たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「属性別選手権 ヤンデレ級」にみる、ヤンデレの楽しみ方と膨らませ方。

第4回 属性別選手権 "ヤンデレ"級 結果発表〜ヤンデレ属性キャラNo.1を〜(はつゆきオフィシャル「ゆきっこ.com」)
コメント等で参加させていただきました。

そして、ラジオではかーずさんがかなり熱く語っています。
なかなか結果も、納得な順位で面白いことになっているので、興味のある方は是非。
そして、それを踏まえてヤンデレを楽しむ」という視点で色々書いてみようと思います。
 

●「SCHOOL DAYS」とヤンデレの育てあい●

色々な意味で話題になっている「スクイズ」がやはり堂々の1位。
まあ、騒動の話題の方のことを書くより「面白さ」の話したほうがいいので、この作品周辺を巡る視点の興味深さについて書いてみようと思います。
 
まず、「ヤンデレ」という言葉自体、非常に曖昧で定義しずらい言葉です。きっと今後時間がたとうとも、「完全なる定義」は表れないと思います。何故なら、個々がどう感じるかが面白い切り口だと思うから。
なのに。スクイズの言葉はかなりの割合で「ヤンデレ」と思われています。
ここちょっと面白いと思うのですよ。
 
そもそも、スクイズのなかに「ヤンデレ」なんて文字は出てきません。また、別にヤンデレだからこの作品を作った、というわけでもないでしょう*1しかし、比較的この子は多くの人が「ヤンデレってこういう子」と言って例に挙げるんですよね。
ヤンデレ、という言葉を知らない人でも、この作品が面白いなあと思う人は、こんな視点で見ていることが多いんじゃないかと思います。

1、「修羅場のドロドロさ」(ある意味昼ドラのパワーアップ版)
2、「女の子の狂おしいほどの恋愛」(このくらい愛されたい、ぼくなら幸せにできるよ!等)
3、「殺されてもよいと思わせるほどのダメな主人公の演出」(負の情熱は負から生まれる)
4、「ハラハラ感」(来る!行け!というモンスター感)

このへんは個人差あるので「これ」という解答はないですが、作品のこのスリリングさは、とてもうまく「ヤンデレ」の登場する作品の解剖図になっている気がします。
あ、「これを入れたらお手軽ヤンデレ」というわけでは決してありません。
そうではなく、「こういう枠の中で人の心を(正にも負にも)揺さぶる話を作ることが出来る」という見せ方だったと思うのです。
言葉に対して「かわいそうだ」「怖い!」と、誠に対して「誠死ね」という、まさに一言でみんなが気持ちを共有してしまうというのは、すごいですよ。それだけ演出的にわかりやすく、インパクトがあり、心に残ってことです。
もちろん、インパクト勝負するのだけが大事なわけではありませんが、こういう方向で物語を作ることが出来る、という開拓者になったのは間違いなさそうです。
 
この作品が「ヤンデレ」という地をものすごい勢いで開拓し、「ヤンデレ」がスクイズへの注目度と人気を育てた、という相互作用はありそうです。
色々な評価や流れもひっくるめて、この作品のおかげで「こういうのを表現したい!」と思った方も多いのではないかと思います。だからこそ価値がありますよネ。
School Days 第1巻 初回限定版 [DVD]
 

●マンガ・アニメでの、ヤンデレの見せ方。●

ざーっと順位を見ていると、ゲームキャラが非常に多いのが分かると思います。
そして、マンガキャラが圧倒的に少ないのも感じられます。
実はコレは偏っているわけじゃなくて、マンガの「ヤンデレ」って非常に難しいラインだから生じる現象かもしれません。
マンガは話が基本的に一つなので、ヤンデレのキャラは徹頭徹尾ヤンデレでなければいけません。(あるいは黒化)
だから、とても「動きやすいキャラ」ですが、同時に「止まらないキャラ」でもあります。相当細心の注意を払わないと、作品ごともっていかれます
 
例としてはやはり人気の高い未来日記由乃。これも多くの人が「ヤンデレだなあ」という代表選手です。*2
未来日記」自体、展開の突拍子のなさや設定の奇抜さもあわせて、かなり面白い作品なんですが、由乃が好きか嫌いかで評価がとてつもなく分かれるのは間違いないでしょう。ヒロインですしね。
由乃の恋慕の様子がかわいいよ!由乃の行動怖すぎ!由乃のストーカーっぷりワロタ!というのを全部排除してしまったら、決してなりたたない作品です。逆にそこに魅力を感じない人は、このマンガは肌に合わないかもしれませんが、同時に「このマンガが面白いからヤンデレとかも好きになった」なんて人もいるかもしれません。
その思い切ったふるいのかけっぷりもまた、心地よいです。
未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))
 
