ヒーローが集まったら滾るだろ!?『アベンジャーズ』面白かったよ日記。
アベンジャーズ|Avengers|映画
見てきました。アベンジャーズ。
自分は特にマーベル好きなのでその分の加点はありますが、いやあ面白かった!
箇条書きな感じで感想書いていきます。ネタバレはなしで。
●ファーストインプレッション●
まず見終わって思ったのは、「これならギアーズオブウォーの映画化を期待したい」ということでした。
全然関係ないじゃん!と言われそうですが、いや違うのよ。確かに関係ないんだけど、作中の映像がまさにギアーズオブウォーなのよ。
あのスタッフがギアーズオブウォーの映画作ったらすげーのできるぜマジで。
話を戻します。
ヒーローが集まるというだけでもうテンション上がるわけですよ。
『アベンジャーズ』はそもそもがマーベルのキャラがクロスオーバーするのが売りなシリーズ。特に『キャプテンアメリカ』なんて第二次戦時中レベルからの歴史的ヒーローです。
とはいえ、実のところそこまで今のアメリカで未だにヒーローかというと、そうでもない。
「みんな知ってるけど今も熱狂的に子供に支持されているかと言われるとどうかな」という感じらしいです。
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アメリカではこの手のコミックは誰もが読んでいるものではありません。そもそも「スパイダーマン」のコミックがヒットしたのは1960年代。その後はアニメなどで放映されたので、子供の頃に見ていたという人は多いですが、現在もコミックをフォローしている人は、昔から読み続けている一部マニアが中心で、読者層は高齢化しています。アメコミを売っている店は大きな町に1、2軒しかない現状ですから。子供たちは、「キャラクターは知っているけど、物語は知らない」状態
これは作中でも反映されていまして、キャプテンアメリカが「今時星条旗はどうかと」みたいに自分のスーツに対して言うシーンもあります。
それに対してのニック・フューリーが「古臭いものも大事だ」というのが、この作品そのものなんだよなーという感じ。
基本的にどのキャラもそれぞれ単独の映画を経たことで、かなりかっこよくリデザインされています。
ハルクは変わらないですね。ってか変えようが無いですね。
ホークアイなんかは原作漫画と全然別物。とてもかっこよくなってます。
んなわけで、「全然知らないけどヒーローすげー!」でいいんですよ。
まさに、アメリカの子供たちが「そうか、ヒーローってこんなにかっこいいんだ!」って思ってくれればいい、大人が「ああ、これが俺たちのヒーローだ!」って楽しんでくれればいい、という作りになっています。
なので、日本人のぼくらも「よし、かっこいいな!」と思えたら、それでいい。最高に気持ちいい映画です。
●日本人とアメリカ人の感覚の違い●
日本人のヒーロー大集合って、あんまりないんですよね。
それは当然。マーベルやDCコミックは権利が版元にあって、描いている人・漫画家や原作者に権利があるわけじゃないので、会社側を通してクロスオーバーの企画がやりやすい。だから「アベンジャーズ」や「ジャスティスリーグ」ができる。
日本は作家に権利があるので無理です。
なので、あえて言えばぼくが似ているなあと思ったのが藤子不二雄キャラがクロスオーバーする映画。あとはプリキュアオールスターズ。ゴジラはどうかなー、怪獣大戦争の方が近いかも。OVA『ジャイアントロボ』も似てますが、あれはキャラの性格からして別物なのでちょっと方向が違う。
最近だとライダーと戦隊が大変なことになっていましたね。
比較的感覚として似ているのは『スーパーロボット大戦』かもしれません。
そういう意味で「ヒーロークロスライン」はいい企画なのですがー。
日本のヒーロークロスオーバーは、同じ方向を向いて「よしやるぞ!」と協力するのが熱い。協力と一致と団結がテーマになりやすいと思います。
まあ、サンプルがそんなにないのですが……。
で、『アベンジャーズ』ですが、テーマは、まあ協力もするけど違うんですよ。信念なんですよ。
そもそもアメコミヒーローはいわくつきしかいない、と言えるレベルで歪んでます。
それが一堂に会する時に、「まともに噛み合うわけがない」というのが最初から提示されているんです。ここは本当にアメコミの、特にマーベルの持っているテーマそのもの。
キャプテンアメリカは正義のため命をかけて戦うのが信念ですし、マイティ・ソーは高潔なる神としての使命を全うし世界を守ります。ハルクは怒りを常に心にこらえています。
彼らが集まればすごい力になる、というのが「アベンジャーズ計画」ですが、これは一度ご破綻しているところからのスタート。
で、ロキ(ソーの弟。神様。)の登場で集められるわけですが、もう話が噛み合わないのなんの。
ラストのアクションシーンもいいんですが、この話の噛みあわなさが一番見ていて面白い!
