たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「私はこの作品が好きです」と言えるしあわせ。「みつどもえ第118卵生」

●現実と、憧れと●

みつどもえ」のストーリーの核になっている重要なネタの一つに「ガチレンジャー」があります。
名前の通り、熱血5人戦隊ヒーローです。
おっと、戦隊ものは子供っぽいだって?なにをおっしゃるうさぎさん。すばらしいシナリオによって作られた特撮物は、大人の視聴にも耐えうる…いや、むしろ子供も大人も熱くなれる傑作になることも多々あるのです。
むしろ大人向けも多いです。多分。
そんな「しっかりとしたシナリオ」「ガチな展開」「ガチな信念」を貫いたのがガチレンジャー!子供から大人まで、多くのファンを集めます!
そしてガチピンクは!

グラビア集を出しました。
 
うっわ、なんかすげーリアル。あるある。
 
今回の「みつどもえ」はひとはにスポットが当たっていますが、いかんせんいつもの温室の学級の中ではなく、まったくの知らない人が集まるアウェーな空間だったため、物語の「理想」と「現実」が一気に怒濤のように押し寄せる、不思議な感覚を味わいました。
 

●アウェー●

アウェーな空間は本当につらい。大変。
それが好きなものであるほど、「あっ、場違い?」と感じたときの苦しさよ。
ひとはは、「大好きなガチピンク」を見るために熱をおしてでかけたわけですが、会場は「ガチレンジャーファン」ではなく「グラビアアイドルを見に来た」大きなお兄さんだらけでした。

このコマが超秀逸。
まず、ひとはから見ると、背の大きなお兄さんたちがいるので埋もれてしまうんです。その上視線をあげると、まわりではグラビアアイドルの会話が、まるで外国語のように飛び交っている。
この一コマでひとはのアウェー感がびりびり伝わってきます。これはしんどい。
 
だからこそ、アウェーな場所で見る「同好の士」は、非常にたくましく頼りがいが。頼りがいが…!

…あるかなー。どうかな。
 
でもね、自分はこの矢部っち大好きです。
まわりはほぼみんな「グラビアアイドル」を見に来ているわけで、「ガチレン」を見に来ているわけではないんですよ。
なのに、もう完全にガチレンが好きで、ガチレングッズに身を固めて「ぼくはぼくの好きな物があるんだ」と胸をはっているこの姿。悪くない、悪くないよ!(こういう場だからだけど!)
 
アウェーな場で、おびえず、人に迷惑をかけず、ただおおらかに立つというのは相当なことです。
矢部っちのこの、アルカイックスマイル。
そう、今彼の心ははとても安らかな場所にあるのだ。アウェーなんて関係ない。
 

●「好きなもの」を「好き」ということ●

最初は矢部っちをみてドン引きのひとはですが、ここにきてひとはの心に変化が生まれます。風邪のせいかもしれないけど。

ここで今までは「ガチレンが好き」というのを言えず、ずーっと矢部っちにはごまかしていたんですよね。
クラスメイトに言うときも、非常に勇気を振り絞っていました。できることなら言いたくない、言わずに自分だけ楽しんでいたい。でもどうしようもないところまで追い詰められて、言わずにいられない時に出てくる選択肢は二つ。

1.「嘘をついてはぐらかす」
2.「本当のことをいう」

ひとはは、ずっと1でした。
しかし、ある時から自分が、本当に本当に、本当にガチレンが好きだということに気づいて、彼女は「好きな物を好きという」道を選びました。
それは、とてもとても高いハードル。人間関係を拒絶していた彼女にはとても厳しい道のりでした。
なんてことはないんですよ。でも小学六年生には大変なんです。ばかにされるんじゃないかなとか、笑われるんじゃないかなとか。
 
クラスメイトは彼女のガチレン好きをすんなり受け止めました。このへんは千葉氏のクラスをひっぱる力もあるとは思います。
今回はこのアウェーな場で、お互い一人だけいる「ガチレン」仲間です。

そう、その言葉は、するりと出ました。
 
自分は、「本当に好きな物を好きと言う人の姿」が本当に好きです。
自分もそこで苦しんだからなんですが、そういうのを乗り越えようとがんばる人、一生懸命に「好き」を伝えることを苦心する姿が、本当に愛しくて仕方ない。こと、オタク的な趣味を隠しているキャラクター達のその一歩にはどれだけ奮い立たされたことか。
 
ひとはにとって今回は「アウェーだった」「ガチピンクがそこにいる」「矢部っちはガチレンファン」「風邪でもうろうとしている」など、ものすごくたくさんの要素が積み重なっての奇跡のような瞬間でした。
でもね、その一歩を踏み出したのは、まぎれもなくひとは本人なんです。
だからこそ、この3コマの矢部っちとひとはの会話が、とてもやさしい。
矢部っちも、何も言わずすべてを受け止めているあたり、ガチレンファンとしても先生としてもとてもいい人なんだなと、株があがりました。
 

矢部っちの「よかったねぇ……」に、色々なものを感じます。
赤面しているのはガチピンクに出会えたからもあるんですが、ひとはと矢部っちの距離が今回で大きく縮まったから、というのもあるでしょう。
矢部っちは、好きなものを好きと言える生徒を望んでいる、そんなタイプの先生なのかもしれません。
みつどもえは、そんなささやかな視線がやさしいから好き。
 
そんなわけで、個人的には矢部っち×ひとは派です。
中学生になってからの二人のやりとりをみたいんだよ−。
 
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