たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

大好きなものに色々な衝撃を受けたときは、志村貴子先生の短編集「かわいい悪魔」を読もう。

自分は今、「けいおん!!」の最終回後の余韻と、アイマス2のとんでもない発表を聞いて、じわじわと、バキ的に言うところのボクサーのパンチをくらったあと打撃の跡が体内から消えずじわじわとこみ上げてくるようなものともつれ合ったりしています。
まあどうもならんのですが。
アイマス2の方はもうほんとどうもならんので時間くれ! 時間ください! 落ち着けないから! 亜美! 亜美ぃ!
 
で、「けいおん!!」の方です。
感想をこちらでも商業記事でも書きたいなあと思いつつ、コミック版最終回と番外編でがらっと印象変わりそうなのでうーむと悩み中。あと自分の中での整理というか、今後どう愛していこうか葛藤中。
いやっていっても愛し続けてやるんだからな覚えてろ!という気分ではあります。ムギみたいに笑い続ける所存です。
が。
あとからじわじわ、というのはほんと卒業式ならでは、ですなあ。ガンガン前に突き進む所存ですが、決して寂しくないわけじゃないのよ、むしろ寂しいよ。
 

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まあそれどころじゃない苦しさに直面することは多々あります。
なんで好きになっちゃったんだろう?なんて苦痛があったことも当然、オトナになるまでに山ほどありました。
 
そんなとき。
とりあえず今は、志村貴子先生の作品集「かわいい悪魔」収録の「かわいい悪魔」と「中学生」と「不肖の息子」と「とあるひ」を読むといろいろな意味で癒されると思うので、超絶オススメ。
今これがぼくの心の支え……じゃないな、アンセムだったりします。
 

 
いやまあ、「けいおん!!」と関係全然ないんですが。
この中の「中学生」は地味にじわじわきたので。ああー今読んでよかったなーと。
大好きなマンガと一人の少女を描いたものすごい短い物語なんです。
 
大好きな作品に出会えるってすごく幸せなことなんですよね。
出会えないより出会うと幸せ。
楽しいことが見られた幸せ。
でも「終わる」んですよ。
終わらない物語ってないのよ。
 
実は「幸せ」ってマイナスになるわけじゃないのですよ?
好きなものに出会って夢中になる気持ちって子供も大人も一緒。
ただ、それが終わると何かを喪失した気持ちになるけど、実はそうじゃない。
それで得たものは蓄積されるし、加えて世界はもっと広いことを知るんだよ。
 
そんな、お話。
 
ネタバレになるので物語の中身は一切書きませんが、こういう見方もあるんだなーと思っておくだけで気持ちが楽になるのではないかなーと思いました。
アイマス2についてもそんな気持ちになれるのかなー。
 
「不肖の息子」はちょっとまた角度が違う。
大好きな先生がお父さんと結婚してしまって、という、エロ漫画ならラッキー展開なんですが現実だったらマジ勘弁してください、なシチュエーションで始まる物語です。
もう諦めるしか無いんですよ実際は。
悔しがって涙ながしてでも拳握ってどうにかするしかないんですよ。
で、主人公は漫画を描くんです。
最初は大好きな先生について描いた漫画。もう恥ずかしくて見せられないもの。
それは黒歴史になって、今は持ち込み中。デビューは出来ていません。
でも描くんです。描き続けるんです。
 
この、告白することもできず、出来たとしてもどうにもならず、ただ黙々と漫画を描く主人公の気持ちを考えるともうもうもうジワジワきて。ツボに入ってしまいました。
でも、泣きそうになったんだけど、あ、これは泣いちゃダメだと。
志村貴子先生が何を伝えようとしてこの漫画を描いたかを考えたら、よし分かった、と自分もPCの前に向かうしかないじゃないですか。
 
「とあるひ」はもっとダイレクト。
漫画を描くのも、人を好きになるのも「好き」には変わらない。
ストレートにその「好き?」を問いかける物語。
最後のオチが、なんともへっぽこで。
人間ってそんなもんだよなーと、落ち込んだときに読むとちょっと気分が切り替えられます。
 

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「アンセムって言葉が好きです。
応援歌、でもいいんだけど、もっと力強い、有無を言わさずに突き上げてくる響きが大好きです。
ぎったんぎったんにされても立ちあがれ、もっとだ、ここからだ、俺達がチャンピオンだ!はみだしものでかまわない!ロックンロールは鳴り止まない!
おまえたちは今幸せの前にいるんだ!つかめるんだ!という強烈な響き。
逆を返せば「現実にはつらいこともいっぱいあるよ」ということなんですよね。それは先程書いた「中学生」のように好きな作品が終わるという比較的小規模(でも本人にとっては大事件)なことから、「不肖の息子」のように最愛の人告白もせずにフラれてしまう上にデビューできない、という人生のどん底状態まで。辛いよ。
でもその辛さって、「好きだ」という一点があったから、産まれたものなのを忘れたくない。
好きが次の新しい「好き」を産むんだ、がんばれ、前に進め、負けるな!
 
志村貴子は「放浪息子」や「青い花」でもこの点、「好き」の気持ちは「つらいよ」と最初に必ず言ってくるんですよね。絶対に辛いことあるよと。
だけど、幸せでもあるんだよ、なんとかなるよ、それでいいよ、と押し付けがましくなく、現実とのバランスを保ちながらクッションで受け止めてくれるから、本当に大好き。
時には読み返せないくらい重いこともあるんですが(「放浪息子」は時々重すぎて潰されるので読めなくなる)、最終的には「好き」を否定しない。
時々鼻先に傘やら刃物やら突きつけられる感もありますが、それでも「好きでいいんじゃない」と言ってくれます。
それがこの短編集にびっちり詰まっていて、読んでいて泣きそうになりながら、「泣いちゃだめだ頑張れよオレ」と立ち上がりたくなるアンセム。それがこの短編集です。
 

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志村貴子先生作品はどれも好きですが、やっぱり短編での力量のすごさは尋常じゃないですよね。
一番の傑作は?と言われたら、甲乙つけ難いですがやっぱり「どうにかなる日々」かなあと。

これもまた、ゆったりとして人生のアンセム
ふと気づいたんですが「好き」とか「やりたい」とか「辛い」という思いに優劣をつけないのが、志村貴子先生作品を読んでいてホッとするところかな、なんて思いました。
ぼくの「好き」は「好き」でいいんだ。
 
よーしがんばるか。
 
関連してないリンク
ムギになれよ!!!
「けいおん!!」ED、『NO,Thank You!』のロックンロールは鳴り止まないっ
Togetter - 「たまごまご氏の選ぶ「ぼくのアンセム」」
適当な発言をまとめてくださった方がいました。ありがとうございます!
 
コピーライターが気になる歌詞 THE HIGH-LOWS 『日曜日よりの使者』

人を泣かせることは簡単だが、笑わせるのは難しい。
とよく言われるが、笑いという感情は、引き起こすのは、簡単なようでいて、
意識をすると難しい。
アランの幸福論に笑いについて語った有名な言葉がある。
幼い子どもがはじめて笑うとき、その笑いはなにひとつ表現していない。幸福だから笑うわけではない。むしろ笑うから幸福なのだと言いたい。


人の作品を見て笑って、よし頑張ろうと思いたい。
志村貴子先生は僕に取っての「日曜日よりの使者」。
人を笑わせたりほっこりさせられる「日曜日よりの使者」になりたい。