なにがいいって、アイアンマンがいいよね。
アイアンマンは基本的に合理主義で、超人じゃなく人間です。ヒーローだから命をかける、ではなく、うまく戦ってうまく儲けよう、というあたり非常に「らしい」キャラ。口も悪いんですが、言うこと全部納得できちゃうんですよ。
例えばヒーローとして人を守るために鉄条網に身を投げられるかとキャプテンアメリカに聞かれると「鉄条網を焼ききる」とざっくり。ですよねー。そっちのほうが賢い。身を投げだすのはヒーロー的だけど合理的じゃない。
ここでアイアンマンとキャプテンアメリカの対立が生まれるのが、本当に面白い。
水と油もいいところなんですよ。
映画を見て興味がある方は、ぜひとも『シビルウォー』を読んでみてください。
ヒーローがまっぷたつに別れて戦う話なんですが、まさにキャプテンアメリカの思想とアイアンマンの考え方のぶつかり合いそのままです。
他のヒーローも全員思いをかかえているんだもの、そりゃぶつかるわな。
強い+強い=最強、なんだけど、強い+強い=カオスなのも間違いない。
最初はもう殺し合いになるレベルで信念のぶつけあいになるんですが、ある一点で収束して全員が集まる様は、もうヒーロー好きなら顔かきむしりたくなるくらいゾワゾワします。
特にぼくはヒーロー大好きなので、一同に集結した瞬間ブワーでした。ちょっと酔いすぎだろ!ってレベルで。
でも仕方ないよ。好きなんだもの。
日本なら全員が手を握りしめて顔を合わせるじゃないですか。
アベンジャーズは全員お互いに背中向けて、周囲の敵に立ち向かうのね。
これこれ。ここなんだよ。彼らの姿勢は
彼らは「信念」ゆえにぶつかりあいますが、「信念」ゆえにお互いを認め合います。無言のうちに。
だから一瞬だけ手はかすけど、お互い依存することは絶対ない。
そこが、いいんだ。
●基礎知識●
映画を見る前の基礎知識に関してです。
この映画見る前に何か知っておいたほうがいいかに関しては、まあ知らなくても、最低限名前だけわかってればいいかなくらいかなと。
名前も知らないと、ちょーっときついかもしれません。
出てくるアベンジャーズはこの6人。
・キャプテンアメリカ
第二次大戦中に弱い体で兵に志願するも通らなかったが、その信念ゆえに超人兵士血清で人を超えた力を手に入れる。一度は終戦にともなって氷漬けになるが、後に復活。武器であり防具は盾。
・ハルク
実験(映画では兵士強化、漫画では爆弾実験)を自らに施したところ失敗、ガンマ線を浴びすぎて緑色の巨人に変化。怒りによって抑えることの出来ない超人になってしまう。マーベルでもトップレベルの、ソーと並ぶパワーと耐久力を持つ。
・アイアンマン
天才頭脳をもったトニー・スタークが、ベトナム戦争で心臓に破片を突き刺し瀕死になってしまう。彼をゲリラが捕まえて新兵器を開発。その時兵器開発のふりをして、心臓ペースメーカーと連動したパワードスーツを作り上げる。本体はただの人間だが、スーツを着ると飛行はできるしミサイルやレーザーも撃てる超ベンリヒーロー。
・マイティ・ソー
アスガルドの神様で、オーディンの息子。ようするにトール。ソーが傲慢だったゆえにパワーを奪って追放させられている。空も飛べるし怪力だし頭もいいし死なないしの無敵超人っていうか神様。彼のハンマーは高潔な者しか持てないので、ソーと同じ怪力のハルクも持ち上げられない。
・ブラックウィドウ
ナターシャ・ロマノフ。ありとあらゆるところで戦ったロシアの女性スパイ。普通の人間だが、身体能力は世界一レベル。軍事訓練が施され、手につけたギミックで戦う凄腕。洗脳を受けた経験もある。
・ホークアイ
普通の人間だが、子供の頃からサーカスで訓練されたため弓の超達人で、百発百中のうでを誇る。弓矢には様々なギミックが施されていて、サポート役としては一流の腕を誇る。初期ヒーローの一人。
ホークアイとブラックウィドウは単体の漫画も出ている、アメリカではそこそこメジャーなキャラですが、日本では翻訳版もないし映画もないしであんまり有名ではないです。
ただ、アイアンマンシリーズの映画にちょろっと出ていてフラグは立っているので、見た人はわかるかもしれません。
それぞれの映画は、見ておいたらもう何十倍も楽しめると思います。今回の『アヴェンジャーズ』には完全につながってますから。
最低限この6人の名前とキャラ、あとはニック・フューリーを覚えておけば大丈夫かなと思います。
『アベンジャーズ』の原作コミックの方は、そんなに触れなくてもいいかなと。
というのも『アベンジャーズ』自体がものっすごく入り組んだごちゃごちゃな設定(いろんな人が描いているので)になっていますし、そもそも初期メンバーのヘンリー・ピムやワスプ、スカーレットウィッチやクイックシルバーやブラックパンサーはかけらも出ていません。
