たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

5人それぞれの心の闇へ。「プリキュア5第23話」

もーーーひたすら緊迫した回だったのですが、唯一和ませてくれたのはブンビーさんでした。

ブーー。
もう見ていて心が折れそうだったところを救ってくれました。ブンビーさん、タイミングよすぎです貴方という人は。大好きです。
 
そんな回でした。
今までの回がウソかのように緊迫した展開で、しかもアイキャッチに入るところとED前の後味の悪さときたら。大きなお友だちがものすごく精神的にギリギリと追い詰められる回でした。それだけ、描き方が秀逸でたまりません。特に音楽!仲たがいしたかれんとこまちが歩く時のカネの音とかめっちゃ不安定すぎ。こんなに不安にさせる曲を使うなんて、すごいよプリキュア5。
全体的にはカワリーノさんという幹部のエライ人が、精神攻撃を仕掛けるという回なのですが、それ以前のすれ違いっぷりもかなりキツいです。
 
のぞみに甘くするのは優柔不断というかれん(青)と、ケンカを望まないところを指摘されショックを受けるこまち(緑)
 
のぞみには厳しく言わないとだめだというりん(赤)と、きびしすぎる言い方はないんじゃないかといううらら(黄色)
 
これもちろん子供が見ても不安になる要素満点ですが、かえって大人が見るからギチギチときつくなるんだろうなあと思いました。それは、5人のそれぞれが、今まで描かれてきた中で「救われた」かのように思われていた部分が露呈したからです。自分の過去に照らし合わせて落ち着かない気分になりました。個人的にはこまちが。
ちょっと今回は、5人それぞれの「今抱えている問題」を、過去の回と照らし合わせながら書いてみようと思います。
 

●生徒会長かれんの憂鬱●


参考・お金で買えるの?その価値は。「プリキュア5第14話」
かれんは、以前は鋼鉄の女でした。私がやらなければ。合理的で、びしびし進めるためある意味りりしく見えるのですが、逆を返せば非常に淡々としていて、誰も近寄ることが出来ない人でした。
最初はそれでもいいと思っていました。こまちも付いてきてくれるし、他の人がついてこなくても私が頑張ればなんとかなるし。
しかしふとした時に「自分が一人」だと言うことに気づきます。本気でがんばっているのに、誰もわかってくれない。でもそれでいい。私はずっと一人で頑張ってきたじゃないか。

14話より。
そんなすさんだ気持ちを救い出したのはのぞみであり、親友のこまちでした。
そう、「手をつないで、一緒にいこう」というプリキュアシリーズのテーマみたいなものをここで明示して、二人の目の前はしっかりと開けたかと思われました。実際開かれました。


しかし、築きつつある友情だからこそ、いざ揺さぶられると不安が心を襲うもの。
もともとかれんは人間付き合いが得意だといえるタイプではない子。「浮いているんじゃないか?」「本当に友だちといえる人はいるの?」
ふとした発言で自己嫌悪に陥り、猛烈な孤独を感じる彼女は、実は5人の中で一番孤独に弱い子なのかもしれません。父母とも離れ離れで、一人きりで生きてきた彼女だからこそ。
認めたくない真実。それは、こまちを失い、みんなが仮面をかぶって離れていくこと。
このCM見て「公共広告機構」思い出したのは自分だけではないと思います。…まあ、対象年齢の子供は知らないはずなんですが!
 

●こまちの物語と現実逃避の世界●


参考・自分の視野を仲間内だけで満足してはいないか。「プリキュア5第16話」
正直彼女の陥った状況が一番きっつかったー。
何よりも和を重んじながら、ある意味一番客観的に5人を見ることができ、バランスを保つ者だったこまち。以前は始めての指摘を受けて自信を喪失した彼女も、他の4人の励ましやナッツのきちんとした意見に押され、しっかりと歩き始めたばかりでした。

16話より。
ただ楽しむだけじゃなくて、現実的に、客観的に見て歩まねば、と決意した彼女。
しかし現実はきびしいのですよ。特に友人のささいな一言からショックを受けた時、そこにある現実は一気に恐怖へと。
面白いのは彼女の目の前に現れた幻だけ、架空の世界のものだということ。見ての通り人形なんですよね。そして、実体験じゃないものにたぶらかされるわけです。
こっちは楽しいよ?いやな世界にいなくていいんだよ?
これって完全な現実逃避。

