の違いでもさらに違いが出てきます。
もっと大雑把にわけると
「男性の性欲求を満たすためにつくられた能動的キャラクター(妖精や淫魔的)」
「人間同士の感情の行きかいを満たすための関係重視キャラクター(人間的)」

ともいえます。
どちらもそれを極めていくのは至難の業。特にこういうSMチックな場合は、加減が絶妙です。
 
この睦先生の作品がどれにあたるかは最後まで読むとわかるような仕組みになっています。
兄をいたぶりながら、ずっと妹が顔を紅潮させつつ汗をかいているのがまたいいんだなあ。
エロマンガはある点「男性の性妄想をいかに描くか」がテーマの一つですが、そこに一滴でも人間味が出てくると魅力が増します。それはこの「責める少女・責められる男性」というジャンルで大きなポイントでもあります。
 

●ダメ男の方向性●

一方、受身のダメ男の存在が大きいのもこのジャンル。
特に少女が非常に力強く美しいほどに、男がすげーダメだとマンガは面白くなります。

睦茸先生「私の好きなモノ」より。
先ほどのタイプでいうと、淫魔・妖精型の少女が主人公です。
ひきこもりニートオナ三昧の超ダメ男をいたぶるのが趣味、というなんともスゲー設定なのですが、その少女の「生々しさ」をはぶいて徹底的なまでに「サディスティックな少女」で塗り固めているのが魅力的です。
だからこそ、相手の男性はもうどうしようもなくダメじゃないといけないわけですよ。
 
「少女と年上の男性」という場合はどうしてもぱっと見ての力関係が逆転しているため、そこをいかに描くかが重要です。
そういう意味では、あまり「女性が男性を陵辱する」ってのはないんですよね*1。そもそも男性側は力の面で、しばられてでもいない限り逆らうことができますし、立たないこともありえます、
ただし、上記のマンガの関係は明らかに少女が「奪う側」なんですが、男性側はそれを「よし」としているんです。このへんの「共犯関係」が、S少女M男のマンガの最大の魅力
 
ずうずうしい話ですが、男側はエロマンガの中でかわいい少女がいやなわけがないわけです、そういう基本があるわけです。
それを自分から求めずとも、与えてくれる。男が力づくでそれを奪う背徳感はここにはありません。そんな「与えくれる少女」「徹底的に奪われても幸せそうなダメな男」という特殊なイメージは、二次元だからこそ育まれる面白い脳内遊戯です。
 

●踏む。●

さて、女性優位の場合欠かせないものになりつつある、「踏む」という行為。

SHIUN先生「あいどるバック☆ステージ」より
大好きなアイドルのためにひたすら頑張ってマネージャになったブ男を、そのアイドルが「きもちわるーい」と罵っているうちに、そのSっぷりを開花させるというお話。徹底的に女の子のSっぷりをかわいく描いた作品です。
「アイドル」という存在が非常に象徴的です。「偶像」ですから。
読者の男性にしてみれば、その中にいる女の子が「徹底的に偶像的」なのもマンガならではの楽しみ方の一つになります。
だからその場合、背も力も自分の方が上だとしても、少女の上に立たずに下に下に下に、ゴミムシ状態に自分を追い込む事でそのギャップはどんどん広がります。広がれば広がるほどに、サディスティックに差し伸べられた手や足がエロティックになります。溝が大きいほど興奮度は増すこともあるのです。
 

てつ先生「ゆけ!幼女自景団」より。
いいですねこの「おめえキモいんだよこのロリコン」という顔。もうひたすらに「ロリコンは許さない」という名目で相手の優位に立ち、とことんまで自分のS欲求を満たす幼女のファンタジーがたまりません。
無論、これらもマンガ内だからこそ完成する関係。力でかなわないわけがないような子供に勝てず、いたぶられ続けるのは、読者の欲求の反映でもあります。
 
先ほども書いたように、これらのSM物語の面白さ・エロさはその共犯関係にあります。
それを端的に、はっきりとあらわすのが「踏む」という行為なのでしょう。
最近のエロマンガを見ていると非常に「踏む」シーンは増えつつありますし、少女に一方的に責められる男性像も多くなってきました。
男性が思い描き求めた「少女のカタチをした欲求」としても面白いですし、その力関係の中に生まれた「少女と男性の感情を性を通して描く物語」としてもぐっとくるものもあります。そんな読者と作家とキャラの距離感こそが、一つの美学になっています。
ぜひとももっと増えてほしいですな!きつい少女に踏まれたいですな!
 

 
今回のこの一冊だけでもかなり幅広いバリエーションになっています。絵的にもかなりクオリティ高い作品がそろっていると思います。特にトリノ宗肉先生の幼女っぷりがすさまじいです。
今後、ぜひともエロリマンガ界の様々なS少女を得意とする作家さんに集っていただき、アンソロジーを作っていただきたい!秋葉凪人先生とかっ、緋鍵龍彦先生とかっ、笹倉綾人先生とかっ。

*1:0ではないですが