たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「ストライク・ウィッチーズ」が丁寧に計算した、様々なクッション。

さすがに放送終わったら熱がさめるかなーと思っていましたが、DVDが出るにつれてテンションあがってきたぞー、ストパン
やばいやばい、もともとメカ娘とか擬人化物は大好きなんですが、あらためて「動く」ことがこんなに楽しいとは。
とはいえ、合う人には強烈にあうけど、あわない人には死ぬほどあわないアニメであろう「ストライク・ウィッチーズ」。
ぱんつじゃないものとか、ズボンとか、す、すれるぅ(byペリーヌ)とかそのへんはもうさんざん語られていると思うので、全体を俯瞰して「ここが気づかわれているのが、好き」というのを列挙してみます。以下「ズボン」表記は「ぱんつじゃない何か」のことを指します。
 
・ミリタリーならではのハードルの高さを一切なくしている。
ミリタリージャンルは非常にハードルが高い世界です。マンガとかがあってもそのネタを知らないといまいち入り込めない、というネックもあります。同時にそれがメリットなので難しいのです。
しかし、はなからそんなハードルを捨て去って、一発で見て覚えられるインパクトにすることで「ミリタリージャンルの面白さ」を追求しきった姿勢はあっぱれ。MC☆あくしず系列もニッチな部分に切り込みながらもがんばっているなあと思います。
 
・人が死なない(相手がネウロイ)。
戦争だからといって相手が人じゃなくてもいい。というか人が死ぬと善悪がややこしくなってしまうんですよね。明確な敵をつくってしまうのは、実は物語的にいいクッションになってます。あとは「鬱展開にしない」と言う姿勢でしょうか。安心してむちむちなズボンをお楽しみください。
 
・史実を一部つかった戦争物は非常にナイーヴだし、実際戦争イクナイんだけど、「ぱんつじゃないから恥ずかしくない」「ならしょうがない」でクリアーしてしまっている。
実はこのクッションがないと、ダイレクトに神経を逆なでする可能性はちょっとある気がします。特に軍服ものは。偽善とか、良心とか、戦争の苦しみとか…それを全部吹っ飛ばして「ぱんつじゃないから恥ずかしくない」で一掃できる計算はすごい。架空戦記もの、という一段階挟んだ楽しみ方は重要。戦争は良くない、でもミリタリーっぽいのはかっこいい。って。
加えて「そんなむちゃくちゃな」の裏でしっかりした物語と戦闘が行われるギャップは実は、結構クるものがあります。
  
・突拍子もないズボンだけど、意外と他の所は丁寧にカバーされている。
階級とか兵器とかの難問もフォローが入っているのがいい。いわば丁寧に計算された温室だから、危険に身をさらしながら彼女たちは幸せに暮らしていて、それをぼくらがニヤニヤしながら見る仕組み。感情移入じゃなくて、鑑賞動物みたいですね。特にルッキーニ。
 
・ミリタリーに詳しくなくても普通に楽しい。
自分は撃墜王とか戦闘機詳しくないですが、逆にこれで調べるのはありかな、と思いました。もちろん、詳しいならばさらに楽しい作りになっているのが重要。初見に優しく、通に楽しく。理想的ですなー。
 
・航空力学に沿わずただ思いのままに自由に飛ぶのが楽しくないわけがない。
人は飛ぶのが大好き。それをぐいぐいと、思った通りに飛び回れるというのは夢です。宮崎駿フラップターメーヴェで飛んだときの興奮を思い出すよ!
マッハをこえても愚地克巳と違ってシャーリーは砕けません。理屈的には間違っていても、魔法だからいいんです。むしろそれより、飛び回る少女という美学を楽しもう。
 
・「女の子」で「ミミ」とむちゃくちゃに詰め込んで、甘い物いっぱいなのがいい。
人によっては過剰摂取になるとは思うけど。 そういうときはちょっと食べて一休み。
ステレオタイプな属性だけではなく、エーリカのようなトリッキなキャラがいるのも味わい深いです。
 
・ファンは作り手が楽しんでいるのが大好き。
1巻限定版ちらっと見たのですが、いやあ、楽しみまくって作ってますな。そういう遊び心を確かに感じるのがウレシイ。 ノリは相手に伝わるものデス。
 
・「おまえらズボン一着しか持ってないのかよ!」、と突っ込みたくなる余地をわざとつくってる。
ほんと、あの子たちはズボン一着をずっとはいてるんですか。あとゲルトはなんで自分のズボンをその場で脱いで貸しますか。おかしいよ!と突っ込みたい。 そこがいい。
 

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まあ、ほめてばっかりもアレなので、一応ネットで見かけたマイナス面?もあげてみます。
 
・あれを地上波でやることで、極端すぎるオタク文化が露出したときに、なれていない人にはどう感じられるんだろうか?
確かに「ぱんつじゃない」はオタクの常識なのでいいけど、普通はどん引きしますわな。行き過ぎる故に面白さとかっこよさがあるんですが、一見さんには悪印象を与えるのも事実。
 
・キャラの性格のリアリズムが曖昧。
萌えアニメ」でくくると、確かに感情移入やリアルな葛藤があまりないので、どうしても端から体育座りでにやにやしながら見るタイプになります。それに慣れているとこれほど心地よい温室はないです。
しかしさらなるリアルを求める人には物足りないかも?でもそれをやると血なまぐさい話になってしまうので、バランスが激難。
 

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そんなわけで色々書きましたが、
・「空を飛ぶ」
・「ミリタリー」
・「女の子」
好きな物そろえて楽しく作ればそりゃ面白いわけですよ。戦闘シーン熱いし。
飛行機に女の人を描くアメリカ人の気持ちと同じかなと思ったけど、さすがに飛行機にウィッチを描いて痛飛行機にするのは恥ずかしいのでダメだと思いました。あの世界だったらありそうですな。
とげだらけの「ミリタリー」ジャンルを、パロディ色を含めて、笑いと萌えと燃えに特化することに尽力したのは本当に面白いです。
 
次期ウィッチがあるなら、陸軍の方も見たいよう。 「アフリカの魔女」のはかっこよかった!!
ついでにMC☆あくしず版あたりの熱い仮想軍記物も見たいところです。あるいは野上先生の重戦車か、コンビニDMZあたりのアニメ化を…こっちは難しいかな−?
 

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