だから彼女のヒトミにうつるものは、彼女を取り囲むものは自分の空想でした。
「ここなら思い通りだよ?」
自分もいつも陥るワナです。そう、空想の世界は楽しい。空想の世界に逃げ込めばつらいことも忘れていいんだ。自分がおかれた状況も、気にせず思い通りにできるんだ。
甘い言葉と現実逃避に陥りやすいツール「物語」。逃げられるなら逃げ込みたい…。
こまちは主役回以外、今まであまり目立たない感じだったのでかなりショックなシーンでした。そういう思いが彼女の中に眠っていたのだなと。
 

●「のぞみ」はりんのお荷物?●


参考・プリキュア5が二話目にしていきなり百合展開でした。
りんとのぞみは、親友。
それは第一話からずーっと、ことあるごとではなく、ちょっとした瞬間ごと全てに緻密に描かれてきた部分でした。ツーカーの中というか、阿吽の呼吸というか、あるいは長年寄り添った夫婦というか。
のぞみもりんちゃんには絶対的な信頼を寄せているのですが、りんちゃん側がちょっとその意識とは違うんですよね。
ひとつは、「のぞみがいるから」という理由で動くくらいに依存度が高いということ。ラブとかどうのこうのではなく、「のぞみは私がいなければ」「のぞみがいるから私はがんばれるんだ」と言って、トラブルメーカーなのぞみについて回ることも多々。実際プリキュアになった理由そのものがそれなのです。

彼女は幼い時に、しっかりと握った手のことを忘れていません。自分がいつも助けていると思ったのぞみが、実は自分を救ってくれていたということに気づいた名シーンです。
先ほども書いたように、「しっかりと手をつないでふたりで」はプリキュアのテーマ。5人とも固い絆で結ばれつつあるけれども、のぞみとりんの関係は特別なのです。

しかし、それをふっと問いかけた時。
「のぞみなんていなければいいのに、そう思ったことない?」
のぞみに振り回される生活は自分にとって実はマイナスなんじゃないか?じゃあ…のぞみがいなくなったら自分はどうなるんだろう??
友情をふと妄信していることに気づいたとき、それがうまくいかなかったら自分が一番すがっていたものを失います。そして、一番親しいからこそ、一番悪いところにも敏感になってしまうのは、夫婦や家族と同じこと。
のぞみはいいところが多いし好きだけれども、その悪いところも受け入れていけるの?子供の時の記憶がゆがんだ時に、なぜ彼女と友人なのか、という当たり前のことががゆらいでしまうのです。
 

●うららにとっての優先順位●


うらら回だけ過去に記事書いてませんが(忘れてた…)第三話で彼女はのぞみと一緒になりました。
彼女はそれまで「友達がいないアイドル学生」というすさまじい設定で、視聴者を驚かせました。しかし、考えてみたら忙しい日々を送り、練習に明け暮れていたらそりゃ友だちを作る余裕なんてありません。
むしろ、自分から避けていました。友達といたらつらくなるだけだから。
しかし、のぞみに出会って彼女は、自分をオープンにすることの大切さと、友だちがいかに自分の支えになるかを知りました。どんどん彼女は自ら「はじけて」行きました。今までは殻にこもっていたんですよね

しかし、友だちが自分の夢である「女優」の妨げになるのではないか?とふと疑問を抱くと、自分の中での天秤がぐらぐらと狂い始めます。
今までは時間をかけてながらゆっくりと、友情も大切な、夢へ向かうファクターであるとポジティブに捕らえていました。実際、初ライブでは大いに救われていました。
参考・まっすぐ進むだけが道じゃない。「プリキュア5第20話」

実際に自分に対して、手を触れているのはうららの幻だけです。
それだけあって、一番生々しくリアルな苦悩でもありました。おそらく、常に感じ続けていたところなのでしょう。だからこそ今回、うららの(現実での)感情の吐露は、誰よりも強烈でした。まあ…りんちゃんの売り言葉ががっつり心に傷をつけているのも事実ですが。あんなん言われたらへこみます。しかし痛いとこ突かれてるだけに…。

社交的なりんちゃんに「あんた他に友だちいないの?」といわれるうらら。涙目。自分も涙目。ここの演技が神がっていておいら泣きそう。
友人を作ってもいいのだろうか?自分は一人ぼっちで頑張らなければいけないのだろうか?
彼女は5人の中でも比較的しっかりした思考と未来の持ち主ではありますが、同時につつけばボロボロと崩れる虚勢もはっているのです。
余談ですが、幼年期のことを思い出しているのは右目、現在のことを思い出しているのは左目なんですね。
 

