たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

クリスマスなので、乃梨子と瞳子の話をするぜ

メリークリスマース。
クリスマスというのは進駐軍のクリスマス中尉がみんなに靴下を配ったのが由来です。
 
さて、うちのサイトはマリみての「乃梨子×瞳子」応援サイトなので、性なる夜である今日は、乃梨子瞳子の話をします。
もうすぐ発売になる次の巻で卒業ですが、ここしばらくは福沢祐巳小笠原祥子の二人の様子にスポットがあたっていたため、あまり乃梨子瞳子に光はあたりませんでした。

詳しいことは「卒業前小景」でがっちり描かれているので、そこを読むとのり×瞳派としてはニヤニヤできます。
以下フィクションとかそういうもの。パラレルです。クリスマス的ドリーミングです。時系列?そんなのはとりあえず、置いておいて。クリスマスだから!
 

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クリスマスイヴ。
一通り学校でクリスマスパーティを終えた山百合会は解散。それぞれ家に帰ります。
バス停に一人たたずむ松平瞳子。髪の毛のバネが風に揺れます。12月の風はとても肌を刺すように冷たく痛い。
なんとなく下を向きながらバスを待つ瞳子
その頬にぺとり、と缶が押し当てられる。
「うひょああ!あつっ!」
「やーい」
乃梨子が後ろから瞳子の頬に押し当てたのは、おしるこ缶。
「てっきり、祐巳様達の所に行ったんだと思ってた。なーにやってんだか。」
「あのですね、気を利かせるってことだって学んだんですよ。」
確かに祐巳と祥子は二人腕を組んでニコニコしていた。祐巳は「瞳子ちゃんもおいでよ!」とニコニコ笑顔だったし、それは本心だったのも分かるのだが、さすがにその間に入るほど野暮じゃなかった。野暮?うん、多分そうだと思う。
「それより、乃梨子だって一人でお帰りになられるんじゃないですこと?」
瞳子乃梨子からおしるこ缶を奪い取って、口を尖らせながら言った。
志摩子さんはね、教会の手伝いだって。忙しそうだよー。」
「あ、そっか、そうですよね。」
二人ともクリスマスに浮かれてしまい、ふと本来の意味を忘れてしまう所だった。とはいえ乃梨子だって、寂しくないかと言われたらそりゃ寂しいさ。
 
静かに雪が降ってきた。
「帰ったら家でパーティするの?」
「うん、多分そうですわね。乃梨子のところは?」
「わかんない。多分するんじゃないかなー。」
「そっか」
「うん」
ぼけーっとバスがくるのを待ちながら、二人はぼそぼそとしゃべっていた。
特に何も考えることもなかった。次のバス、遅いな。そのくらい。
「そだ、ね、瞳子。」
「なんですの?」
「へへー、プレゼント、あるんだー。」乃梨子はそういいながら、鞄の中をごそごそと探り出す。「はいこれ。」
それはかわいらしいセロファンとピンクの紙でつつまれており、「merry Xmas」と可愛く書かれている。
「あ、ありがとう。」瞳子はどう反応すればいいか一瞬迷ったかのような表情をしながら、うつむいたようにして言った。
「いえいえ。」肩をすくめながら、乃梨子は微笑んだ。「開けてみてみて。」
がさがさと開けてみると、中には小さな小さなロザリオ…型のブローチが入っていた。
そんなに華美ではなく、質素だけれども引き締まった光を放つブローチ。
瞳子はいい言葉が思いつかず、つい見とれてしまっていた。
「ロザリオ本体じゃなければ、プレゼントしても、いいよねー。」乃梨子はニコニコと笑った。
「うん・・・」瞳子は体中から色々なものがこみ上げそうになるのをおさえるので精一杯だった。あれ、なんだろうこの感情。何か言わなきゃ、言わなきゃ…言わなきゃなんだか頭が変になりそう。
「ご、ごめんなさい、こっちからは何も、その、プレゼントするものがなくて!」
ああー、言っちゃった…と思ってもそれ以外何も思いつかない。コレだと次の会話のパターンは「ううんいいよー」とくるのはわかっているのに。
しかし、乃梨子は予想外の行動に出た。
 
