たまごまごごはん

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開かれる「高校生らしさ」。マリア様がみてるOVA「略してOK大作戦(仮)」

ごきげんようたまごまごです。
出ましたよ!マリみてOVA第二弾。
実は「OK大作戦」、自分は1、2回くらいしか読んでないんですよね。小説。いや、決して面白くないわけではないんですが、花寺のメンツのイメージがピンとこなかったのと、「女の子がメインの小説なのに男だらけでもなあ」というなんともオチリの青いことを考えていたからです。だから正直OVAも「これをあえて選ぶのか!」的なことを考えていました。なんという不届きものなのでしょう。
しかしそんな不安はどこへやら。OVAは前作にも巻けず劣らずボリューム満点でした。ちゃんと「マリみてファン」の、そして「百合ファン」のツボをおさえているのですよ。
男だらけのくせに「百合のツボ」?いやいや、それが、一つの新しいコマを「パチン」と進めたような、よさがにじんでいるから今回のOVA、価値があります。
さて、まず今回のOVAの見所は、「祐巳の表情」。
 

●the・百面相●

聖さまに「百面相」と愛された祐巳。今までも百面相でしたか今回の百面相っぷりはハンパなもんじゃありません。なんでこの子はこんなに驚いているの?!そのかわいい顔にチューしてやる!という感じですよ。

ぎょぎょーん。髪の毛も跳ねる。

いやんいやん

ふぇぇぇ

うはあああ

ひぇぇっ

うっへぇえ

んっ…
まだまだこんなものじゃ済みません。ぶっちゃけ祐巳の顔だけ見てればストーリーが分かるくらいです。
これだけ見てると「振り回されてるだけじゃん!」みたいな感じがしますが、彼女自身もやるときゃやるんだゼ!と言うのを見せようとします。

たくらみ、空回り。
祐巳ちゃんが全員を驚かせるだけのたくらみなんて、この時点ではまだできんのですヨ。まあなんだ、みんなに相変わらず振り回されます。そして今はその振り回されっぷりを見て微笑めばいいと思いました。これでこそ祐巳
そんな表情コロコロかわる祐巳を、動じずに見つめる(楽しむ?)祥子さまがまたよいのですよ。

以前の別荘で「ゆるぎない関係」を確信した祥子さま。祐巳がくるくる表情を変えても、いらだつことなく全て受け入れます。そしてこんなポーズまで。これで落ちない祐巳なんていません。断言できます。なぜなら自分も落ちたからです。もう、最近のプチ小悪魔なさっちゃんったらもう!
 

祐麒と花寺のメンツに萌えろ●


今回のもう一つの見所は花寺メンツ。
…ん?なんか、なにかいますよ。
目を凝らしてよく見てみよう。

んんんんん!?

なんだこのかわいらしいいきものは!
いやあ…花寺ってすごいですね(鼻血
予告に出ていたアリスくんは制服だったのでまだなんとなーく理解はできたのですが、この私服に至ってはどうみても裸エプロンじゃないですか。フリルひらひらだし。こんな格好をしたら、花寺のみんなに剥かれるよ!でも柏木さんの好みのタイプではなさそう。どうでもいいですが。
アリス君についてはトランスジェンダー(と言ってもなんかちょっと違う感じ?)など、もっと大事なエピソードが後半あるんですが、正直このシーンで脳味噌真っ白になってしまいました。もう花寺だけでOVA作ったら買うと思いました。もちろん全員私服で。
アリスだけが萌えポイントではありません。今回の大穴は祐麒の私服。

親友小林君のかわいらしさや、祐巳のはだしなど、おいしすぎる部屋のシーンなんですが、見てくださいよこの祐麒の「お前ヤンチャ攻めだろう」と言わんばかりの格好。キャシャすぎる身体にランニングと短パン。もうこの格好だけでかなりのボリュームの妄想ができると思いました。祐巳祐麒でも祐麒x小林でもありじゃないですか。3人座ってるだけなのにこの色んなモヤモヤを起こさせる濃度。すごいよ祐麒。君はやれば出来る子なんだ。

