たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ナースの制服と記号化についてしらべてみた。その2


昨日の続きです。

いわゆる「ナース服」という名前の記号を身につけることは、看護婦さんたちを没個性化する目的があることがわかりました。それにより、患者に与える安心感は確立されて、女性たちは「看護婦さん」として受け入れられてきたみたいです。
しかし、その安心感と引き換えに、大きな問題点が発生することになります。

看護婦をターゲットとするプロパガンダは、看護婦を依存的で、二流の地位に引きとめておこうとする。看護婦たちはこうしたプロパガンダを受け入れたり、このプロパガンダによって混乱することはあっても、拒否することはめったにない。自分たちに起こりつつあること、つまり自分たちは操作されているということに、しばしば看護婦たちは気づいていない。このプロセスは隠蔽されているのだ。
たとえば専門職化をめざす看護婦たちの奮闘は、女中のイメージを温存しようとする人々に逆用されてきた。たとえば彼女たちは、キャップとユニフォームは「専門職」の印だと教えられた。しかしユニフォームを着るのはサービス労働者であって、専門職ではないと、看護婦が指摘することはめったにない。
 
A・H・ジョーンズ『看護婦はどう見られてきたか 歴史、芸術、文学におけるイメージ』


ナイチンゲール主義」という言葉があるようです。
看護婦に対して持たれるイメージとして、3点あります。
1「女性らしい」
2「平等にやさしい」
3「人に仕えなければならない」

これらを押し付ける風潮が、ナイチンゲール主義。
おいおいそりゃひどいゼとは思いつつも、ナース服のイメージはこの3点から決して離れていないのではないでしょうか。
もちろんこの3つを「思わせる」ために作られた服です、そう思うのは当然なのですが、それが一人走りしてしまって、血迷っちゃう人(特に年配の方)が増えてしまいました。まーなんだ、やさしいと思ったら甘えて、それが当然だと思っちゃうのってよくありますよね。それが服装で反応してしまうからコワイのです。特に1。「女性らしさ」ってナニ?って話です。ジェンダーとかなんとかは難しいのでとりあえず保留。
この点はアダルトビデオやマンガやエロゲーなどにも共通して流れる視点になっています。自立する人間ではなくて、献身的に働く女性。今のメイドブームの流れにも似てますネ。
 
看護婦服にあこがれる看護学生は非常に多いのですが、現場ではナイチンゲール主義をあおる制服に苦しむ人も多いようです。なかなかその点に対しては反対の声をあげにくいのも事実。
 
白衣とナイチンゲール主義に抑圧されるナースの心の話
「女性本来は献身的でなければいけない」という象徴になってしまったナース服。そんな押し付けが病院内にはびこるとしたら、白衣は着たくないですネ^^;
今までは「看護婦の服程度でガタガタぬかすなゴラァ」という感じでなかなか訴えが通らなかったようですが、最近はナース服そのものの機能性や色、そして没個性さへの策としてさまざまな変革がなされているようです。
 
まず、今はほとんど廃止されたナースキャップ
もともとはシスターの服から転じたナース服。その中でも特別なプロフェッショナルの勲章ナースキャップは女性の憧れでもあります。戴帽式なんかがその証でしょうネ。
しかし、読んでのとおりナースキャップは細菌の温床。ほら、がちがちに硬いじゃないですか。あのノリに細菌が発生しまくりのようです。そんなぽんぽん変えて気を使うのもメンドくさいものですしね。それならないほうがマシです。もちろん人間ですから体中完全無菌なんてムリなんですが。

白衣をみると心臓がショック受けちゃう人もいます。

 白衣の医療関係者に血圧を測ってもらうと、いつもより血圧が高くなることを 「白衣性高血圧」 という。血圧は肉体的な活動のほかに、精神的な刺激やストレスでも高くなる。普段より二割から五割も上昇する人があるとのこと。
 
また高血圧症例の二割が白衣性高血圧、との報告もある。
普段の自分の脈拍数と血圧の関係を知っていれば、緊張して脈拍が多く血圧が高くなっていることが分かり、白衣性と推定できる。ちなみに、白衣性高血圧が心臓病を引き起こす危険性は高くない、との報告もある。

これは医者の白衣にも言えることです。白衣の天使とはいうけれど、子供にとってはおっかないわけです。前から白衣後ろから白衣白白白白白の嵐。ギャー!針がささるよ!
そんなわけで、今は小児科はピンクや青、柄物の医師・看護婦多いですね。中には私服もあるというから驚き。
老人も看護婦さんの白い衣装みて、死という現実にひきもどされてしまうのか心臓マヒしてしまう可能性があるとのこと。安らぐはずの衣装が記号化されすぎたために恐怖の対象になるんじゃ、元も子もありません。こうなったらもう「白衣の天使」じゃなくて「白衣の死神」。
白は清潔の証、とは思うのですが、この色の圧迫感は尋常ではないようです。
 
