最後に近づいたのは、かたなしくんのほうでした。「WORKING!!第１３話」

え？
今回のベストオブ山田（仮）ですか？
いやーもうー、そんなん聞くんですかがー？　
聞きたいー？　まじでー？　えーどうしようかなー、聞きたいって言うんなら山田（仮）の魅力をちょっとわけてもいいんですけどー。

あ、痛い痛い痛い、すいませんすいません、うざくてすいません。
今回のベストオブ山田（仮）はここでしょう。

私服山田（仮）！！！！！
今までワグナリア制服＋寝るときの体操着＋謎の学校の制服しかもっていなかった山田（仮）が、ついに服を買いました！（相馬さんの金で。
にしてもこのシンプル気品のある着こなし、ほっそりとしつつもさりげなくある胸（伊波さんよりはるかにでかかったよ！）欠かすことのないニーソックス、そして山田（仮）らしいチェックのスカート。
まさに山田（仮）オブ山田（仮）ですね！
ちなみに原作絵はなんとツーテールでした！気になる人は５巻を買おう！
つーかユニクロファッションですね！

多分ユニクロで間違いない気がします。
ユニクロで５万円分となるとかなーりの量のような予感が……。
「けいおん！」の澪がしまむら服愛用だとしたら、山田（仮）はユニクロ。次はVANかコムサでしょうか。
　
まあ今回は伊波さんのデート回、マンガにおけるクライマックスの一つでもあるので山田（仮）の出番は少なめですが、その割に余計なことをして引っ掻き回していた感じがあります。少なくとも相馬さんより余計なことしていましたね。
まずは原作にあるここ。
　
山田（仮）、うっかりみずをこぼしてしまいました！
こぼす前に台詞が入るのが素晴らしい。
うっかりだからしかたないよねー。ですよねー。
まあ８割方これは相馬さんの差金でしょうけど。

服を買ってもらえるとわかってはしゃぐ山田（仮）かわいい！
というか相馬さんは嫌がってますが（そりゃそうだ）「WORKING!!」という作品において、本当の妹キャラであるなずなが割と腹黒さんで、ぽぷらは小さいけどしっかりお姉さんしていて……となると、意外と山田（仮）のキャラ付けって割とリアルに妹っぽい感じもします。
つうかうちの妹にならないかね。

これもそのまま。山田（仮）質より量です！
今回のアニメ化で、普段あまり接触のないはずのぽぷらと山田（仮）が割といいコンビとしてぱたぱた画面の中を走りまわり、かわいさ炸裂させていたのは大正解だったと思います、山田（仮）的にも、ぽぷら的にも。

普通さん（松本さん）に「山田（仮）の家にすみませんか」というシーン。徒歩０秒です。そりゃ屋根裏だからな。
実際に見てもらわないと分かりませんが、屋根裏の「山田（仮）ハシゴ」のハイテクっぷりには驚きました。意外と佐藤さんが作った気がしないでもない。

「シェフ、山田（仮）せっかくおめかししたので豪華なディナーを作りなさい」
さらっと言えちゃう山田（仮）がすげえ。とはいえ八千代さん話で佐藤・相馬コンビがキリキリしたテンションになっていた状態だったので、山田（仮）がここで余計なことを言ったのはある意味空気を読んでいる気がしないでもないです。

絶対こうなるしナー。
というわけで、ほぼ諦めていた最終回の山田（仮）分存分に堪能しました。
ありがとう山田（仮）！
永遠に山田（仮）！
二期で会おう！
（あるのか？）
　

●私の好きな人●

ここからが今回の本編の話です。山田（仮）の話は趣味です。
現時点でもおさらい。

・伊波さんは男性恐怖症でつい殴ってしまう。
・かたなしくんは本気で伊波さんの恐怖症を治そうと考えてくれている。
・伊波さんはそんなかたなしくんに恋をしているが、側に寄れない。
・かたなしくんは伊波さんを犬をしつける感覚でいる。

かたなしくんに全くと言っていいほどそのケがないのが救いなのか不幸なのか。
なぜそこまで「伊波さんのことに興味がない」と言い切れるかというと、かたなしくんが極度の変態ミニコン（小さいものが好き）だからです。かわいいものが好き、というレベルではなくて「ミジンコ＞＞（越えられない壁＞＞伊波さん」ってくらい。