そして今回は彼もコロコロ表情を変えます。かわいい。
一応他のメンツも一発で覚えるほど強烈な個性を放っています。

これだけ見て「マリみて」だとは誰も思うまい。
日光月光はヅラです(と信じてます)。
 

●閉ざされた少女空間から、開かれた「高校生」の世界へ●

さて、原作の「OK大作戦(仮)」に関しては「マリみてに男はいらないだろう」という意見や、「山百合会のイメージにムリに外部から分け入らなくてもなあ」なんて声を聞いたことがありました。自分もぼんやりそんなことを考えていた時期もあります。唐突に男がいっぱい出てきましたしね。いてもいいけど「どうでもいいなあ」みたいに感じていました。
しかし、今回のOVAはそのへんのうがった百合ファン心理もしっかりさらっているんですよね。やりやがったな!と思いました。
ちょっと今回のOVAから、「百合の閉鎖性」と「逃避しない少女の世界」について書いてみようと思います。
今まで、男性といえば先生と柏木さんくらいしか出てこなくて、しかも柏木さんも祥子の許婚で祐巳の味方でちょっと変なヤツ、というキャラだったため、あまり「百合世界に男性がいる」という違和感と持たせるほどではありませんでした。男キャラってより「柏木先輩」という別物のような感じ。
しかし、今回のOVAの視線は、花寺メンツという新風が入るだけではなく、祐巳から見た「リリアン女学院ではない世界」をきっちり描いているのが面白いのです。

ごくごく当たり前の通学風景。しかしこれって「マリみて」という「女性だらけの作品」の絵としては、最初すごい違和感を覚えるんですよね。
乃梨子が入学当初に感じたように、「リリアン」のルール(姉妹制、薔薇さまという呼び名、生徒会=山百合会)は「リリアン」以外では通用しません。今回のOVAでも、小林君(メガネ)が「ロサ…なんとかは覚えるのが難しそうだなあ」と率直に言ってくれて「そ、そうなんだよなあ」と目から鱗でした。いや、鱗ってほどじゃないんですよね。1巻を読むまでは「特殊だなあ」と誰もが感じつつ読んでいたわけですし。なのにここに至るまでの過程で「ごきげんよう」が挨拶の基本になり、「ロサキネンシスアンブゥトンプティスール」なんて言うのも丸暗記してしまったわけです。マリみてファンのみなさんはきっと全部、言えますよネ?
しかし、ここまで引っ張ってきて「それは、当たり前ではない」と、花寺メンツの登場と、通学風景が物語り、強烈なボディブローをかましてくれます。
町の風景の中では、祐巳は「ロサキネンシスアンブゥトン」でもなければ、手の届かない山百合会のメンツ、でもありません。ただの女子高生です。「Suita」だって使います。

真ん中の女子高生に注目。手前の祐巳の制服に比べると、すっきりと背景に馴染んでいます。
どっちの制服が「一般的か」と言っても仕方ないのですが、スカート丈などを見ても「リリアン」のお嬢様っぷりがはっきりとわかります。祐巳の今まで過ごしていた場所が「リリアン」という空間に他ならないのだ、と改めて気づかされます。
このなんとも言えない違和感は、祐巳の持つ不安や、祥子の男嫌いにリンクする気がするんですよ。
 
祥子の男嫌いは色々理由があるわけですが、少なくとも街中でどうこうなるレベルではありません。
しかし校門に男性が押し寄せてくると「ぎょっ」として気を失うレベルです。
ここがある意味、「リリアン」という特殊空間と現実の壁だったのかな?と思いました。イコール、自分の閉じた「マリみてワールド」感と、オープンに開いた「高校生としての祐巳たち」の境目。
とはいっても、「リリアンワールド」をOVAが、変に「崩しすぎ」ることもしませんでした。一つはアリスの存在もあるのですが、祥子様と祐巳の関係がしっかりと描くのを忘れていないからです。

ラブラブすぎ。
 
全くリリアンではない「アウェイ」に行くこと、リリアンの「ホーム」に男性が入ってくること。登場人物を冷静にさせ、見ている側の心にも働きかけてきます。しかし「それでも大切にしたい関係」がしっかり描かれているから、彼女達の絆が「リリアンルール」だけのものではなく、キャラの中身に根ざしたものなのだと強く感じさせられるのですヨ。
比較、って言い方したら花寺メンツには悪いですが、比べる「高校生基準」があるから、彼女達の関係が別角度から見ることが出来る。双子の祐麒が、祐巳の輪郭を浮き彫りにしていく。そんなアニメでした。とにかくテンポがいいので気楽に楽しめるのもミソ。

今後「細川可南子」という、「人間性を見るのか、その人の偶像を見るのか」を問いかけるキャラが登場してくるわけですが、その前段階として、見ている自分を「リリアン基準」にせずに「人間本来の関係」に引き戻そうとした、そういう価値のある回だったとおもうのです。
  
今回のベストオブドリル。

いい目ですのう。
 
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