病院の色についての掲示板
ちょっと引用するのでわけます。

[990] Re:病院内って、本当に「白」が良いの? (REIKA) 5/16 18:30
今日、3通目です。
バスの色の話題から、ふと思い出した「疑問」を書かせてもらいます。
病院内の色って『白』がお約束になっていますよね?もちろん これには、ちゃんとした理由があるから、ずーーーっと大昔から そうなっている訳なんでしょうけど・・・。
数年前、成り行きで『病院内清掃スタッフ』を約半年間勤めたコトが、あります。けっこう今にして思うと「命がけ」に近い事をやってしまったという感がありますが。危険がイッパイ地帯だもんで。
病人の方々は、あんな無味乾燥な真っ白い部屋に寝かされ「元気」になれるんでしょうか?!とってもとっても疑問でした。ベッドに横たわった病人さんは、片っ端から亡くなって行くのですよね。私が患者だったら「絶対にヤだ!!」と思ったのです。
もし「ナース」の服が『アンナミラーズ』のユニフォームのようだったら少なくとも男の患者さんの治りが早いような気がするのは私だけでしょーか?
私の頭の中は「疑問」の嵐でした。本当に『白』い色に囲まれた心理状態って、良好なのだろーか?!よけい心身共に「衰弱」してゆくのではないのだろーか?
で、実験的試みをしてみた訳です。”青い清掃服”は、真夏にもかかわらず1着しか渡されない訳です。どーゆーこったい?!と思いつつ『オレンジ&イエロー柄』のアロハシャツに、『ベージュ』のショートパンツ(自前)で、モップ抱えて大奮闘した結果。
『患者さん&ドクター』サイドからは「好評」でしたが、『ナース&ヘルパー』サイドからは、コテンパンに叩かれました。
でも「寝たきりの患者さん」たちからの「お礼の言葉」にどれだけ支えられたか判りません。
どなたか「病院は白」のお約束の理由をご存知の方が、いらっしゃったら教えて頂けませんか?「医学」が望む色が『白』なのかな・・・。
 
[991] Re:病院内って、本当に「白」が良いの? (Tajika) 5/16 19:06
私も長年病院勤めです。以前パーソナルのMLにも書きましたが、最近のナースウエアは色とりどりですよ。さすがにライトトーン、ペールトーンあたりが中心ですが、ピンク、ブルーのスタンダードカラーの他 黄色、紫、ペパーミント、サーモンピンク、シルバーグレイもあり。エプロンも花柄、ドット、ストライプなどなど。このごろナースキャップも廃止になり、それにも目が慣れてきました。
若くて可愛い看護婦さんは何を着てもよくお似合いですが、年配の婦長さんクラスもそれなりにピンクやイエローを楽しんで(時々 オットーッと思う事もありますが)、誠実一筋の看護婦さんは相変わらず白一色で、それはそれで人柄が忍ばれる。
清掃のかたもファミリーレストランを思わせるユニフォームを着ていらっしゃいます。
"白"のもつプロのイメージが好まれる場合もあるかもしれませんが、患者さんにちゃんとした態度と言葉遣いで接していれば、ユニフォームは白でなくとも特に苦情はないみたいです。ただし、デザインがスポーティなほうが、感じが良いです。(フリルつきやフレアスカートなんかもあるので)
真っ白い病室ってあるのですか?綺麗なような不気味なような・・・。
 
[993] Re:病院内って、本当に「白」が良いの? (ぜろさん) 5/16 20:00
こんにちは。以前、病院勤務していたので、私の意見を書かせてもらいます。
病院が白であるのは、まず一番に機能を重視していると思います。病院では清潔・不潔をキチンと区別する事が基本になります。また、出血や傷口からの侵出液などがシーツ、枕につくことがあります。それを見て、どのくらい出血があったのか、観察をする時やはり真っ白がよくわかります。
その次に、心理的な側面です。最近では、白は冷たい印象を与えるという意見もあり、うすいピンクやブルーの白衣を着ている病院もありますが、基本的に、清潔そうでシンプルな白を着ていると思います。原色の色では病んだ患者さんの心が落ち着かないからです。
私の読んだ本では、緑が回復力を早めるとかいてありました。
やはり、病院は病気などでつらい状態の患者さんがいるところなので、シンプルが一番だと思います。私の理想は、小児科などを除けば、全体を白でまとめて、あとグリーンを所々に置くというものです。いかがでしょうか? 
 
