たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ドSお嬢様、スクラップの上を爆進す(主に尻的な意味で)「デウス×マキナ」

●そしてボクは、尻と出会った●

本屋さんで買うときは、やはりジャケットとのにらめっこになるわけですよ。
この絵柄はどうだろうか。物語性はいかがなものだろうか。
そんなことを真剣に本と見つめ合いながら、対話するわけですよ。
そして、とある本を裏返したとき私は何も迷わずカゴにその本を入れました。
なぜなら、裏表紙の尻があまりにも丸かったからです。
デウス×マキナ 1 (1) (電撃コミックス)
それがこの「デウス×マキナ」でした。
表紙は帯がかかっているのですが、帯の部分が尻を隠しています。
惜しい。実に惜しい。
でも裏表紙を見ればよいです。見事なまでに裏表紙は尻です!
 
内容を読んで、すっかり夢中になりました。
一つはマキナというキャラと「尻」。もう一つは世界観とストーリーです。
両方のバランスが見事に取れている冒険活劇となっています。ちょっと1つずつ見ていこうと思います。
 

●強き少女マキナ●

この作品が好きになるかどうかの重要な要素として、ヒロイン「マキナ」が好きになるかどうかがあります。

金髪ツインテール、サディスティックな性格、銃器と剣の使い手、どこでも脱ぐ、というなんとも「当たり」な要素を煮詰め込んだようなものっそい濃厚なキャラです。
このカットのように、まさに「狙い通り!」なシーンが満載なわけです。
はて、自分なんかはもうこういうフェティッシュなのがたまらなく好きなので諸手を挙げて大満足、なのですが、逆に「属性色」が強すぎると拒絶反応が出る人もいると思います。
しかし、それはストーリーからキャラクターが浮いている場合です。きちんとストーリーにはまって、その性格や外見が調和していれば「濃すぎる」くらいのキャラ設定も美味しい味になります。カレー味を生かすにはカレーの具材が必要、ってのと同じです。
 
では、ちょっとこのマキナという少女の濃すぎる魅力を、思い切り語ってみようと思います。
こういうキャラって往々にして「デレがある」と思いがちですが、彼女にはデレなんてありません。9割ツンです。冷酷非情、横暴の極み。仲間であろうと話を聞かない有様です。
ましてや知人ではない人間に対して、何か情をわかせるという事もありません。
たとえば、父と母を亡くした少年がいるのですが、彼の持っていた唯一の写真を彼女は、

木っ端みじんに砕きます。
このシーンかなり冒頭なんですが、コレを見て「この作品はやる気だ!」と思いました。
いやあ、邪悪系ヒロインっていうジャンルも確かにありますが、「ツンデレなんだろ?どこかでデレるんだろ?」というこっちの思いをことごとく破壊していきます。
彼女に対して料理をごちそうしたところでも。

この有様です。
徹底した横暴主義。
しかしながら同時に貫く自分の信念。
チームを組むなら最悪とも思える彼女のスタンドプレイですが、その気高さは作品にあってどんどん光り輝いていくわけです。最初はむかつくかもしれませんが、彼女は「だからこそ強い」のです。
 
情にほだされる強さ、というのもはあります。
しかしそれを一切認めず、自分の思った道をぐんぐん進む強靱さ、というのもまたあります。
時には人に誤解され、あるいは人の反感を買うでしょう。しかし気高く一本筋が通ったとき、そこにはダイヤの結晶のような美しき少女の姿が完成するのです。

彼女の吐く言葉はとても冷酷です。
しかし真実をも含んでいるのではないか?という強烈な揺さぶりが内包されています。
1巻の最後まで読むとき、彼女が「不器用」とか「ツンデレ」とかそんな言葉に惑わされない、がっちりとした岩盤のような彼女の魅力に取り憑かれていくのです。
 

●その少女、妖艶につき●

はて、マキナの描写は「強さ」だけではありません。
作者は徹底的に、これでもかと言うほどに彼女を妖艶に描きます。
「少女美」は、ある一定の記号的要素と、何らかの女性らしさ、そして不安定さをミキサーにかけて混ぜ合わせることでも生まれます。
マキナの場合は釣り目ツインテールという武器を持っていますが、それだけでは彼女の妖艶さは語れません。
たとえばこのカットを見てください。

マキナというキャラのお姫様っぷりが見て取れるカットです。
無論彼女の行動は単なるわがままだけではなく、色々な要因あってこそです。しかし彼女の全身には、揺るぎない瞳、けだるそうな一瞬、不満げな様子、時折見せる女性らしいたおやかさがみっしり詰まっているわけですよ。
この「意図している」のか「意図していない」のかが分からない、エロティックな腰つきがたまらないですね。作者はその「中間」を見抜いて「どうだ!」と前面に彼女のその魅力をこれでもかとたたきつけてきます。
 