●のぞみの、信頼していた人から離れる不安●


ケンカの様子を見てパニくるのぞみ。
彼女だけ幻を見せられ、自分の中の深層意識とぶつからないのは、リーダーだからというのもあるのですが、それ以上に彼女が、信じていた友人がいなくなることが心にもっとも傷を負う方法だと読まれていたからじゃないかと思います。
実際彼女は、今までも小さないざこざがあったとき、めっぽう弱いんですよね。「まあまあおちつこう!」とか言ってごまかしつつ、プリキュアに変身していない状態では(←多分ここポイント)しっかりと意見を言ってまとめるのが苦手なシーンが何回かありました。
それは彼女の未熟さもあるのですが、純粋に友人たちを信頼するがゆえの不安や恐怖でもありました。りんちゃんくらいになるとまだしも、他のメンツが感情を高ぶらせるような緊急事態にめっぽう弱いのです。
今回も最初、誰も一緒に昼食を食べに来なかったとき、いらだってはいましたが不安でならなかったのでしょうネえ。
もっとも最初にのぞみが謝ればここまでこじれなかったのですが、彼女が謝れなかったのはこのへんに理由がある気がします。みんなで作ったものを壊した責任に恐怖を感じているからこそ、誰よりもそれを重大に感じているからこそ。
 

●「信頼していたつもり」と「信頼できる仲間になること」と●

正直今回本当にきっつい描写といやらしい音楽が延々と流れているので、このようなトラブルの経験がある大人にはかなりしんどい回だと思いました。自分はしんどかったです。「エヴァみたい」なのとはちょっと違って、プリキュア5人の悩みが、今まで描かれていたものと対比されたリアルなもの。りんちゃんの悩みなんかは、女の子なら一度は通過するのではないでしょうか。うまく彼女らの過去の悩みのエピソードと絡められていて、それら全てが「クリアーした良い思い出」なだけに、その上に乗っかってくるのがしんどい。
もっとも、それが今回の敵、カワリーノさんの思惑なので、うまく乗せられているわけですが、正直この5つの悩みに対して「じゃあ君の答えってある?」と言われたら言葉に窮します。

「友情うんたらで負けない!」と言っちゃうのは楽ですが、それをせずに一度乗っ取られるというのは面白い展開です。
次回は救われると信じたいところですが・・・。
それをあらわすかのような、ココのくれた即席キーホルダー。これちゃんと、ココ・ナッツ・ミルクが入っているのがいいですよネ。
彼女たちは「一体」ではない。あくまでも、それぞれ別の粒。しかしつながることは出来るんじゃないのかな?そう問いかけてくるようです。
そしてそれは、ただ横につながるのではなく、丸く円を描けるのではないかな、と。
彼女たちがどうやって、自分の闇から抜け出すのか、次回が楽しみで今から心配で。あああ、早く日曜日になれー。
 

●ギリンマも頑張るよ!●

今回は見所が多すぎ。なので重箱の隅。
 
その1

ギリンマも頑張るよ!
って言われてもめっちゃ死亡フラグでまくりなんですがどうなの!?ただ、「頑張るよ!」なんて書くあたり、子供にもギリンマファンがいるのか、あるいは大人を意識しているのか。つーか自分思いっきり釣られてるジャン。

人間をやめたギリギリなギリンマ。パワーアップはちょっと気持ち悪かったです。うねうねぼこぼこと、まるでAKIRAの鉄雄のように。しかしなぜこんなにもギリンマはナイトメアに忠誠を誓うのでしょうか。
 
その2

「なんか出たココ!」でおなじみのココさんですが、人間状態だと「なんか出たな!」
めちゃくちゃ新鮮でした。人間状態でも言うんだなあー。
今回はココが死ぬほどかっこよかったです。そうなんだよなー、先生なんだよなー。パルミエでもいい先生だったんだろうなあと感じさせられます。が、やっぱり人間状態だよなあ。
 
その3

ロリこまち初登場!他の4人がいままで全部幼年期がすでに描かれていたので期待してはいましたが、まさかこの回で出てくるとは思わなかった。
自分を主人公に絵本描くとかかわいすぎです。
 
その4

今までのギリンマやアラクネアが「だめだねえ」と言われるのがようわかりました。カワリーノさん超えぐい。でもこのくらいやらないと確かに勝てませんわ。
それにしてもギリンマをゴミのように扱うところといい、会社のコマ扱いな件といい、本当にえぐい。

今後このレベルの敵がばんばん出てくるのか・・・というくらいの暴れっぷり。まあぶっちゃけギリンマの今後やブンビーさんの行く末が気になるわけです。だいじょぶかなあ…。
 
23話へのコメントはこちら。
衝撃だった「プリキュア5第23話」へ寄せて。
 
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