たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

話題の「SCHOOLGIRL COMPLEX」はこんな人向け。

勢いで話題の「SCHOOLGIRL COMPLEX」も感想を書いてみます。
 

●こんな人向けです●

まずはっきり最初に言うとエロ目的な人向けではないです。
おっぱいもおしりも出てませんし、性行為もありません。
フェティッシュの塊なんですが、かといってフェティッシュ写真集のような欲求の弾丸でもありません。
じゃあ何だ?と言われると、これは「見たい」と憧れる少年の願望を今もたたえている人、そして見られる側の拒絶を知っているかつての少女たちのための写真集です。
 
前者は分かりやすいですよね。
男の子のみたいところっていったら、おっぱいとおしりですよ。ずばり。
でも学生時代の教室の中でそれは見えないでしょうと。
じゃあ見えるのどこよ?
脚。
腋。
腕。
喉。
太腿。
ひかがみ
手。
スペシャルラッキータイムとして、へそとか背中とか。
 
そこなんです、そこなんですよ。
「おっぱいが見たいよ!ぱんつがみたいよ!でも見えない!……けど今日見えたあの子の腕……なんでこんなにドキドキするんだろう」
この気持です。だからフェティッシュ視線ではないんです、あえて。
 
この写真集では、パンツはもちろん見えません。ブラもラインが見える程度。
そして一切顔が見えません。
これは「見せてもらえない男子」の視線なんです。
だからこそチラ見してドキドキした部分を切り取っておもちゃ箱にいっぱい詰め込んだ男の子の味がします。
 
なので「フェチや直接的なエロを求めている人」向けではないです。
パラパラとめくると、そこにあるのはポケモン遊戯王カードゲームのコレクションのように切り取られた女の子の記号の断片です。
それをノスタルジックの中で楽しみたい人には最高の少女コレクションです。
 

●拒絶する視線●

先程も書きましたが、これ拒絶する少女側の視線としても楽しめます。女性向けでもある、ということです。
顔が一切でない。絶対にブラやパンツは見せない。ここまできているのに絶対見せない。
それは学生時代にできるだけスカートを短くしているにもかかわらず、絶対にぱんつはあいつらには見せてやらない、という意思表明に近いものがあります。しかもスカートの下には短パン。ぱんつ好き涙目、女の子は「見せてやるもんか」。
この写真は限りなく性的なのに、絶対入り込めない壁がある。その壁こそが女性感覚なんですよ。だからすごい。
 
でも「じゃあ拒絶するならこういう写真に惹かれないだろう?」となるかもしれませんが、そこが逆転の発想。
ATフィールドばりの拒絶をしているのに、彼女たちは見られているんですよ、見られてしまっているんですよ
特に靴下を脱いだあとに残るゴムの跡の写真や、拡大することでほのかに見える毛穴とか、そういう性的な部分を超えたところまで見えてしまっている。
加えて、総ての写真が正方形になっていることでコレクション化されています。これははてなで連載していた時から意図的にされたデザインだと思います。
写真というものが世界の瞬間を切り取って逆に拡大できるツールだとしたら、同時に瞬間を閉じ込めて封印するアイテムでもあります。
これは完全に後者。何のシチュエーションか分からないような女の子のポーズもありますが、それすらも容赦なくハコに詰め込んでしまうんです。少女をコレクションしたいという極めて子供的な欲求によって、少女たちは切り取られて冷凍保存されます。
だけどそれに対して徹底的に拒絶・対抗し、コレクションになるまいとする。
 
この本は「集めたい男子」と「逆らう女子」の対立関係にある写真集だと思うのです。
パッと見すごくフリーダムでエロティックな写真集に見えますが、逆です。ぞっとするほどの緊迫感と、圧迫感に包まれた少女記号の断片です。
あとがきより。

女の子はとてもエロティックであるのと同時に、恐怖の対象でもあった。

この作品は「女の子が怖い」成人男女のための、奇妙な「カタチ」の記録集です。