瞳子の顔を両手でがっしりとつかみ、くいっとこちらに向ける。
そして、乃梨子瞳子の唇に、キスをした。
軽く、軽く、触れるだけのキス。
 
一瞬時間が止まった。しばらくしてから乃梨子が顔を離して、瞳子の瞳を覗き込んだ。
「プレゼント、もーらい。」
瞳子は口に残る柔らかな感触を反芻しながら、やっとのことで口を開いた。
「も、もう、もうーーー!いつも不意打ちなんですもの!ずるい!ずるい!乃梨子ずるい!」
「だって『してもいい?』って聞いたら絶対拒否るじゃん。違う?」乃梨子はいたずらっ子っぽく瞳子の頭に手を乗せてポンポンした。
瞳子は、そんな乃梨子の不意打ちが、悔しいくらい嬉しかった。いつも突然、自分が求めている最高のことをしてくれる乃梨子。ずっと側にいてくれる乃梨子。励ましてくれる乃梨子。心の中をそっと支えてくれる乃梨子…。
「…ううん。」
「ん?」
「ううん、拒否しない。乃梨子の言うこと、拒否しない。」
瞳子は口ごもりながら言った。
「え、ええー…んー…。」さすがに乃梨子も不意をつかれ、顔を伏せている瞳子から目をそらし、視線を宙に泳がせた。
不思議な沈黙。雪はただ音もなく降りしきる。
「あー、んんっ。えー。瞳子さん、クリスマスプレゼント、いただいてもよろしいでしょうか?」
「…うん。」
乃梨子は心臓がものすごい勢いで高鳴るのを感じながら、瞳子に顔を近づけた。先ほどのとは全然意味合いも感情も違う。
しかしそれより早く、瞳子の顔がこちらを向いた。
唇が重なり合う。
触れあった唇から、お互いの体温が伝わってくる。
乃梨子は手に持っていた鞄を雪の中に落としてしまった。瞳子乃梨子の両腕ごと体に抱きついてきたからだ。
唇は触れあうだけではなかった。強く強くおしあてられ、その柔らかさがじんじんと伝わってきた。ただ、二人とも強ばっていたため、唇を開きお互いの中に入ることはなかった。まだ、まだだめ。そんな二人の意志が唇の中の小さな空間に閉じ込められていた。
しかし、アクションを出したのは瞳子の方だった。
舌先で、乃梨子の唇の扉をノックしたのだ。
えええええ…。乃梨子はなかばパニック状態だった。どうしよう、このプレゼント刺激的すぎるんだけど…。
だが、これはそう、プレゼントだ。プレゼントなら受け取らねばなるまい。なるまい!
乃梨子がそう覚悟を決め、唇を開こうとしたとき、まぶしい光が目に入ってきた。
ふと目を向けると、バスが雪の中やってきたのが見えた。二人はあわてて離れると、お互いの雪を払い合って、あわててバスに乗った。
慌てていたので二人で隣同士の席にちょこんと座ったのだが、冷静に考えるとこれは恥ずかしい。お互い顔を真っ赤にしたまま、なかなか相手の顔を見ることが出来ずにいた。
窓の外はびっくりするほど真っ白な雪。冷たい氷の粒。なのに、今私の顔にあたったら、きっと全部とけて蒸発するだろう。
乃梨子…さん…。」瞳子がそっぽを向いたまま言った。
「な、なんでしょう瞳子さん?」びくっとしながら、うわずった声で乃梨子が答える。
「えっと…プレゼント、欲しくなったら、いつでも言ってくださいね。そ、そっちが準備してなくても、だいじょぶだから。私がプレゼントほしいんじゃないんだから。」
乃梨子はあまりにも意味の通じない、しかし乃梨子にだけはすべて通じるその言葉に、思わずぷっと吹き出した。
「うん、分かった。」乃梨子瞳子に言った。
瞳子はそっとこっちを見ると、恥ずかしそうに笑った。
「んじゃさ、とりあえず今プレゼント、もらえる?」
「えええー!!?」
ものすごく小声で、しかし全力で瞳子は驚いた顔をして叫んだ。
二人の間で交わされるプレゼントの数は、これからものすごく増えそうだ。
 

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めりーくりすまー。