たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

その手をしっかりと握り締めて。〜プリキュアSSの手の握り方〜

うずらちゃんから「SplashStarといえば手のつなぎ方で二人の関係がわかるよね」という話を聞きました。あー、そういえばそうかも?
ちょっと思い出してみます。マンガとアニメで。こっからさきは咲(まゆげの太い方)と舞(髪の毛の長い方)の二人のみの話になります、っていうかその二人の手先の話だけです。フェティッシュとかいわないで。フェティッシュですから。

はじめてマンガで手をつないだときです。つないだっていうか握らざるを得なかったというか。
まだたどたどしいんですよね。当たり前ですが。
んで、ぐーっと仲良くなると、積極的に、特に咲の方から手を差し出します。

前期EDより。
まだ握ろうとするときに、一瞬躊躇するこの手!ぴくっとひくんですよ。まだ微妙な距離感がありつつ、それでも信頼を一気に寄せるこの瞬間。そして咲が、握った後にキュっと持ち上げてリード。
まるで男性が女性をエスコートするかのような手つきじゃないですか。
咲についてはまゆげとかマユゲとか眉毛についてもっと書きたいことがあるんですが、とにかく咲がいかに舞をリードし、舞に支えられて物語の原動力になっていたかが、この手の握り方にあふれていると思います。すごいよね、手の職人的描き方ですヨ。しかも愛おしそうにやさしく、力をこめてるんだもんなあもう。もう!

1巻最後の方になると、どちらからでもなく握り合うようになります。
この作品のテーマは「手を握り締めること」なんじゃないかと思うくらい、とにかく手を握ることでお互いの存在を確かめ合います。そしてその握り方の描写が、アニメもマンガも非常にこのあたりから繊細なんですよね。
「二つの車輪があるから進める、一人がへこむだけで倒れちゃいそう。」(「バイセコー」より。)
どちらからでもなく、ただ二人の手が重なるだけで安心する、そんな空間づくりがされていきます。見ているこっちまでなんだか口元がニヤけるくらいのこの安定感。二人がいるだけで確かにいいのですが、それ以上に「手を握り合う」という行為がいいんですよね。
どっちがどうこう無理やりにひっぱるものではないです。お互いがそっと重ねあえるからいいんです。
さて、もちろんそんな二人でもバランスが崩れることもあります。

「チクタク危機一髪」より。映画版の漫画版。
関係的にはもうすっかり仲良くなっています。このシーンも一見仲良く見えますが、すでに二人の心にすれ違いが生じ始めているシーンです。どっちかが無理強いして手を握るのは、二人のバランスを崩してしまいます。
「MaxHeart雪空のともだち」といい「チクタク危機一髪」といい、マンガ版の二人の微妙な心の揺らぎあいの再現度は神レベルなので必見です。チクタクは映画見てないのでDVDが楽しみー。
この後二人の間に溝ができるのですが、乗り越えたあと、二人の手の握り方は大きく形を変えます。

二人が、お互いの感覚を、お互いの存在をしっかりと確かめたい。そのためにはただ手を握り合うだけじゃだめです。指を指を絡めて、お互いの温度をしっかり感じたい。

通称「恋人握り」。いまどきいわないかしらん。
SplashStarでのこの恋人握りの描き方のこだわりは尋常じゃないです。安心しきってもたれかかることを「身を預ける」というのなら、これは「指を預けきって」いるんですよ。
力をぎゅっとこめすぎるわけでもなく、お互いの体温を指全体で確かめ合うことで、「ここにいるよ!」という安心感と信頼感と、そして未来への希望を、何の迷いもなく感じているんですよ!・・・!
はぁはぁ。興奮しすぎです。自分はそう感じているだけですが。
この二人の、指をしっかり感じる握り締め方は、前期EDの後半で、スタッフの愛をこめてきっちりと描かれています。

恋人握りしたあとに、きゅっと手のひらを握り合う。このワンテンポおいた動きだけで二人の心情がものすごい感じられます。握ったあとに二人の間の距離もぐぐっと近寄るわけです。そこにこそ「お互いの存在を感じ、ともに寄りそう」二人の生き方を感じます。
このへんのイラストを「百合佳話」さんが天才的な描き方をしてるのでリンクしておきます。
「ふたりはプリキュアSplash Star」エンディング映像を考える(百合佳話)
YES!プリキュア2!
相当寄り添ってますよね。
初代プリキュアのなぎさ・ほのかもかなり寄り添い共に歩いていますが、咲・舞はそれをさらにストレートにぶつけてくれるから見ていてほっとするんですよね。(なぎほのは、そこに色々な感情が複雑に入り組むからさらに百合っぽさが増すのですが。)
もちろん、咲・舞がここまで手を重ねあえるのは、それなりに多くの流れをへているから。どっちかに寄りかかるわけではなく、お互いが寄り添えるそんな手の握り方へ。


ラストシーン、不安な咲に舞から手を差し出したのはちょっとキュンときました。物語を引っ張るのが比較的咲だったのですが、そこに舞がいるからこそ、という「プリキュア」の関係を超えた信頼感が、差し出された手にあふれています。

この作品が「百合」か「友情」かは受け取る各人の判断でかまわないと思うのですが、二人の心情を表しているという意味で自分は「百合」だと思ってます。それを丁寧に手で表現していることこそにそれを感じてます。手の描き方って本当にそのキャラの感情があらわれますネ。
何物にも変えがたい手が、そこにあるから、握り締めあう。それでいいじゃナイ。

ふたりはプリキュアスプラッシュスター(1) (KCデラックス) 映画ふたりはプリキュア スプラッシュスター チクタク危機一髪!