「ヤンデレ」を楽しむためのいろいろな視点。
●ヤンデレまっしぐら●
「未来日記 3 (角川コミックス・エース 129-7)(AA)が発売されましたよ!
書きたいことはたくさんあるのですが、今は興奮していてネタバレ話してしまいそうなので保留。とりあえず由乃がかわいいと思い始めてきた自分が怖いです。いやね、由乃の身体の描き方ってエロいんですよ。特にふくらはぎ。
まあそんなことはおいておくとして。「未来日記」は昨年、「ヤンデレ」を好むファン層を一気に膨らませた気がします。今年はますます脂がのって、さらに多くのヤンデレ好きを増やす予感がします。もうこの題名を聞いて、某恋愛ドキュメンタリーっぽいのを思い出す人は少ない気がします。あ、オタク層だけか。
一応念のため書いておくと、「未来日記」の中にヤンデレなんて言葉は出てきません。あくまでも「これはヤンデレだよなあ」と思い込んでいる自分がそう言っているだけです。
そして、以前も書いたように、ヤンデレに定義なんて存在しません。しても仕方ありません。あくまでも、作品を楽しむ視点の一つ程度におさえておくべきでしょう。「殺人鬼!」とか「苦悩する青年」とかそういうノリですネ。
ヤンデレとは(はてな)
●作品世界におけるヤンデレの立ち位置●
ちょっと物語の性質上、こんなヤンデレがいるかな、と考えてみました。分類ばっかりしているのは自分にとってこれが一番分かりやすいからです。すいません。
1は作品としては非常に多いでしょうね。そもそも嫉妬するとか恋愛で悩むとかっていう事態が、人間の心を正常にとどめておきずらい部分ですので、ちょっとしたはずみにズれて苦しみ悩むのは簡単に起こりうることだと思います。そこで行動や思考が大きく跳びぬけると、作品のエッセンスとして共感したり、驚きに変わったりするのかもしれません。「SCHOOL DAYS」や「SHUFFLE!」なんかはこれでしょうか。ミステリー小説だとものっそい多そう。
2は「来る!迫ってくる!」という恐怖感や暴力性を伴ったもの。一番わかりやすいのは「ミザリー」とか。別にね、敵じゃないんですよ。相手キャラを愛してやまない、その思いだけが視点を尖らせているんですが、相手にしてみたらメキメキ迫ってくるのが恐怖でたまらない。サイコホラーやストーカーの物語に多いかもしれません。あと、実は「未来日記」の由乃はモンスター的な気がします。
「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」より。このへんの描写も「迫り来る!」という圭一の精神寄りな感じが強めです。
3は、まったくこの世界とズれた価値観で行動している不思議ちゃん型。極端な例ですが、「絶望先生」の木津千里とか。世界観がズレていればズレているほど魅力です。「すげこまくん」のように、それを異端とわかっている1との合体型は、さらに目を引くかもしれません。「雫」の瑠璃子さんもこれかしら。
4は敵のイメージ。「こうだから、自分が正しい」という信念で動いてしまい、決して揺るがないタイプ。後にも出てきますが「からくりサーカス」のフェイスレスとかはこれでしょうね。敵という時点で主役との基本理念が違うので、一見ヤンでいるように見えるのも当たり前?デレを探すとなかなか難しいですが。また逆に、主人公や読者をも「もしかしたらそうかも…?」と思わせてしまうほどの自分哲学があると、物語の面白さはぐっと増します。
他にもありそうですが、このへんを足したり引いたりするとそのヤンデレキャラに対してさまざまな角度で見るヒントになるかなあ、と自分なりに考えてました。
たとえば「舞-HiME」の藤乃静留なんかは、1として悲劇の人物として感情移入するもよし、2として迫ってくる驚異的な力におののくのもよし。とか。
はて、ヤンデレを好きになるわけを考えてみる。のコメント欄でいただいた意見や、さまざまなサイトであがっていた「ヤンデレについて」の話がとても面白かったので、今回紹介させていただきます。
●あなたの好きなヤンデレキャラはなんですか。●
HA-N
『好きなヤンデレキャラ、実はいないかも…と思ったら、「好きだった!琥珀さん(過去形)! 」でした。FDでの位置付けでどうでもよくなったので、本編での全てを告白したところなどが琴線だったのかもしれません。』
過去形でしたかw月姫の琥珀さんを「ヤンデレ」として好きな方は今でもかなり多いようですね。自分はどうしてもメルブラのチャイナのイメージが強くて仕方ないです。もちろんそれも好きデス。
葛葉
『好きなヤンデレキャラ…フルーツバスケットのアキトは見事なヤンデレだったなと。自分と周りの世界が崩壊することに耐えられなくなって歪み(ヤン部分)、主人公によって癒された時にデレ部分発動!て感じでしたね。』