女装をさせられてのデート中だからいいものの、割とこのシーンアウトな気がするのは自分がロリコンだからでしょうかちっちゃい子のおでこはかわいいな！
はて、ここで気づくかと思います。かたなしくんの「好き」はあくまでも好みの問題であって、「青色が好き」「魚料理が好き」とあんまり変わりません。男女間の恋愛ではないんです。
ただ、男性恐怖症の伊波さんと真逆で、少なからずかたなしくんには女性不信のケがあるように自分には見えます。
だからこそミニコン、という短絡的なわけではないんですが、お姉さん達のだらしなさに絶望して年上の女性に対して夢を持てない、恋愛対象にならない、という現実が起きている感じはします。
だからこそ、この回までは「たかなしくんには伊波さんに対しての恋愛感情は皆無」というのが再三再四綴られてきました。
逆に言えば一切の下心なしに自分のことを救い、擁護し、叱咤し、付き合い続けてくれるというのが伊波さんの心の琴線に触れたと言っていいでしょう。
回想シーンでも入りますが、殴られ続けているのに反撃しないかたなしくん、伊波父の理不尽から開放してくれたかたなしくんには男でも惚れますよね。
かっこよすぎだよ。ほんと最高にのし付けて婿に出したい青年ですよ。
（ちなみにかたなしくんはお姉さんから護身術を習っているので、本当はめちゃめちゃ強いです。７巻参照）

１３話じっくりかけて、伊波さんの思いは確実に、明確な「恋愛」として形になりました。
恋愛だと気づいたのは、自分の中での問題もありましたが、ぽぷらが後押ししてくれたからでもあります。
そのスタートラインに立とう、というこの日が彼女にとって非常に基調であることは間違いないでしょう。
ましてや山田（仮）と相馬さんの「うっかり」によって、うっかり女装でデートすることになってハードルはぐっと下がりました。
今日ならいける、今日ならいける！
いけるといってもすごい進展なんて望んでいません。
ただほんのちょっとでいい、１ｃｍでいい、いつもより近くに寄ることが出来たら。
　

●二人の距離●

女装であるため、ふとしたことでこんなハプニングも起きました。
体の芯から拒絶しているわけじゃあないんですよね。あくまでも心理的な問題です。
しかしこれはあくまでもハプニングがあったからこうなっただけで、これがデフォルトで出来るかというとそれはまだまだ無理なわけで。
　

原作にないシーンです。
女装をしていたら「近づくことは出来る」。
しかし「近づくことは出来る」というのと「近づきたいと思える」のは全くの別物です。
恋人同士のスタートラインですらない、人間の距離感が詰められるかどうかからの問題が二人の間にはあります。
ベンチのシーンなんて、すごいですよね。間に４人くらい座れるんじゃないでしょうか。いくら初デートとはいえ、ベンチの端と端は極端すぎます。
これ、かたなしくんが気が利かないわけじゃなくて、単に「近づいたら殴られる」から離れているだけです。
しかし三枚目の雨宿りのシーンで、ふっと気がつくわけです。
確かに伊波さんはすげー焦っていてめちゃくちゃなことになっているけれど、それでもかたなしくんが安心出来るように、迷惑をかけないようにものすごく気を使っているということに。
　
あれ？
そもそもこのデートって、伊波さんの男性恐怖症を治すために自分が気を使ってやっていることじゃなかったのか？
むしろ自分が気遣われていて、何も出来ていないじゃないか。
体の距離が遠いのは伊波さん。マジックハンドが精一杯。
しかし心の距離が遠いのはかたなしくんの方。まだなんにも、わかってない。
　

●手をつなごう●

そうだ、男性恐怖症を治すためなんだ。
かたなしくんは、何度も伊波さんと手をつなごうと試みます。
無論これ、必死です。命がけです。殴り殺されるかもしれない。「猛犬」という表現を何度かしていましたが、まさに猛犬に対してお手をしているようなものです。かたなしくん視線からしたら。
しかしそれってよく考えたら失礼なことではありますよね。まあ仕方ありません。だって殴られ続けているのは事実だし、それは異常であり病気のようなものだから。
でもそれを治そう、と言ったのはかたなしくんです。うれしいじゃないですか。
うれしいけど、犬扱い。これは複雑。

