たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「教艦ASTRO」から、4コマでこそ表現しうるドキドキ感を考える。

●表紙だけでご飯108杯はいけます●

教艦ASTRO 1 (まんがタイムKRコミックス)

教艦ASTRO 1 (まんがタイムKRコミックス)

スパッツ。それは女性の健康的ムチムチ感を演出する最高のアイテム。
とにかく異彩を放つ表紙の教艦ASTRO。ぶっちゃけこの表紙を見て2秒で買った人は多いのではないでしょうかっていうか自分ですそれは。いや、同志は多いはず。
だってねえ。こんなにスパッツから腰のラインと、太もものむっちり具合が見事な表紙、なかなかないですヨ。突っ込みどころは多い表紙で、こんなご意見も。

たろー 『違うんです、
教艦ASTROはスパッツではなくワキにセクシーを感じる漫画です!
そう力説してみます。
いやスパッツも好きですけどね。
でも眼鏡で白衣のお姉さんはもっと好きです。
そして和服のお姉さんはもっともっと好きです(<嗜好だだもれ)
コメント欄より)

ナイス攻めどころ!そうなんですよね、わざわざウィンドブレーカーの下、キャミソール型なんですよ。それはノーブラであることの強調でもあります。胸のラインが、決して卑猥ではない、けれど妙に生々しいナチュラルな、重力に従うライン。ほんと生々しい。
この辺で「つまりそうなんだな!」と思って買った方は正解だと思います。逆に「教育関係のネタが多いマンガなんだな」と思ったら外れです。
学校が舞台のくせに、職員室の出来事しか描いていないので、生徒が出てくる余地は皆無です。そして、教師的には間違ったことしか全員していません。教師マンガというよりは、「女教師のイメージのいいとこどりマンガ」です。そこあが、好きな人にはたまらないわけですよ。
「んじゃつまり『萌え系』なんですね」と言われると、それもちょっと違う!と言いたくなるのです。このマンガ、ぱらぱらっとめくると確かに萌え系で、しかも絵的にはそこまでぱっとしない感じなんですが、よく読むとごくマレに裏に流れている感情の描き方がエロすぎます。とんでもない伏兵でした。馬で走ってたら下から槍で突かれたようでした。
 

●4コママンガの中にエロいコマを入れるテクニカルさ。●

ちょっとここで、4コママンガでこそ描けるエロさを考えて見ます。まじめに。
 
先ほどワキの話が出ていましたが、確かにそこまで多発はしませんが、探せば探すほどジワジワとナイスワキが楽しめるマンガでもあります。

4コママンガのコマはとにかく小さいです。だからぱっと見だけでいうと、普通のマンガの大ゴマで「どーん!エチィー!」というパワーにはなかなかかないません。ストーリーもそうなんですが、4コマはそのへん敷居高いですよね。とにかくぱっと見てわからない。見落としてしまいがち。

よく見るとワキが、見られることを意識して描きこまれています。イイ!
このコマのように、4コマの小さい長方形だからこそ「フェティッシュさ」を力強く描けることは見落とせないポイントだと思います。
たとえば有名どころだと「あずまんが大王」。あの小さなコマの中で、妙に体が柔らかくてムチムチのよみちゃんにドキドキしたのは自分だけでしょうか。あずまきよひこ先生天才。
 
4コママンガは、一歩はなれたところから流して読めるジャンルではないです。必ず目線は1コマずつ、上から下に向かいます。外から斜め読みするとオチコマが見えちゃうので、ぜんぜん面白くなくなりますしね。あくまでも作者のペースにあわせて、1コマずつ上から下へ。
となると、目に入るのは「そのコマだけ」なんですよ。
つまり、狭い長方形が、見開きと同じだけの効果を読者に与えうる、ということです。
とはいえ、大きさは小さいままです。だからぎっちりとは描きずらいのは確かです。ときどき超絶技巧でぎっちり描かれる方もいらっしゃいますけどネ。すごいものです。
効果的に4コマでドキドキ感を出すには、全身を描く必要はないです。むしろその空間サイズを生かして「表情のみ」「パーツのみ」に絞り込んで描くことで、フェティッシュさあふれる、4コマならではの色気が生まれます。それも、やけくそに並べても見ずらいだけなので、あくまでもエッセンス程度に加えるくらいがちょうどいい。
となるとー…完成するとやはり「ぱっと見るだけだとそうでもない」マンガになります。そう思ってヒトコマずつ追っていったときに出会う破壊力ときたら…!これだから4コマはやめられません。
このマンガのフェティッシュなコマの濃度は半端じゃないので、自分好みの表情なりパーツなりを探してみることをオススメします。
 
みこすり半劇場」なんかに描かれるエロ狙い4コマでも、本当にうまい作家さんはその加減が分かってらっしゃいますね。「だって女だもんっ!」とかすごい好きで、確かにぱっと見もエロいんですが、コマを追っていくとその詰め込み方のうまさに感嘆しつつドキドキします。
 

●4コマの隠喩的なセリフの妙。●

4コママンガで色気やフェティッシュさを描くのに欠かせないのは、やはりちょっとしたセリフ。
それももちろん小さなコマなので、あまり長い文章は書き込めません。かと言って、でかくエロいセリフを書くわけにもいかないし、ストーリーの流れをながーく続けてじわじわエロさを出すことも難しいです。コマは4つですし。
となると、直接的なドキドキよりも、「ひょっとしてこれはこうではないか」と妄想させる寸止め感がポイントになってきます。
この「教艦ASTRO」、直接的なエロい表現はほとんどないです。しかし、隠喩的な表現がポロッと各キャラに出てくるもんだから、そんなにエッチなシーンじゃなくても、ものすごい妄想の連鎖を生むんですヨ。
特にすさまじいのが養護教諭の荒井準名先生。ネタバレになるのでそのへんは読んでください。表紙の牧先生目当てで買ったのですが、荒井先生の隠喩エロスに負けました。
すべては出さない、ちょっとだけ出す。しかも全体のネタがそっちよりではなく、たまーに出てくる。その「ちょっと感」が4コマならではの、ドキドキ感を生みます。
 

●エロ抜きでも面白いのが、大原則●

一応誤解のないように書いておくと、このマンガ、そういうエロっぽいポイントばかりなわけではありません。あくまでも「ほんのちょっと」です。
大多数をしめる「オバカな女教師の生活」の描き方がとても個性に満ちていて、面白いのですよ。一本一本にとても分かりやすくキャラの魅力が詰め込まれているから、どのキャラもすぐ好きになれます。あ、そういう意味では「萌え」なのかなあ。
そんな中にほんのちょびっと、エロい妄想かきたてる要素満載のシーンが一滴入るから、「このキャラは、もしかして!」と他の部分でも期待が膨らむわけです。
 
あざとくエロを狙うだけでは「ドキドキした!」はなかなか4コマでは味わいずらいものですが、キャラの描き方や4コマの面白さとしてのベースがしっかりしているからこそ、カレーのスパイスのように魅力を最大限に引き出す「エロさ」「ドキドキ感」を起こすのではないかと思います。
4コマは確かに手のつけずらいジャンルではありますが、そういう「4コマならでは」の萌え方があるからこそ、見逃せないなあと思うのでした。
 

やっぱり…牧先生はかわいいです…。
百合的にいろいろ書きたいとこですが、長くなりそうなのでここまで。
 
〜関連リンク〜
教師のみの異色学園4コマ - 教艦ASTRO(1)(真・業魔殿書庫)