フルバ終わりましたねー。ちゃんと全部通して読んだことないのですが、こうして聞いていると「苦悩型ヤンデレ」のようですね。追い詰められ、耐え切れずいろいろな部分に歪みが生じるのを作品として読むのは、非常に読者として刺激の大きいところです。
そらあるき
『好きな、とは違いますが忘れられないのが「ダブルキャスト」(やるドラ)です。記憶喪失の少女と出会い、映画の主演女優に抜擢、孤島で一緒に合宿し、いわく付きの脚本の謎を解き、出来た映画を見ながら後ろから頭を割られる。』
なに、あれはそんなゲームなんですか!その少女との間に何があったの!?いわくつきの脚本というのもそそられるキーワードです。その少女がどう描かれているのか気になります。
天空星
『僕はちょっと今の作品から外れて、昔話で伝えられている安珍清姫伝説の清姫や、雨月物語の牡丹灯篭のお露ですね。安珍に対する思いが強くなるあまり、蛇となって安珍を殺したり、死んでも幽霊となってよみがえり、毎夜毎夜想い人の元へ現れるというのは、まさしくヤンデレでしょう。ヤンデレって昔からあったんだなとしみじみ思いました。』
関連・日本最古のヤンデレ(徒然なる読書の日々出張版)
嫉妬に狂う女性の姿は日本では昔からありますよね。清姫に至っては美しさすら感じます。別の機会に書きたいなあと思うのですが、ヤンデレの姿って、時として男性から見た「男の中身を持った女性像」なのかな、と思ったりしました。伝説に出てくるのはその要素強めですね。
daibu2
『以前書き込んだ後に自分の好きなヤンデレキャラをよーく考えてみたらとっておきのがもう一人いました。フェイスレス司令。
白金・ディーンとしてのフランシーヌ・アンジェリーナへの行動はまだ罪悪感や純愛の感じがありますが、幼年からのエレオノールに眼をつけてからのフェイスレス司令としての恋愛成就の為の人類滅亡を含めた45年越しの計画は常軌を逸しています。
ただ彼の場合はエレオノールとの恋愛成就が最大目標なのではなく恋愛を達成することで人生に勝利した自らに陶酔したいが為の行動のように思えましたから、前回の狂気漫画座談会でKTさんの書かれていた自己愛が正に当てはまりそうですね。』
世界規模にヤンデレな、からくりサーカスのフェイスレス。白金時代もその偏愛の苦しみっぷりが好きですが、フェイスレスになってからの突拍子のなさはインパクトありましたね。もう「敵キャラクター」としてはっきり描かれたタイプだなあと思います。手段と目的がひっくり返るタイプは結構いそうですが、悪役として、嫉妬がらみで世界を滅ぼすとは迷惑千万。いい敵っぷりでした。
ぬるポイント
『しかしここでも『雫』は出ないのか。時代も変わったなぁwヒント:電波』
「雫」の瑠璃子さんと太田さんは衝撃でしたネ。オーケン信者としてはやるしかあるまい(?)と思い、初めてクリアしたエロゲーだったりします。しかしなぜかさおりん派でした。さおりんかわいいよさおりん。
筋肉少女帯の歌にも数多くヤンデレが出てきますね。「いくじなし」の兄さんとか。探せばぼろぼろ出てきそうです。そしてそれに多く影響を受けている作品が、今でも多いはず。ヤンデレをはじめとする萌え・サブカルチャー好きで、オーケンの洗礼を受けた人はかなり多いのではないでしょうかオーケン大好き。
静かな猟奇世界
「ヤンデレ好きなわけですか?ん〜、私の場合は多分ブギーポップは笑わないの早乙女君の影響だと思う」
「早乙女って男じゃん」
「でも、彼は炎の魔女やマンティコアに惚れて、最後は人食いの人外を庇って消し飛んだ。 んで、まぁ、彼に感じる親近感というかそういうものがヤンデレ萌えの根本かも」
最近は男女関係なくなった、というかむしろ、男性ヤンデレはものすごく多いかもしれません。キャラクターの持つヤンデレって、言い換えるとものすごく純粋な感情でもあるんですよね。先ほどの苦悩型なんかもそうですが、キャラへの「共感」を持ってその作品を見るとさらに深く楽しめるでしょうネ。
●「デレ」を忘れちゃいけません●
furan
『私は『4.病むほどに相手のことを想う恋の狂おしさにゾクゾクして恍惚となる』ですね。「CROSS†CHANNEL」の冬子と目明し(ひぐらしのなく頃に)の詩音とかそういった意味では最高ですよ。』
自分は「ヤン:デレ」のヤン比率にばかりに目が行ってしまっていたので、「デレが大事」と言うことを半分忘れかけていました。そうですよね、マッドなだけじゃあだめです。
相手のことを恋い慕い、好きで好きでたまらなくなり、その相手に最大限の力を振り絞って愛をささげる!
