たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

マンガ描いて小説書いてコスプレしてます、幸せっス。「腐女子っス!」

すっごい個人的な感覚なんですが、他称による「腐女子」ってあんまり好きじゃないのです。特に男性から女性への、友人でもない人からの呼びかけは。
だってあんさん、幾ら定着したからって失礼千万でありますよ。男が他称で「キモオタ」って呼ばれるようなものですよ。
まあそれはあくまでも他称の話で、女性が自分たちを「腐」と呼ぶのはよく見かけます。半ば自嘲気味、半ば連帯感に近い楽しさがあるんじゃないかなあ、と思ってます。
んでー、BL好きな男女自体ははるか昔からいるってなもんで、別に最近急に流行ったものでもなんでもないんですが、関連書籍は山ほど増えました。「801ちゃん」なんかは痛々しさを描きながらとっても楽しい様子も描いてあるので、スピンオフ・本家共に好きです。
BL好き女子マンガは、趣味系マンガの一形態として今後も増えていくと思うのですが、「リアルってこうだよね」のあるあるネタに偏っていくと、いざ全然知らない第三者が読んだ時にさっぱり分からない、という弊害があります。
オタネタの宿命というか、狭くて細い穴ほど水はよく飛ぶというか、ディープなネタほど自分のようなオタクはうれしいのですが、せっかくだから少女漫画としてのガチな面白さが読みたいわけですよ。
 

腐女子「っス!」●



ようは、明るく楽しく、かつ少女漫画しているのが読みたかったわけなんですが、そういう意味ではかなり秀逸だと思うこの作品。
なによりも題名がいいと思うんです。
「っス」でしょう。他からの別称じゃなくて、自分たちが今本当に大好きなものに対して取り組んでいるからこその自称の「〜っス」。気楽な感じで言えているのが素敵です。
この題名と、プリクラ風の表紙が示すように、とにかく至って明るく楽しく、悩んだりときめいたりしながら青春を送っている様がすがすがしいんだなあ。そうそう、そういうのが見たかった。

恋愛が幸せとか、友人関係が幸せとか、わかるわかる。大事大事。
でもそれと別ベクトルで、同じくらいに漫画描いたりオタ活動するのが「幸せです」と言ってくれるのがとにかく嬉しい。苦悩もするかもしれないけど「幸せ」だからやっているんですよねえ。
この漫画は中心になるのは、少女漫画らしい恋愛や青春なんですが、きちんとみんな、今やっているオタ生活を「幸せ」と捕らえているからとても心地いいんです。まさに、ただただ「腐女子っス」と言い切れる力強さと若さ、なのですよ。
 

●でもどうかな、嫌われないかな、大丈夫かな●

基本的には「オタ趣味」自体は「スポーツ」とか「映画鑑賞」とか「音楽」と何ら変わらないような、一つの立派な趣味になってはいると思います。
しかし、なぜかオタ趣味は「恥ずかしい」「後ろめたい」が先立つ不思議なジャンル。もう理由は山ほどあってむんずかしいのですが、直感的にそう感じちゃうならしかたないところです。

主人公の一人ユキ。BL好きな男装コスプレイヤー
突然転がり込んできた恋愛にあれれあれれと困惑する様が、ものすごくかわいいのです。でもやっぱりこの問題、出てきちゃいますね。オタ趣味のカミングアウト。
人によっては「隠すことなんてないじゃん?」という人も最近は増えていると思います。
逆に「絶対友人・恋人には言えない!」という悩みを抱えている人も増えています。
この点に関してはまさに「人それぞれ」「感覚の問題」「人間関係の問題」なので、一辺倒な答えは絶対出ません。こうすればいいという解答はないのです。
ああいいよ、悩め悩め!おいらも悩んだよ!(恋愛はないけど!)
逆に言えば、こういう葛藤を乗り越えるからこそ、色々な物が見えてくる。そんなポジティブな部分をしっかり描こうとする姿勢を見せてくれるから、この作品はとても気楽に楽しめます。

まあでもね、耐えられないですよね。
今リアルタイムで悩んでいる人は、一緒に悩むもよし。
もう通り過ぎた人は、こんなこともあったなーとにやけるもよし。トラウマにおびえるもよし。
 

●人を「わかれ」とは言えないけれど●

余談ぽくなっちゃいますが、このマンガで一番好きなキャラの話をします。

一番ちっちゃくて、小説書きで物言いがはっきりしている、ふわふわふかふかした感じの女の子、えり。
割と他の二人がてんぱり気味な乙女なので、しっかりした彼女がびしっと決めるのがすげー気持ちいいです。
そんな彼女のこのセリフ。ちょっと引用します。
オタ趣味に対して「わかんない」と言い切った男の子に対しての感想なんですが、


きっつい言い方ですが、このセリフはすごいぐっと来ました。
そうなんですよね、そもそも「自分の趣味をわかれ」なんてのは欺瞞でしかなくて、押しつけるものでは当然ないんです。どんな趣味でも。
ただ、友人とか恋人のような好きな人には、ほんのちょっとでも「わかろうとして欲しい」という欲が出るのは当然です。理解できなくてもいいんです、興味わかなくてもいいんです、「わかろうとしたい」という思いになって欲しい!という単純な相手への気持ちです。
恋人に、たとえ無理でもいいから「自分にはこんな好きな物がある」ということの片鱗だけでもわかって欲しいなあ、というわがまま。ええやんわがまま。そこで「そんなこと言えない」と悩んだり「やっぱりわかって欲しい」と苦しんだりですよ。
そういう面でも包み隠さず、楽しいことつらいこと全部丁寧に描いているのが好感もてます。そしてそれを客観的にもとらえる位置にいるえりが、かわいいかわいい。

くあー、かわいい。
おいら…君のためにロボット兵にでもなるよ!!

オタク女子ものって、中にはえぐいのもあるのでどうしても身構えるようになっちゃったのですが、これは素直に楽しかったです。
あるあるネタの痛いのも大好きですが、悩んだり楽しんだりしながら「でも幸せなんだよねー」って生き生きしている姿は、心の栄養になります。さあ、明日もがんばろう。オタ活動を。
ん?恋愛?それなにおいしいの?
 
〜関連リンク〜
胸騒がないアフタースクール(となりの801ちゃん)