たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

今このタイミングだからこそ「はとがいる」

ええ、そうですね。
自分は政治に疎いノンポリなのでそういう話しする気は1ミリもありませんが、鳩山さんが辞任してえらいこっちゃですね。
鳩山首相退陣表明、小沢幹事長も辞任(夕刊から) :日本経済新聞
 
で、ここでこれですよ。
たぶんもうネット上では1万回は言われているでしょうこれですよ。
はとがいる (角川コミックス)
鳩山来留夫 - Wikipedia
5月26日発売。
辞任したのが6月頭。
帯のネタっぷりが絶妙なタイミングすぎてすげーナイスタイミングなのか、すげーバッドタイミングなのか、わけがわかりません。
なんだこのミラクル。
鳩山来留夫さん的にはすごい複雑な気がしてならないんですが。
 

●全編、はとです。●

この「はとがいる」という作品、どんな作品かというとはとがいる作品です。
としか言いようがない。
そう、ほとんどのページに、ほぼはとがいる。
具体的な例をあげるとこういう感じ。

はとが。
いるよね。
 

 
や、いるんですよ。はとが。
冷静に考えてみてください。
このまるまる一冊、かなりの量の4コマ漫画を、はとで構成するってすごいことですよ。
なんでそんなにはとなんだよ、どんだけはとなんだよ。はとすげえよ。
作者のはと愛も素晴らしいのですが(色んな意味で)、まずは「はとをテーマにして本を出せる量の漫画を描こう」としたことに脱帽。どういうことなんだもう。
一番いいのは実際に読んでもらうことだと思うので、こちらをご覧になってみてください。
はとがいる(コンプエース公式サイト)
 

●はとをめぐる冒険●

はて、この作品に出てくる「はと」というのは、はとのようななにかであって、はとではありません。でもはとです。
すごくわかりづらいと思いますが、「はと的な何か」を「はと」として扱っているんです。
わかりやすいのはメタ視点で一回だけ描かれているこの回でしょう。

ギャグマンガであるから、はとに色々ひどいことをしたり、時に愛したり、時にゴミと共に捨てたりとムチャクチャな扱いができますが、「もしもここに出ているのが本当にはとだったら、あかんよ」と言うのは前提としてあります。
だけど、この作品に出てくるのは「はとのような何かのようなはと」なので問題ありません。

このくらいでよいのです。
しっかしなんではとでこんな構図を思いつくのかな。奇才すぎて頭がついていきません。
 
とにかく「はと」ネタでせめて来るこの漫画なのですが(時々カレーネタもあり)、いかんせんはとの位置が不可思議すぎて驚きます。
そもそも、ペットのように可愛がる対象ではないんですよ、マスコットじゃないんですよ。
「はと」という現象なんですよ。
だから、何でも有りでもあるし、だけども動物としてのかわいらしさもある。非常に言語化しづらい「はと」です。というか言語化しても「はと」以外の何者でもないのです。
いわば「ストライクウィッチーズ」でどう見てもぱんつな履き物を「ぱんつではない何か」「ズボン」と呼んだのと同じです。
 

ああ。
はとは本当になごむね。
 

●キャラとはとの相性●

はとが主人公なわけではなく、三人の少女がはとにから見ながら話は進んでいきます。
まず主人公にあたるのが、北斗白。通称はっちゃん。
ものすごいカレー好きでものすごいはと嫌いです。

なぜはとが嫌いなのか!?
知らない。
しらなくていいのです。「はとが、嫌い」それで十分。
というのも、はと達側ははっちゃんが大好きというけなげな片思いが作中で語られているからです。
相手は生理的嫌悪を感じ、はとを嫌っている。
はとは、それでもなお、はっちゃんを慕う。

イイハナシダナー。
まあそれでも「嫌い」なのは治らないわけで、永遠の堂々巡りが繰り広げられます。
 
それを処理するのが、同居している幼馴染のよっちゃん。
ええそうです、処理です。はと処理。

さくっとね。
よっちゃんのはと処理は惚れ惚れするものがあります。
よっちゃんにとっての「はと」は生物ですらないんですよね。
要するに「はと」なんです。はと以上でもはと以下でもありません。
ざっくり割りきって、さくさくとはとをはと処理するので、読んでいて妙に気持ちがイイです。
心理的云々カンヌンも読み取れば可能なんでしょうけれども(モノ的感覚とか)、このへんは適当に「よいはと処理!よいはと処理!」とエールを贈るくらいがいいと思います。

よいはと処理!
 
フォロー役として、はとのことを比較的好意的に見てくれるのがさつきさん。
はとがはっちゃんの事を好いていることに理解を示して、はとにアドバイスをくれる貴重な人です。
はとにアドバイスっつうのもなんだかシュールですが。

一人格として見てくれるんですよね、はとを。
 
恐怖の対象としてはとを見るはっちゃん、処理する物体として見るよっちゃん、一人格として捉えるさつきさん。この差が面白い。
なんだかんだで、一応はっちゃんが主人公ではありますが、読んでいく度にじわじわと「主人公ははとじゃね?」という気持ちになってきます。
すごい極端な深読みですが……少女たちのいる楽しそうな場所を眺めている読者こそが、はとそのものなんじゃないかとすら思うのです。
 

一気読みするとテンションがおかしくなるタイプの作品なので、個人的にはちょっとずつ楽しむのがオススメ。でもツボに入って一気に読むのも乙かもしれません。
1巻表示ないですが、まだ続いているようなので続刊でるのかしら。
 
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鳩のような(作者オフィシャル)