超客観視点で描くと狂気的に見えるシーンになりますが、うまく感情を連ねて描かれと、非常に共感を持てるようになりますし、またその純愛に心打たれます。
そのような描写がうまい人は、『隠れヤンデレ』を織り込んだりしますよね。一見普通の恋愛なんだけど、冷静に考えると「あれ?」という感じ。
ヤンデレ、というのは「純粋さ」の一部だったりしますよネ。狂気キャラの多くはその純粋さをどこかしら持っていると思います。それが恋愛につながると拍車がかかる、と言うのは分かる気がします。
そういえば「黒化」なんて言葉もありましたね。今までノーマルだったキャラが、話の展開で急に言動がおかしくなったり、攻撃的になったり、腹黒くなったりするコト。単に裏表があることをさす場合もありますが。恋に落ちると周りが見えなくなって、黒化しやすいのも納得。
カトゆー家断絶
思いを胸に秘める、というか溜め込むタイプはヤン化しやすいかも…。
日々の戯言
これは私の個人的な意見ですが、ヤンデレ属性を持つ女の子って、基本従順な女の子で、あることをきっかけに暴走することが多い。で、ヤンデレになる過程がしっかり描かれていることが多い。そういう面で、ヒロインに感情してしまうのではないかと思います。
先ほどの「黒化」は割とおとなしい子に使われる場合が多い気がしていたのですが、つまりこういうことなんでしょうね。溜め込み、爆発する過程を描きこまれていると、作品の楽しさが増します。
●ヤンデレとアイテム●
うー
『アニメでブレイクした空鍋の楓とか、あんな風になってるのにさらに追いつめてる無神経主人公も必須要因なのかなあ。
なんにせよヤンデレは特徴的な武器を持ってるよね。空鍋、カッター、鋸、斧、鉈、マシンガン(ユーフェミア?)、糸電話(違』
Alvaro
『ヤンデレというと未来日記の由乃がパッと思い浮かびますが、俺も上のコメントのうーさんと同意見で、何か武器とか持ってる姿が連想されます。ヤンデレの病んだ部分は暴力的な描写で見せてるのが多い印象です。』
この意見ものすごく同感なんですよ。
今までの狂気系キャラと違って「ヤンデレ」が楽しみの一つになった理由に、なんらかの特徴的アイテムがあったからなんですよね。うーさんがおっしゃられているのはまさに。空鍋は「SHUFFLE!」、糸電話は「Gift」、のこぎりは「SCHOOL DAYS」。ナタはというと「ひぐらし」のレナですよネ。これがきっかけで「ナタ女萌え」なんていう人もたくさんでました。前者2つはともかくとして、「凶器」を持った「狂気」の人、と言うのは非常に絵になります。
特に血との相性が抜群の「ヤンデレ」。となるとなんらかの武器を持って返り血、なんてシチュエーションが非常に絵になるのも当然です。
ヤンデレを求める心理(なつみかん。)
しかし可憐な少女がノコギリや鉈を振り回したりすればインパクトは絶大です。そのギャップゆえに、ハマる人には非常に魅力的なキャラに見えるはず。
ヤンデレの「少女性」に焦点を当ててくわしく書いているエントリ。まとめの部分が面白いので必見。
少女と武器に関してはじっくり考えてみたい永遠のテーマです。
●ヤンデレを楽しむ上で、忘れちゃいけないコト。●
Shamrock’s Cafe
狙いすぎた萌えキャラ(ぶりっこキャラ)は好きになれない(=好きになる自分が嫌)のでそのカウンターとして。あと「純愛モノなんてぶっ壊してやるぜヒャッホウ!」な感じかなw
自分もこれあるんですよね。以前も書いたように、悲壮感と爽快感を求めてしまうので。
んで、その感覚が「最高!」…というべきものじゃないのもわかってはいます。
なんだかんだで、決して「メインカルチャー」に育つとは思わないですよネ。確かにこうやってくたくた語ること事態がドキドキ、というのもあいまって興味深いジャンルではあります。それは作品の読み方の楽しみの一つではありますが、ともするとすべての作品が意図的ではない「ヤンデレ」な読み方にも取れてしまうという諸刃の剣な部分もあるんですよね。
またヤンデレは苦手な人が非常に多いので、声高にオススメもしずらいデス。そのへんの自覚は、忘れちゃいけませんよね。
しかし、それでも魅力の多いヤンデレ。こっそりこっそりと楽しみましょう。その上で、一緒に楽しめる仲間がもくもくと増えていくような気がする2007年なのでした。
〜関連記事〜
ヤンデレを好きになるわけを考えてみる。
狂ったキャラと歪んだ世界はお好き?「狂気・ヤンデレマンガ会議」第一部
この狂気キャラが熱い!「狂気・ヤンデレマンガ会議」第二部
〜関連リンク〜
ヤンデレを使うわけを考えてみる(遥か彼方の彼方から)
もし描く側だったら…というお話。外連味のスパイスとして使う作品も確かにありそうですね。
妄想ボイスCD ありえない告白
すいません、ヤンデレ脳で読んでたらたまにヒットするのがあったのでつい。