たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「恋愛ラボ」四巻のエノの裏表のなさに、じんわりと恋が深まりました。

四巻が出た「恋愛ラボ」。いい具合の暴走純真女子中生4コマです。
毎回新刊が出る度に「このマンガすげーいい」的なことを書いてきていますが、自分はこの作品に大好きなキャラがいるので、今回もひいきします。
その子の事しか書きません。詳しい感想は他サイトで読むとよいです。
その子の名前は榎本結子さん。通称「エノ」
またの名を「マユゲンヌ」。あら素敵。

なんといってもポイントになるのはきりりとした眉毛です。
今回はこの眉毛が人格として明確化してきました。このマンガ自体どのキャラもじわじわと深みを増して面白くなっているのですが、エノがいることで生まれる安定度が格段に跳ね上がった巻でもあると思います。
おばかちゃんで純粋の塊みたいな彼女ですが、アクの強いメンツがそろったこの作品ではいい意味で普通なのですよ。
普通属性持ち(絶望先生日塔奈美ぱにぽに桃瀬くるみなど)ならある意味要チェックだ。
 

●裏表の無い子●

エノの最大の特徴は、全くと言うほど裏表が無いことです。

もう思ったことすぐ声に出るんですよね。
他の子が嘘つきとかそういうわけではありま…あ、あるや。リコは今回虚勢はっていたのが嘘になってでかくなってしまい、それを解決するにはどうすればいいのかを迷い苦しみますね。今回最大の見所でもあるのですが、まあそれは後ほど。
マキは暴走超特急すぎではありますが、極めて極めていい子です。良い子過ぎるが故に言えないことも多いのが弱点ではあります。
スズもそうですね。気を使いすぎるが故にいざという時の一言が言えません。
エノはその点、許容量激狭です。マキがいわばどんぶりレベルのでかい器だとしたら、エノはおちょこレベルです。水貯め始めたら一瞬であふれます。
うん、彼女は瞬間湯沸器なんです。感情の起伏が半端じゃない。だから「面倒くさいキャラ」であるのは確かです。コレ言ったらすぐ怒るんじゃないの?と感じるのは事実。特に女の子同士だと誤解が誤解をまねく事も多々あるでしょう。
しかし、感情の器がおちょこレベルの子って逆に言えば、どばっとあふれたあとにひっくり返して空っぽにするのもすごい早いんですよ。どんぶりレベルの子だと爆発から復帰までの時間がえらいかかるのですが、おちょこであればチャっと空にして元に戻す周期が早いため、ケロっと感情のリセットが出来るんです。
皆がそうだとはもちろんいいませんが、怒りっぽい子の持つ「正直さ」「裏表のなさ」のいい部分を、このエノというキャラは湛えている気がしてなりません。

実際このタイプの子ってすっごいうざったがられる事多いとは思うんですよ。日常の一点だけ切り出すと本当に関わると怒られるから面倒なわけですし。
しかし、エノって怒るのも笑うのも泣くのも楽しむのも全部並列なんです。
怒っていることが多いように見えるけれども、実はその分笑ったり楽しんだりもしている。「こうやって楽しまなきゃ」「こうやって場を和ませなきゃ」という作用を働かせていない。
 
悪く言えば極めて幼いです。
思ったことをただまっすぐに出すだけ。おちょこにたまった水をぶちまけるだけ。気を使う子の多い作品においてこれはとても貴重なことです。他の子に比べたら狭量にも見えますが、極めて読者よりという意味でそれは「普通」なんです。
彼女の幼さはいい意味で無謀で振り向かない性格に拍車をかけています。周囲に陰口たたかれたり逆に怒られたりしても全然気になっていないからこそ、彼女の純真さは保たれます。
 

●感情の大疾走が、破壊に至らない安定性を得るとき●

5歳くらいの子供のように純真すぎる彼女。感情の起伏が激しく爆裂的な行動を取ることが多い彼女。なのに彼女が愛しいのは、行動原理が「正しいことをしたい」「人を傷つけたくない」の二点のバランスの元になりたっているからです。
どっちかに偏りすぎると、非常にバランスを崩してしまうんですよ。前者だけだったら本当に面倒な空気読めない先輩になります。後者だけだと気を使いすぎて身動き取れなくなります。
そのへんの性格について端的に描かれていたのが、小学生時代のエノとサヨのエピソードでした。

幼い頃からエノの眉毛がきりっとしているのが極めて印象的です。舐めたいですね。
エノの目は幼い時も今も、かなりでかく見開かれています。特に相方のサヨ(下のめがねの子)との対比でなおのことそう見えるように演出されています。
でかい目は、世界をいかに見ているかの視点の表現でもあります。
 
エノは視線をそらすということをしない子です。
何もかもまっすぐに見るんです。直球が来たら直球で見ます。相手が目を向けてきても決して逃げません。見開いた目で真っ向から向き合います。
まあだからこそ問題が起きたりケンカしたりすることが多いのですが。
サヨは色々思慮が深く、あまりしゃべりません。物語でいう所の賢者役にも近いキャラです。もっとも守銭奴だったりサディスティックだったりするのでうまくバランス保たれていますが、少なくとも目を見開いて真っ向から光に突き進むタイプの子ではありません。
だからこれは、二人に取ってお互いの未知との遭遇
 