色々な作品からいいところを抜き出してロキ編を使ったアベンジャーズ創始編だと思うといいと思います。最近の『アルティメット・ユニバース』が一番近いんでしょうか。
日本人に馴染みのあるところだと「スパイダーマンは?」「X-MENは?」となりますが、これもちょっとややこしい。
スパイダーマンは『ニューアベンジャーズ』シリーズと『ヒロイックエイジ』シリーズで参戦。ニューアベンジャーズは先ほどの『シビルウォー』でキャプテンアメリカを取り戻すため結成されるというちょっと変化球。常時参戦ってより、ピンポイント参戦というイメージなんですが、全部読んだわけじゃないのでわからないです。まあアイアンマンがスパイダーマンと絡んだりもしてるので、ぜひ見たいのですが。
「X-MEN」は現在、「アベンジャーズ VS X-MEN」というのをやってるくらいですから、ほとんど参戦してません。一応ウルヴァリンが『ニューアベンジャーズ』『ヒロイックエイジ』などあちこちで参戦。ビーストは何度もアベンジャーズ中心メンバーとして参加したり、X-MENに戻ったりしています。あとはマグニートの娘がスカーレットウィッチで、こちらは初期からの超主力メンバー。
おそらくよっぽどのことがないとそのへんは今後も参戦しなさそうなんですが、ゴリライモと呼ばれることもあるサノス(ゲーム「マーブルスーパーヒーローズ」のボス)が出てくる『インフィニティ・ガントレット』をやるのであれば、スパイディもX-MENも出てくるはず。はず!
どうなるのかなーできるのかな。やるとしたらシルバーサーファーからだよなー。
●2Dがいいか、3Dがいいか……●
で、問題は2Dで見るのがいいか3Dで見るのがいいか。
前半はヒーロー達の信念のぶつかりあいメインなので、そんなにアクションないです。あるけどそこまでではない。
後半は3D意識しまくったアクションだらけなのでこれがもうとんでもない。
なので、後半のために3Dで見るのをおすすめしたいんですが、いかんせん前半がかなりシビアに物語を追っていくので、3Dだとすごい疲れる!
前半が2Dで後半3Dならいいんですが、そうもいかないですしねえ。
多分この映画に関しては、ややこしさとアクションの派手さがあるため、吹き替え版でみたほうがいいんじゃないかとちょっとだけ思います。ぼくは普段から字幕派なんですが、この映画に関しては文字を見ている隙がない。
とにかく3Dで飛び回るアイアンマンと、3Dで暴れるハルクのための映画。
この二人が見たかったら、3D必須。ぶっちゃけアイアンマン映画だといっても差し障りないくらいアイアンマンがいいとこどりしているのです。
で、もう一個問題になるのが、ヒーローの力差すごすぎない?ってとこです。
『アヴェンジャーズ』の魅力は、人間だろうと超人だろうとミュータントだろうと、みんな集結できるところ。
だからブラックウィドウみたいな人間から、ソーみたいな神様まで一緒にいるのがいいんです。でもソーはチート性能すぎるんですよね。一人で全部まとめられちゃうんじゃないのってくらい。
逆に、単体だと強いキャプテンアメリカも、このメンツだと霞む。実際知能が高いわけでもなく、空も飛べないので、映画の中で相当苦しみます。そこが面白いんだなー。アイアンマンとの会話は笑えるので必見。
それでも、全員に見せ所があるのが魅力。ホークアイはまだ弓矢サポートなので見せ所わかりやすいんですが、ブラックウィドウのかっこよさ半端じゃ無いです。そしてソーやハルクは確かに強いけど、キャプテンアメリカの指導力がないとこれがうまくいかないってのも、いい。
先程ものべた、キャプテンアメリカとアイアンマンの対立が見事にそのまま協力の形に変わっていくシナリオはゾクゾクします。いいねー。
終わったら終わったですぐに解散するのも、彼ららしい。
映画としては「絶対必見!!!」とまでは言わないです。
やっぱりねえ……マーベル好きな人向けなのは否めないです。全くアメコミヒーロー興味ない人に見せても、テーマがアメコミヒーローの抱えているものなので、面白いとは思うけど100%楽しめる保証まではできません。
でもマーベル好きなら見ないと損だよ!とは胸はって言えます。
ネットを見ると「スパイダーマン出てないのはなー」「バットマンいないの?」というのもちらほら見かけます。日本人だけではなくアメリカ人でも。
分かる、分かるよ気持ちは! でもそれは原作と違いすぎるの! (あとバットマンDCコミックだから絶対でないの!)
あくまでも、マーベルコミックありきで、決して「新しくヒーロー大集合!」ではない、っていうのだけは分かってもらえれば、映画の質としては本気で楽しめるはずです。
最後に、一番の見所はスタッフロールの後だと思いますので、最後までぜひ。
あれは反則だよ。なんだあれ。あれのために撮ったんじゃないのこの映画。