つかさは「存在」「現象」「文字」そして「ブレイクビーツ」
「つかさRecords」のプロジェクトがものすごいよい企画なので、まずはtwitterを見て、曲聞いて、絵を見てください。
「つかさ」は「つかさ」です。「らき☆すた」の柊つかさ。だったもの。
しかし、ここでは今や完全に素材と化した「つかさ」です。つかさ、ブレイクビーツ。
いかにこのキャラが持つ独自の記号性がすごいものに発展しているのかを、じわじわと思い知らされます。
「T5=つかさ症候群末期症状」という単語が1年前くらいからニコニコ動画を中心に発生しました。
ナードコアをはじめ、昔からアニメ・特撮ネタなどを一度分解して組み立てる遊びはありました。サンプリングしてパーツに変えてドン。
ところが、そんな流れの中でも「柊つかさ」を使った動画や音楽やイラストに、キチガイじみた(無論褒め言葉)ものが非常に多くあまりにも突飛なので、しばし話題になった、それがT5です。
つかさ亜流ファンなら分かると思いますが、もう二次創作でもなんでもないんですよ。
そこに「つかさ」としての意味は8割方ありません、「つかさ」という素材なのです。
受け皿として「つかさ」があり、それは既に「らき☆すた」のつかさ本体ではないのがポイント。
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ちょっとpixivにいる、「つかさ」の素材性を上手く表現している作家さんたちを紹介してみます。
「つかさをネタとして使ったら面白いよな!」というのを超越して、つかさを無機物に変えて自己表現している作家さん達です。
http://www.pixiv.net/member.php?id=572986
先ほどの「つかさRecords」をやっている、嘔吐描写に定評のあるうらさん。
基本二次創作の「つかさ」でありながら、どんどん「つかさ」から離れ独立していく様子がすがすがしいです。
「つかさRecords」のような企画が出て、音楽的にも非常に面白いモノになっているのが楽しいので、是非がんばってください!
http://www.pixiv.net/member.php?id=288904
つかさは自己表現のための補助輪、と割り切って完全素材化しているLeicaさん。
あらゆる名画をオマージュしたつかさ絵と、空虚さすら感じさせるつかさの用い方の向こうに見えるブラックホールがすごい。それを全部吸収しちゃうつかさがまたすごい。自分が絵にした時点で「これはつかさではない」と割り切っているのも面白い。
http://www.pixiv.net/member.php?id=251774
http://trendkill.xxxxxxxx.jp/
らき☆すたってブレイクビーツなんだ、というのをいち早く打ち立てた奇才、ルザラさん。
つかさとこなたの存在が、つかさとこなたではない何かになっていますが、それがなんなのか分かりません。最初は笑いながら、二次創作として見ていられるのですが、量と質に圧倒されるばかり。シュルレアリスムの思考にかなり近いかもしれません。素材が「らき☆すた」だっただけで。
http://www.pixiv.net/member.php?id=18799
http://pigmhall.sakura.ne.jp/pa/
http://www.youtube.com/user/pigmhall
ご存じ長細P。このつかさは「いるだけで場が狂う」磁石みたいな感じ。つかさのみならず、何もかもをかみ砕いてサンプリングしてしまう作家さんだと思います。
http://www.pixiv.net/member.php?id=79888
なぜかつかさで延々と「あるある」ネタをやっておられる栽培マンさん。
つかさが原作でも「あるあるネタ」好きなキャラだったから、と言うのもあると思いますが、いかんせん絵の枚数が圧倒的。なぜつかさ? だがつかさ。つかさあるあるネタ、で本一冊出来そうな勢いです。すでに女子高生ですら無い、かといって設定があるわけでもない、という割り切り方も面白い。
http://www.pixiv.net/member.php?id=148768
つかさ以外からも漂う独特の倦怠感が魅力的な「楽しいインターネット」さん。名前がかっこいい。
この方も「つかさRecords」に曲提供されていますね。
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ギャグとして「黒つかさ」を描いたり変なことさせるのも面白いのですが、それをも一度壊して自分の表現方法に変えてしまう。
今までも色々なアニメキャラで同様の事は行われていたのかもしれませんが、「柊つかさ」の利用のされ方はかなり特殊。ここまで記号化され元の意味を失うキャラはなかなか他にいない気がします。
とはいえ、そこに描かれるのは「つかさではない何か」ですが、「つかさ」以外の何者でもありません。ではなんぞや。なんだこの禅問答。
絵は自由です。しかし絵を描くとき、キャンバスが必要です。PCの上に最初に白い四角い枠を作らなければいけません。絵の具がなければいけません。ソフトがなければいけません。
その素材と枠こそが、「つかさ」になっている気がします。
「つかさ」をネタにする作家さんと「つかさ」から表現が産まれる作家さんの差異、というか。つかさありき、な部分がにじんでいるんですよね。
「らき☆すた」自体が、キャラクター萌えの記号を上手く切り取った作品であるがゆえに、それを共通言語にして表現出来るのでしょう。おおげさな言い方になってますが、ようは『「らき☆すた」は便利な作品』なんだと思います。ほんと二次創作というよりも、サンプリング。ブレイクビーツ。
自由だからといって、「らき☆すた」から離れない。キャラクターから切り離しつつも、キャラクターに寄りかかることも可能。
原作のキャラクター性はそこにはもうありませんが、「『つかさ』ではないわけではない」から自由な表現が許されるのもまた事実です。
それがアンディー・ウォーホルのようになるのか、はたまた単なるオタク遊びの一環で終わるのかは分かりません。
作っている人にとっても、それが「認められるかどうか」が大事ではなく、あくまでも自己表現の一つにすぎないのかもしれません。
ただ、素材がなんであれ「すごい絵」「すごい音楽」であるならば、少しでも多くの人にその表現が広まってほしいなあと願うばかりです。「すごい」のならばなんであろうとOKなのが、絵や音楽だと思うからです。
長々と書いてきましたが、以上、「柊つかさ」も「つかさみたいな何か」も「つかさみたいな何かで表現する人」も好きだ、というラブコールでした。
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単なる一発ネタなのかと思いきや、つかさの持つ異常なパワーはとどまる所知らず…。
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