[996] Re:病院内って、本当に「白」が良いの? (なかむら) 5/16 22:46
こんばんは。
>病人の方々は、あんな無味乾燥な真っ白い部屋に寝かされ「元気」になれるんでしょうか?!とってもとっても疑問でした。
ある本で読んだのですが、アメリカとスウェーデンで術後の患者さんに対して、何もない部屋と壁に自然の風景などの絵画を置いた部屋での比較をしたところ、絵画のある部屋の患者さんの方が、薬の量が少なかったそうです。白い部屋の患者さんは自分の痛みにばかり集中してしまうのだそうです。
アメリカでは入院中に絵画のサ−ビスがあり好きな絵を壁にかけてもらうというシステムがあるところが多いそうです。カラーやアートが薬になるという考えが定着していると聞きました。
今、日本でも病院内の内装を変えていこうといろんなことが行われています。大阪のある公立病院では、オペ室までの長い廊下が患者さんに不安を与えるとして壁に直接、花などの絵を描いて暗い廊下のイメ−ジを改善しています。
また、年齢を重ねると視覚にも衰えが来るため階段・ドアなどに色彩の変化を持たせ視覚で判断できるようにしているところもあります。
なぜ壁が白になったのかはわかりませんが壁やインテリアなどソフト面の充実より機材などの設備投資に重きをおいていて心理ケアの面が遅れているのが日本の病院の現状だという話を、先日ある講演で伺ったばかりです。
そういえばアメリカの輸入住宅を診療所にしているところが近所にあります。とっても流行っているのは色彩心理効果もあるのでしょうか?(笑)先生も素晴らしいと評判ですが、、(^。^;)。
 
[998] Re:病院内って、本当に「白」が良いの? (うみ) 5/16 23:41
一患者として意見を言わせて頂くと、白一色ではストレスが溜まってたまりません。ガーゼやシーツは分かりますが、オペの時に医師などが着用するものも、ブルーやグリーンを使用している位ですから、出血時のためという理由も聞きますがちょっと疑問を感じます・・・。だから、もう少しカラフルなものをスタッフが着ても、構わないかと思います。
また、「制服」では心理的に安心できず、聞きたいことも聞けないという患者が少なくないと聞きます。そんなことも考慮して、感染症などの心配の少ない病棟では、看護婦やその他のスタッフが私服を着ている病院もありますよね。
さらに、「病院=白」というイメージが強くて、白にアレルギーを起こす方も少なくないかと思います。私のおばは看護婦ですが、白は病院にいるようで落ち着かないという理由で、自宅の壁紙はカラフルにしています。病院スタッフにも影響を与えているんですよね。私も退院後は、カーテンやクッションなどを黄系統のものに変えました(借家なので壁紙は変えられないので・・・)
アメリカの産婦人科で、キース・へリングが壁面一杯に絵を描いている病院もあります。ご存知かと思いますが、彼の絵は結構カラフルですよね。病室は色を抑えた方が良いのでしょうが、ちょっとした場所(例えば食堂とか面会室とか)に少し賑やかなものがあっても良いのではないでしょうか?
私が入院していた病院には温室があって、南国の花ばかり植えてあったので、原色に近いものも多かったのですが、単調な病院生活に潤いをあたえてくれましたよ (^_-)
 
[999] Re:病院内って、本当に「白」が良いの? (Tess) 5/17 12:05
こんにちわ。
私は昨年初めて入院を経験しました。都内の大きな病院ですが建物が古くて暗い上に壁が白いので妙に不安な心理状態になってしまい病室を見た瞬間「帰ろう!」と思ってしまいました。(笑)
2週間ちょっとの入院生活でしたが、その病院は生花を置いてはいけない規則があったので、棚、ロッカー、シーツ、椅子などの上にサーモンピンクの敷物やタオルを利用して、穏やかだけど温かく明るい雰囲気を作り、コップやその他の小物を淡いオレンジやイエローでコーディネートしました。それだけで別世界になって、冷たくて暗い病室のイメージから逃れることができました。それを見て周りの人も喜んでくれました。病人自ら自主的になることも大切…という勉強にもなりました。色の力で環境も気持ちも変わるし人間関係にも影響を及ぼすとしたらもっと応用されていいのにと思います。
私の場合は手術も経験したので、ビビットな赤は少量ならいい意味で刺激になりますが(入院生活は退屈なので)特に暗い赤、赤紫、紫、その他濃い色、重たい色、暗い色、濃い寒色系は憂鬱というか見たくない心境でした。
白はバランスだと思います。他の色を引き立てるなど目的性を持った配色ならいいのですが、あまり壁一面真っ白だと緊張感、不安感、また蛍光灯との兼ね合いで目がとても疲れます。またこの病院のように暗い古い建物で壁が薄汚れた白というのは最悪です。恐怖感すら感じてしまいます。最初は夜なんか眠れませんでした。金縛り状態です。
看護婦さんたちは淡いピンクのユニフォームで清潔感もあり親しみやすさ、穏やかさなどの印象で良かったです。
ドクターは白ですがみなさん前ボタンをはずしていらっしゃって私服が見えるような着方をしていました。ドクターに対しては人それぞれ望むものが違うと思いますが、手術をおまかせする場合は親しみより絶対の信頼(技術や決断力)が私の場合大切だったのでシャッキッと見えるスタイルの方がイメージとしては「安心」と思いました。それにしても貴重な体験をしたと思っています。本当に「色に救われた」思いでした。
長くなってしまってごめんなさい。参考までに体験談を書かせて頂きました。