たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

電車と男のブルース。「みつどもえ185卵性」

いやはや!
今回の「みつどもえ」ですが。
どれだけたくさんの働く男性が涙したことか!!!
感動したとか素晴らしい話だったとかじゃなくて、これはもう哀愁ですね。
都会に住む男性でこの恐怖と悲しさに直面した人は非常に多いんじゃないでしょうか。
 
それは何か?
痴漢問題です。
社会の心理にメスを入れるみつどもえ
……いや大げさでした。ただ普段より「嗚呼……」となる回でありました。
 

●基本的に両手は上に上げます●

東京在住の友人との会話。

自分「へー、女性専用車両ってほんとにあるんだねー。こっちはないよー」
友人「まあねー。と言っても時間が決まってるんだけどね」
自分「なんかこんなの作らないといけないってのも大変だねー」
友人「うんー。こっちがね
自分「へ?」
友人「痴漢と間違えられたら大変だから女性専用車両はあったほうがいいんだよなあ

うーん逆転の発想。
一部では「男性専用車両にした方がいいんじゃね?」「いっそ男女別の方が」みたいな声が上がるような、痴漢勘違い問題。
もろに煽りを食らうのは当然この方。

丸井家のパパでした。
そういえば「丸井家でどこかに出かける」って今までなかったですね。
その原因は「パパが痴漢に間違えられる」といういつものネタでした。
が。
普段の「街中を歩いていると変質者と間違えられて警察にマークされる」という鉄板ネタと違って、今回の「電車の中で100%痴漢と間違えられる」ってもんのすごくリアルすぎて悲しくなってくるんですよ。
ちなみに上のコマなんですが、何が起きているか分かるでしょうか。電車通勤している男性ならすぐ分かるかもですね。
痴漢に間違えられないよう、両手を上にあげて「私は痴漢ではありません」アピールをしているシーンです。
右にいる女性の目の不審さが悲しいです。
まあパパもこの格好いい加減変えないと、きたならしいという自分側の原因もあるんですが(うまくお洒落すればカッコよくなると思うんですよ)、ここまでしないと怪しまれるなんてなんて生きていきにくい世の中!
 
いやこれ、意外と他人事じゃないのよね!
痴漢に間違えられないようにするため、両手をポケットに入れておいたり、両方共上にあげておいたりせざるを得ない。
そんな通勤男性はかなり多いはず。
日本の働く男の皆様、本当にお疲れさまでございます。
 

●こんな生きにくい電車の中で●

まあパパの場合はさらにパワーアップしていまして、手を出していなくてもちょっと体が触れただけで痴漢扱いされるもんだからこんな有様に。

これ、割とリアルにある話じゃないですかね。
ひとは、ふたば、みつばの位置がノーマルであるが故に、この肩身の狭さは哀愁を誘いすぎです。
ああ、電車に普通に乗ることすら許されないなんて。本当に丸井家のある街は平和なもんですね、お巡りさんが見回りしてついてまわるだけで済みますものね。
 
連結部が一番の安全地帯、と言うのは結構本当にリアルな話で、実際そこに乗っている友人が知人にいます。
この悩みは割と多くの男性にあるもので、こんなシーンも。

「痴漢に間違われやすい男」が「痴漢に間違われやすい男」に電車の連結部分滞在権を譲るシーン。
ぶわわっ(涙
ふたばの無邪気な「パパかっこいー」が男の哀愁を浮き彫りにします。
 
考えてみたら、ひとは以外で電車に乗ったのは初めてかもしれないですね。
(一応遊園地にはみつば以外のメンツで行っているはずですが、バスかもしれない)
 
みつどもえ」という作品はすこしずつ外へ外へと広がる作品です。
クラスと家族→学校→町→そして電車で行ける圏内、と。
人間関係も移動距離も、回を重ねるごとにちょっとずつ広がっています。
そして町から出た結果がこの有様だよ!
丸井家にはまだ外の世界は……広すぎたのか……。
いやそんなことはないですね。パパの生きる場所が寂しいだけです。
 
かなり男性の悩み贔屓の展開ですが、女性側の心理もちゃんとフォローもされているのがよく出来ています。

みっちゃんが言うと説得力が無いのがいいですね!
そう、別に女性だってみんながみんな自意識過剰なわけじゃあない。実際に痴漢がいるし、痴漢の被害の恐ろしさはシャレにならない脅威なわけです。
まあこのへん、ギャグマンガですし深く掘り下げても仕方ないのでスルーしますが、ここでカッコいいのはパパの台詞ですね。

「しょうがないさ、本物の痴漢がいる限りは」

痴漢に間違えられ、悲しい思いをし続け、電車に居場所のない男性が決して愚痴らずにこんなことを言えるんですよ?
かっこよすぎだよね!
 
