たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

おどおどしながら、ちょっとだけ少女は前に。「プピポ〜!」

プピポー!1 (Flex Comix)
ちょっとちょっと、表紙の子見てくださいよ。
押切蓮介先生の描く女の子ってなんでこんなにかわいいんだろう?と思ってたんですが、「この子はかわいい子」という設定で描こうとしている姿勢を貫いているからなんだな、とようやく感じました。この世界の中で、この子はがんばって輝いてるよ、だけどいじめられたり怒られたりしておどおどしているよ!というのを描くのがとにかくうまいんですよ。
だから、押切ワールドの妙に歪んだ世界の中で一際輝いている、よどみの中の光のような感覚があります。
と同時に、彼女に共感したりしながらも、なんだか妙にサディスティックな気持ちもわいてくるから不思議。
ひどい読み方ですねえ、ごめんなさい。でもちょっとゾクゾクっとするのは事実。ただ、彼女はそれを貫く視線を持っているから安心しているのかもしれません。
 
これはそんな少女若葉が変な生き物と出会う、押切先生得意のホラーギャグ作品。
なんですが、ヒロインとポーちゃんの関係もさることながら、グリグリメガネのあーちゃんの存在の大きなこと。この子と若葉の距離感がこの作品を大きく変えていくのかもしれないな、なんて思いながら見ていると、ちょっとだけ懐かしさと切なさが押し寄せてきます。ポーちゃんのデザインや特殊さは人を選ぶと思うのですが、それをも含めて一歩ずつ、おどおどしながら前に進もうとするため作品に力を感じます。
ああ、この作品はきっと折れない。いやあーちゃんやポーちゃんがいなかったら若葉は折れるかもしれないけど、その二人(?)がいるから折れない!
 
加えて、後半ギャグ一切抜きの展開になるのもちょっと面白い。はて、今後どっちに転がっていくのかしら。後半になるにつれて加速力半端なくなるので、このまま突き抜けてほしいところです。1巻のラストシーンはなんだか熱くて懐かしくて。
きっと小学校高学年くらいの時に見た、夕暮れの色に感じる恐怖感と懐かしさが、紙の上につなぎとめられているんだろうなあ、って。
 
にしてもやはり若葉はおどおどこわごわしつつ一生懸命なのが、かわいいんだもう。泣くのこらえてるシーン見たら「ぱっつんはいいね!」って目覚めますよ。ぱっつんオドオド少女萌えの人はストライクですよ。そんな見方もいいと思うのですよ。
 
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