たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

夜の廃校で女の子は殴りあう。「赤×ピンク」

赤×ピンク (ファミ通文庫)
あっというまに読み終わりました、ってくらいツボでした。
そもそも殴りあう女の子がとにかく好きなんだもん。絶対、自分この観客席側に座って女の子の殴り合い見ていると思いますもん。
「廃校の校舎を改築した非合法ファイトクラブという、まるでバキの地下闘技場のような、でもショーマンシップの強さでは「美女で野獣」みたいな設定の中、少女というには年齢がちょっと上の女性たちが殴りあうお話です。廃校で殴りあうって聞いただけでフルスロットルですよ。ダンダンダンダン(地面を踏む音)。
20歳前後の女性たちがメインなんですが、全員中学生の時に芽生えたような、きわめて少女味の強い悩みで悶絶しているのがいいわけですよ。じたばたしながら、夜の廃校でぼかすか拳と脚を振り回します。その中に何を見つけるのか、という哲学的な空気よりも、これは「衝動」と言ったほうがよさそうです。三人のオンナノコを軸に描いているのですが、それがころころと視点入れ替えされるのもまた心地よく、極限状態の女の子になる体験ができます。
 
一番惹かれたのは、その格闘祭りが開始されるときに、少女全員が手錠でつながれて檻に入れられた状態で登場するところ。いかがわしさ炸裂すぎなんですが、そもそもいかがわしくないところなんてないくらいの方がこういうのは盛り上がるのもまたしかりだもの。
ああー、こんな世界にいたら、絶対お金払って観客になって、お金払って女の子そばに呼んで、お金払って帰るんだろうなあ自分。そして朝になって我に返って「ああ、ぼくはなんということを」とかへこむんだ。でもそのうちすぐ慣れてまた、まゆの無気力ファイターっぷりに心酔するんだ。実際に獄につながれているのはどっちなんだいって話ですよ。