丸井家のパパは、本当にかっこいいんです。
ここは正直、逆ギレしてもいいところです。だってパパ完全に今回は被害者ですから。何もしてないのに不審者扱いされているわけですから。
しかし、パパは決してキレない。
なぜなら、3人の愛する娘がいるからです。
嗚呼、父よ。偉大ではないか。
娘たちのためなら、自分のプライドなんていくらでも捨ててやろう。
 
そして向かえたハッピーエンド!(?

色々あったけど、ちゃんと上野動物園には行けたようです。
(ちなみに「みつどもえ」の舞台は埼玉。)
ふたばのこの笑顔があるなら、たとえ不審者扱いされ蔑んだ目で見られようとも、構わない!
こんな男に、なりたい。
 
あ、不審者扱いは勘弁ですが。
 

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今回はみつば目線で物語を進めています。というか一番まともだったのがみつばという特殊な回。
……いやそうでもないですね、家族の回だとみっちゃんは割とまともな方ですね。

家族会議のこのシーンの3人の表情がとても素晴らしいです。
何もかも分かって呆れている三女さん、なんだかなーと思っているのか、単にみっちゃんに同情しているのか分からないけれどもやたらかわいいふたば。「○○だし!」とまるで某池田のような口調のみっちゃん。
丸井家は今日も楽しいです。
 

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一点気になったのはここ。

ひとは、電車でお腹壊すんですよね。
電車ではっきり移動している経験があるひとは、ガチピンクのサインの回なんかですね。
しかしあれも、途中で矢部っちに会えてかなり精神的に安定したこともあります。
意外とこの子、電車とかのような人の集まる場所で緊張してしまうタイプなのかも、というのは考えすぎでしょうか。いやいや、一人でガチレンのためなら行ける子だからそこまで弱くはないですが……ただ小学生だと、たくさんの人がいる特殊環境に行くとお腹をこわすというのはよくあることなので、彼女もその典型、緊張に弱いタイプな可能性は高い気がします。
 
そういえば、ガチピンクサイン会の時も盗撮をする本物の変質者が登場してましたね。
もしかしたら「みつどもえ」世界では、まだ町の外は「変質者がいるような危ない場所」という段階なのかもしれません、視野の広がる段階的に。
もうちょっと時が立てば、子どもたち同士ですいすいと町の外に行く日も近い……かなあ。微妙だなあ。町の中でも本物の変質者出ちゃってるしなあ。
……パパがんばれ!
 
追記。今気づいた。
パパの痴漢疑惑は真剣に考えると本当に重いテーマなんですが、それをふたば視線で見た「譲る日本人」の心のよさで中和しているのは絶妙なバランス感だと思いました。痴漢疑惑だけでもネタとしては面白いんだけど、それだけじゃ毒っけが強すぎるので、ふたばの「人に譲る」話が入って安心感も得られる作りになっているんだなーと。
 

 
みつどもえ 1 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 2 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 3 (少年チャンピオン・コミックス)
みつどもえ 4 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 5 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 6 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 7 (少年チャンピオン・コミックス)
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Made in USSR : みつどもえ185卵性 パパの社会的信用/日本人は親切すぎ
なるほど、この手で立っていれば問題なしですね! これは思いつかなかった。
ひとはがパパのポケット(と間違って別の人を)まさぐるあたり、意外とパパとひとはのスキンシップは多いのかなと思いました。
しかし、社会的問題に触れる気はさらさらないですが(ギャグマンガだし)、ほんとにそのうち電車が男女別になる日が近そうで怖いもんです。