彼女はアクションも華麗にこなします。

強い少女が戦う。
それだけで心躍るじゃないか。
 
お供として、機械人形の神父を連れて歩いています。この二人のコンビネーションでめきめきと前に進んでいきます。
「少女と従者」というモチーフは「吸血姫美夕」などから連綿と続くモチーフですが、やっぱりかっこいいものはかっこいいんだよね。ましてや「負ける」なんて考えることをしない、情にほだされない、強靱なタイプのお嬢様ならなおのこと。
 
ここにあるのは、極上の「サディスティックお嬢様」という料理。
興味があるなら、味わうだけの価値はあると思います。
もうほんと、ほれぼれするほど強いですから。
あれですね、「強い少女」ってのは「強い女」にならず、永遠に「強い少女」である、というのがマンガでのよさです。少女はいつまでも少女だから強いのです。
とはいえ、彼女自身に弱点が0ではないでしょうけれども。それは今後のお楽しみ。
 

●THE・尻●

もう一つ、この作品を語るのに「尻」は欠かせません。
見ていただければ分かると思いますが、彼女の履いているのがタイツ的ななにかなんですよ。
これが、足甲(レザーレギンス?)との相乗効果で、妙にスパッツっぽいのがすごい。ナイスデザイン!ナイスデザインです!
だってね、見てくださいよ。

すごい大事なこと言っているシーンなはずなのに。
尻に目が行きます。
作者すげえ。これわざとでしょう。
いや、すっごい大事なこと言っているはずなのですががが。この尻は見ないわけにはいかない。
 
こういうぴったりしたタイプの服装は、本当にアクション向きです。本当はスカート的な何かがあった方が実際は躍動感が出るのですが、むしろそれを取っ払うことによって尻の丸みを見事に描写した作者には拍手を送りたいです。
少女尻ヒロイン、と言って差し支えないでしょう。
 
ところではいているモノの材質が気になるところです。皮?ゴム?

ナイロン製っぽいです。
やった!やったよパパ!
 
スパッツやタイツ好きならおいしさ3倍増しなのです。
 

●戦うということ●

こんな彼女が飛び、撃ち、戦うこの作品。出てくる他のキャラクターが敵も味方も個性が強烈で、説明がないのに覚えてしまうようなデザインをしているので、ものすごく軽快に何も考えず読むことが出来ます。「アクションと尻だけみたいんだよ!」という方、もうばっちりですよ。
しかし、それらが成立しているのはしっかりとした理念とストーリーがあるからです。
そもそも「機械人形」を何故破壊して回っているか、です。

果てのない、機械人形破壊の旅。一体一体壊して回って、いつ終わるか分かりません。
しかも相手は感情がなく、戦うためだけに作られた人形です。それを倒すには情にほだされてる暇なんてないのです。
しかしそこまでしてなぜ闘い続けるのか?そこはまだ謎のままです。
 
彼女は「戦うためには心を殺せ」と言います。
「剣が剣であるしかないのと同じように、機械人形は戦うことしかできない」とも言います。
その理論は非常に説得力があるのですが、読んでいて違和感もあるわけです。
なぜもっと効率のいい方法をとらないのか?
自分を人形のようにせず、人間として闘い抜くことは出来ないのか?
そこには重く、様々な人達の思念が横たわっています。

もう一人の主人公、あるいは語り部とも言える、両親を機械人形に殺されたルーク。
彼は何の力もありません。だからただ隅っこでマキナの闘いの様子を見守るしかないのです。それが悔しくて、変わりたいと願います。
願いますが、人形のようになって復讐することが本当に答えを導き出すのか、と問いかけてきます。
 
まだまだ物語は始まったばかり。
深読みしながら戦う人間の信念を読み込むもよし、何も考えず激しいアクションと尻を堪能するもよし。
冒険活劇は、こうでなくちゃね。
 

 
とりあえず一回目は尻目当てに読むといいと思います。まじで。
お供の機械人形「デウス」他、呪術師風の少女クロウ・マザー、蜂使いの少年(?)、巨乳ショタコン整備士、喪服の剣士などなど、とにかくアクが強いことこの上なし。しっかし一発で見て覚えてしまうデザインは見事の一言。
いやはや、戦闘ヒロインは過剰に飾られているくらいがちょうどいいですなー。
ちなみに機械人形たちの動力は「ゼンマイ」です。バカにして笑ってられないくらいゼンマイ描写すごいです。必見。