エノはものすごくかわいくていい子で抱きしめたくてならないのですが、抱きしめて頭なぜなぜしながら「ああもうやめて!」と怒らせたくなるのですが、それはともかくとしてやっぱり幼いだけあって欠点もたくさんあります。ストッパーを忘れているあたりとか。
そのストッパーになるのがサヨであり、彼女の純真さに火を付けるのもサヨです。

何が起きたかは読んでもらうとして!
エノは猪突猛進過ぎるが故に、色々なものにぶつかります。彼女自身タフな性格ではありますが、人を本当の意味で(←ここポイント)傷つけてしまうことが極端に苦手で、心の底から落ち込みます。建設的に、そして客観的に物事を考えるのもとても苦手な直情型な子です。
下手すると欠点になりかねない彼女の弱点を「それでいいよ」とプラスにしむけたのは、サヨの存在にほかなりません。
エノのいいところを是とし、彼女のよさを増幅させていく。だから今のエノがあると言っても過言でありません。
 
自分を肯定出来る人はちょっとやそっとでは揺らぎません。
エノはサヨによってそれを学んだ子だと思います。
どのキャラも確かに安定感ある、少なくとも道は外れないのは分かっているからこのマンガ安心して読めるんですが、エノの安定度は抜群です。
精神的には一番不安定で感情的なのに、一番安定しているとはこれいかに。
世界に対して、相手に対して、自分に対して。すべてを肯定できる子はちょっとやそっとでは揺らがない。
 

●出る度にオチ担当な彼女が愛しい●

マキは「いい子」です。根も、表面も。誰もが認める超絶優等生なわけです。
しかしそんな優等生が実は恋愛に興味深々でアホばかり繰り返していたら…?というのがこのマンガの最大の面白さです。
エノも「いい子」です。根はいい子ですが暴言がとかく多いので人に恨まれることも多いです。
しかし一見攻撃的な子は実は裏表なし掛け値なしの純真で優しい子だったら…?
 
マキとエノはあまり絡みがないのですが、お互いがお互いを引き立てる鏡のような存在です。
髪の毛が黒髪ストレートなのと、ふわふわ茶髪なのも対比としてはわかりやすい。

最初は「ツンデレ」的な立ち位置に見えた彼女ですが、実のところツンじゃないしデレでもないです。そういう相手との距離感を作ろうとする器用さすらないと言った方が正しいか。
このポーズも、相手を威嚇するわけでもプライドを主張するわけでもないんです。最初はプライド高いように見えるんですけれども、4巻くらいまでくると「あ、この子は素なんだ」というのが分かります。むしろプライドとか難しいこと考えてないと思います。
 
宮原るり先生の作品群はこの「恋愛ラボ」の他「みそララ」「となりのネネコさん」と、難しい現実の中を純粋なキャラクター達が両足でしっかり立って行こうとする姿が描かれることが多いと思います。逃避しているわけじゃないし、かといって苦悩から抜け出せないわけでもない。
確かに悩んだりへこんだりもするけれども、色々な生き方を選択することでがっちり立っているため、何か不安な出来事が起きても読んでいて不安になりません。ハラハラはしますが、道を踏み外さないと信じて見守れるのです。
だから、深刻な事態でも笑えます。
ややこしい人間関係の中、エノの「ドまっすぐな思考」が答えなわけではないです。こうやって生きろと言われても難しいです。
しかし他のキャラと違いながらも認められている彼女の在り方は、人の進み方の一つのヒントにはなっていると思います。
少なくとも…ぼくは…ぼくは…エノが好きだ…!
あれだね、恋だね。愛だね。

出るだけでオチが決まるあたりも愛しい。名誉のオチ担当。
周囲の子たちも「まあエノなら」と安心して見ている感じがします。裏表ない彼女を信じないわけに行かないんだな。
 
まあ、個人的な理想としては、エノとオレが付き合いはじめてからも、エノはサヨの話ばっかり素でしてしまう感じでよろしくお願いします。
 
〜関連記事〜
「恋愛ラボ」のエノのかわいさに、恋をしました。
「恋愛ラボ」二巻のエノのかわいさに、さらに恋が深まりました。
「恋愛ラボ」三巻のエノの素直さに、みるみる恋が深まりました。

ドラマCD 恋愛ラボ
ドラマCD 恋愛ラボ
posted with amazlet at 10.01.07
イメージ・アルバム 釘宮理恵 堀江由衣 新谷良子 広橋涼 渡辺明乃 寺本來可
フロンティアワークス (2009-12-23)
売り上げランキング: 388
ドラマCDまだ買ってないので買わねば。エノは広橋涼さん。うん、ぴったりすぎですな。うふふ。
ちなみに4巻ですが、本編自体はリコとマキの間の「嘘」をめぐる物語がヒートアップしています。そういう意味では一コマたりとも見逃せない展開です。マキ・リコの関係が好きだった自分としてはそこに男キャラがどう絡むのか不安もありましたが、うん流石、宮原るり先生のバランス感は半端じゃない。メインキャラも男の子キャラも最高の地点に着地してくれるので、カタルシスがすさまじい巻です。