たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

学研風味のヒロインに恋をするよ「ホームセンターてんこ」

●ぼくの初恋は学研の学習。●

何度か書いたことがあるんですが、自分が始めて「ドキッ」と恋に似た感覚(つかヰタセクスアリス)を感じたのは、紛れもなく学研の学習と科学でした。
今もあるのでしょうか。学研のおばちゃんが毎月届けてくれる本と教材で、自分は科学派でした。ついてくるおまけが好きで好きで。立体メガネとか顕微鏡とかね。
んで、大体学習マンガ的なものが本誌には掲載されているわけですが、藤子メソッドというか「主人公」「ヒロイン」「博士とかロボとかっぽいやつ」という組み合わせのものが多いわけです。わかりやすいとこだと「まんがサイエンス」をイメージするといいです。
主人公はたいてい好奇心旺盛な少年なのですが、なんせこういうマンガのヒロインの第一条件はかわいさです。そう、少年の目から見た少女はかわいいんですよ。自分と一緒に世界の謎を探求し学習するパートナーはかわいく見えるのですよ。甘いあまーい。
だから自分は、学研の本に出てくる少女にいつも恋をしました。
ぼくの科学的好奇心を一緒に満たす、元気で明るい女の子たちに。
 

●少女はドリルを手に持って●

そんな感覚をぐいぐい思い起こさせるマンガに出会いました。
とだ勝之先生のホームセンターてんこです。

きちゃったよ。表紙を見て、はっ!と来る人は一発で心惹かれるような、学研的デザイン。
いいですか、少女の手にドリルですよ。男の子が真剣になって打ち込む工作の、ロマンアイテムのドリルを持つ女子高生ですよ。
絵柄のやわらかさといい、学研世代の僕らの心をぎゅうぎゅう締め付けるような、この感覚。これはあれだ、初恋の人に出会ったあの感覚だよ。
 
ヒロインのてんこが、とにかく工作が好きで、「工具に魅入られていく様こそがキュート」という、すばらしきまでに男の子心をくすぐるつくりになっています。あ、男心じゃないですよ、「男の子心」。

もちろん一番工具に気合が入っているのは少年なわけです。そこはかつての学研の学習マンガの流れを汲んでいます。
しかし、僕らの見たいのはそんな主人公の姿だけじゃあないだろう。見たいのは、夢中になって何か没頭する少女の姿なわけです。
この作品ではそれを見透かしたかのように、てんこが主人公。もうめりめりと、恋人のように工具に惚れ込むさまがかわいくてしかたないから大変です。

新アイテムが出るあたりも、学研やコロコロ・ボンボンのあのときめきがよみがえってきます。まさに少年マンガの王道をおさえた作り。
 
一応少年マンガのくくりになっている作品なのですが、そんなわけでぐんぐんハート刺激されるのは、いまやもうパパだったり会社員だったりする大人の男性。
工具を片手に木っ端にネジとめてわくわくした経験を思い出しましょうよ。
そこに「わー!すごーい!!!」って本気で喜ぶ女の子がいることを想像しましょうよ。
ほら、ワクワクするじゃないか。
 

●ヒロインはつねにキュートで●

こういう作品の女の子は、「かわいい」だけではいけません。常に前向きで常に元気。そして好奇心は人一倍パンパン。
そして、体もムチムチパンパン。これ男の子の夢ね。

見てくださいよこの健康的なふともも。この飾り気のないふくらはぎ。
不健康なダイエットなんてしません。運動も大好きなので体は健康美そのものです。
そんなピチピチボディ(死語)を包むのはホームセンターの制服。うわ、たまんない。
なんとも見事なまでに、少年から見た理想の少女像です。

それに対して、確かに少年も惹かれてはいるのですが、それよりも工具や材料に夢中なあたりもまたいいのです。だから多少てんこが無防備でも、話は性欲に満ちません。
読者側としては、もう後ろの子みたいにドキドキなんですけどもね。そのへんの「工具に夢中」「その姿がかわいい」の二点が描き分けられているあたりのテクニックがオヤジツボを押します。
 

●もちろん、親子で読んでほしい●

えー、なんだかおっさんくさいヒロイン像の話で終始しましたが、基本は「ものづくり」の楽しさで満ちている話なので、特にパパさんと息子さんで読んでほしい作品になっています。特に息子さんがこれを読んだら、まず間違いなくてんこに恋をするはずです。
そこがいいんだよ。ぼくらが学研ヒロインに恋をして、それが科学への興味に副次的につながったように。

イキイキとしたヒロインを見て、何か作りたいなーという気持ちがわいたらさらに素敵じゃないですか。
大人は懐かしく、子供は少女に恋をしながら、ワクワクを世代を超えて楽しめる。こういう作品はもっと大事にされていってほしいなと願うばかりです。

 
 

マガジンらしいヤンキー臭も漂わせながら、ひたすらにかわいいてんこにメロメロです。こういう、無駄に元気に動き回るような女の子がすきなのは、多分学研のせいです。ありがとう学研。ありがとうとだ先生。
 
〜関連リンク〜
勝之介工房
作者、とだ勝之先生のサイト。
本編を読んでから見ると、リアルな木の手作り感が楽しめる、かなり凝ったページになっています。そうでなくても楽しいので、工作や学習モノが好きな人はHPから入るのもオススメ。
あと、お子さんのページがあるのもなんだかあったかいんだな。
元気堂通信
「Mr.釣りどれん」の頃の話題もいっぱい載ってる、本家サイト。