とはいっても「マンガがヤンデレキャラに左右されてしまう」というのは極論で、むしろかってに改蔵の名取羽美のように、見事なバランスで幅を広げる場合もあります。
マンガジャンルではその調節を今後うまく生かして、独自な表現をしていく魅力的な作品が出てくるといいなあと思っています。
アニメはその点、先ほどの表現で言えば「もってかれた」感じをフルに再現できるので強い!「SHUFFLE!」なんかはまさに、暴力が(比較的)少ないのにヤンデレ、という哀しさと恐ろしさを見事に再現してくれました。
ヤンデレだからできること、というのもあるわけで、この点まだまだマンガ・アニメ・小説ジャンルでは開拓の余地があります。いや、はるか太古の古典から開拓され続け、今なお掘り下げられ続けている「純粋ゆえに生じる激しい感情」のくっきりとした見せ方の一つなんだと思います。
そんな、まだまだ広がる未来性と、今までの歴史から探し出す楽しさも含めて、アニメ・マンガラインは「ヤンデレ」という切り口で存分に楽しみ続けられる気がします。
 

●ゲームとヤンデレの親和性●

さて、ヤンデレの表現という点では、ゲームでの自由度が今の時点ではもっとも適しているのだろうな、と今回のランキングを見て思いました。特に10位以下がその様子を表している気がします。「ヤンデレ大全」でも、やはりゲームジャンルは強い感じがしました。
 
ゲーム(エロもコンシューマも含む)は、別に1キャラの1エンディングにこだわらなくても、遊ぶことが出来ます。たとえば今回ランクインしてないですが、「ガンパレードマーチ」の原さんなんかはその最たる例だと思います。あれはむしろ脱線プレイしないと見られないですものね。
だから別にヤンデレ苦手ならスルーしていくこともできるのがゲームの強さ。そんな食わず嫌いだった人も、ゲームですっかりはまってしまって!…なんて人もかなり多いのでは。
ダブルキャストも名作と名高いですが、最近になるまでそんなに「ヤンデレだ」と言われていなかったのが面白いです。あくまでもエンディングの一つ、というのが逆によかったのでしょう。
もちろん、ファンにしてみたら、「ヤンデレ」という言葉が存在するはるか以前から、そのゾクゾクする魅力に取り付かれていた人も多いわけですが。
やるドラシリーズ ?ダブルキャスト PlayStation the Best
 
ヤンデレスキーの間で評価が高い作品としては、奈須きのこ先生作品や「CROSS†CHANNEL」が挙げられるかもしれません。自分はあまり詳しくないですしネタバレするともったいないのでここでは書きませんが、これらの作品のキャラ達も、ゲームだからこそヤンデレの魅力を最大限に出している、というのは大きいようです。
特にノベルゲームの場合、かなり長時間かけて読む、という行為が必要になってきます。
だから、アニメのような一瞬の衝撃の面では分が悪いかもしれませんが、じわじわと時間をかけて、そしてその時間をキャラ達と共有できるわけです。これは大きい。
ヤンデレ」も「ツンデレ」も、「過程が大事」という人は多いと思います。もちろんそれがすべてというわけではないですが、そういう楽しみ方をしている人にとっては、過程をゆっくり追えるゲームのジャンルは、最適かもしれませんネ。
このへんも、じーっくり時間かけてヤンデレを描くすごいマンガが出たらいいなあ…。
 

●天井のないヤンデレ

まあ、「属性」視点は、ある人にとっては「まとめ、終わり」と取る場合もあります。実際「あ、暴力沙汰になればヤンデレだね」とか「『あ、あなたのためじゃないんだからね』って言わせればいい」という抜け殻状態になってしまうと、確かに「うーん、もったいない」と言うのはあります。あ、それを逆手にとるテクもあります。
しかし、逆にそういう土壌が育つことでさらに自分の求めるキャラクターを作ることができる、という入り口の一つにもなるんじゃないかな、と思います。
「こういうヤンデレって魅力的じゃないか!?」
そんな視点でどんどん幅を広げながら、新しい愛の形を描くもよし。
「オレの求めるヤンデレはこうであってほしいんだ!」
そんな視点で究極のヤンデレ像を追い求め、自分だけの最高の彫像を作るもよし。
 
定義がありそうで、なかなかできないこのジャンル。また哀しい出来事だけじゃなくて、昇華され救われていくのが一つの魅力でもあるこのジャンル。幅はまだまだ広そうです。
だからこそ、今後ますますこれを切り口に、オタク的な楽しみが発展していけばいいな!と願うばかりです。
 
とりあえず投票された皆様、まとめたノトフさん、おつかれさまでした!
ヤンデレの話はみんなでずいずいとやりたいですネエ。名取羽美だけで、話したい事が山ほどあるんですが!
 
ヤンデレ大全 (INFOREST MOOK Animeted Angels MANIA)
 
〜関連記事〜
「ヤンデレ」を楽しむためのいろいろな視点。
 

*1:当のoverflowのぶちぎれっぷりは定評がありますが。

*2:もちろんそうは思わない人も多数います。念のため。