そもそも伊波さんの感情は「女性が男性を好きになる」という恋愛感情ですが、かたなしくんのは「義務感」です。
伊波さんはかたなしくんの義務感に甘えてしまっている自分に対して苦しみもするし、それでも一緒にいたいという純粋な欲求もありますし、どうすればいいか分からないという困惑もあります。
この流れも１３話までで丁寧に描かれていました。
自分が男性恐怖症だと、それを治すためにかたなしくんは付き合ってくれる。
しかし男性恐怖症が治ったらかたなしくんは自分に興味がないから去ってしまうのではないだろうか。
でも男性恐怖症のままで居続けることはかたなしくんに迷惑をかけるだけに過ぎない。
　
そんな苦しみをさっくり取り去ってくれたのも、かたなしくんでした。
男性恐怖症が治れば、今より接しやすくなりますよね、と。
かたなしくん、結構さらっと殺し文句言ってきます。山田（仮）やぽぷらが察知するのも無理もない。ありゃほれるよ！もっとも殺し文句になることを言えてしまうのは、本人が女性に興味がないからではあります。

ヒートアップしすぎて熱暴走してしまいがちな伊波さん。
彼女の「物理的距離感」と「心の距離感」をコメディを通じて描写するのが「WORKING!!」のテーマであったと言っても過言ではありません。
しかし、今のまま永遠に凍結されることはありません。
一歩進むか。
一歩下がるか。
どうすればいい？

何度か書いていますが、「WORKING!!」は手の表現が非常に繊細な作品です。
山田（仮）、ぽぷら、伊波さんの手と、かたなしくんの手は何度も出てきていますが、細かく描き分けられています。
山田（仮）の手はすごく細くて冷たそうなんですよね。それは彼女がまだウソを付いているから、というのもあるでしょう。あるいは誰かに温めめてもらいたいから、というのも。ぽぷらの手はとても温かそうで、誰にでも触れることができる手です。
そして伊波さんの手は、常に震えています。
男性の手に触れたことのない手。もっと言えば、誰かからは触れられたことがあっても、自分から触れたことのない手です。
　

●かたなしくんの目覚め●

原作ではほとんどなかったデートの最中のシーンも、うまく増幅されて伊波さんとかたなしくんの気持ちがしっかり描かれました。
しかしデートなんてシロモノじゃありませんでした。「一緒にいる」ことだけで奇跡のような。
とはいえ、初デートで何すればいいか分からず空回りしたり、いまいち自分の気持ちがはっきりせずもごもごしたりということ、経験ある人いるんじゃないでしょうか。伊波さんのは極端ではありますが、割とリアルだと思います。
好きな人と一緒にいる。ただそれだけでどれだけ困惑することか！

毎回次回予告に使われていた平岡公園が、まさか最終のデートの舞台になるとは思いもしませんでした。
ほんとあらゆる変人達、と見せかけた「人間の内面をデフォルメした人間達」のつながりが、ここにきてやっと一つ形になりました。
　
いや、形になってない、気づいていなかった人間がひとりいるじゃないか。

こんなに側にいて、あれだけ長い時間一緒にいて、まあ殴られたりもしたけどとても気を使ってくれていて、おとなしいいい子。
何だこの感情？
自分の中にあった、「小さいものが好き」という安心感を破壊するこの感覚はなんだ？！
　
やっと目覚めたかたなしくん。
ここからが本番！……というところで最終回でした。
うわーん！　
でもいい区切りではありますね。きれいにまとまりました。
少なくとも。

それによって（大きな誤解は混じりつつも）伊波さんはちょっとだけ幸せになったわけですし。
その「ちょっとの幸せ」が人の間の距離を縮める「おおきな一歩」。
「WORKING!!」は小さな積み重ねによってできる人間関係の距離を描いた良作に仕上がったと思います。
　

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ときれいにオチを付けたいところですが、二期何がなんでも期待してるよ！！！
だって山田（仮）の出番もまだまだこれからだし、山田（仮）兄（仮）が出てきてからのかたなしくんこそが本領発揮だし、佐藤さんはもっと胃を壊して欲しいし、ぽぷらもっとちょろちょろしてほしいし、まだまだまだこれから！
とはいえ、最終回だなーとも実感しました。

普通がしゃべったから。
あー。なら最終回だよねー。
よかったよかった。
　

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ツッコミ。
　
右側のタイプの家はもしかしたら関東以南では珍しいかも知れないタイプの、東北・北海道らしいフード付きの玄関です。ほとんどの家に基本これがあります。理由は簡単、雪除け。右が伊波さんの家。
左は本州にもあるタイプの家だと思いますが、これは相当寒いですね。

見てみたら玄関も引き戸一枚なので、かなりきつそう。
無論北海道にもないわけではないですが、すきま風がきつそうです。
なんで最後にこんな話するかというと。

なずなのひかがみがエロかったからです。
ありがとう「WORKING!!」！！！
二期頼むからよろしくね！！！
　
　
　　　