たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

私は仮面をつけたショタコン教師。京山あつき「仮面ティーチャー」

「男でも読めるBL」というのをこのサイトで色々教えてもらって、今それらを買いあさって読んでいるんですが、メガヒットだったのがこれ。京山あつき先生の「仮面ティーチャー」。今連載しているやつとは別物だよ。
 
小学校教師27才男性が主人公なんですが、彼が筋金入りの「少年好き」でして、それを隠すために仮面をかぶって…というお話。
とにかくこの主人公教員が哀しくなるくらいダメなやつでしょーがない。そんな、彼のダメ武勇伝をちょっと紹介いたします。
 

●私は仮面の男●

んでー、いい先生かどうかというと、とてもいい先生なんです。
生徒のために尽力しようとするし、明るく楽しいですし。
しかし「少年好き」っつうのは、明かすことも出来ない、手を出すこともできない。これがばれたら一巻の終わり!しかし自分の仕事は小学校教員。そうさ、気づけば自分のまわりには美しく若い少年がいっぱい。しかも女の子と違ってだっこしたりべたべたしてもあまり色々言われないときたもんだ。
だから彼は、今この瞬間を守るために、決意します。

少年好きなことはばれてはいけない。仮面をかぶるんだ!
誰にもばれないように、仮面をかぶって完璧な先生であろうじゃないか。
 
この苦悩っぷり、わからんでもないんですがとにかくいちいち大げさ。
しかも仮面かぶったわりに欲望に忠実に動きまくっていて「ちょっと先生、仮面ずれてるずれてる!」と突っ込みを入れたくなるから困る。
 
たとえば気にしている少年が倒れた時のことですが、先生だから保健室にはこぶわけですよ。

うん、きれいな少年を見たらそうなる気持ちは、わからんではな…。
もっと生徒の事心配しろよ!!!!
 
彼はどうやら、「美しい少年の姿」が好きなタイプの少年好きらしいです。少年のA君が大好き、ってよりも、美少年像全般が好きなんです。
しかも好みのタイプじゃなかったら全然相手にしなかったりと、結構えり好みも激しいです。だからこそ理想の美少年を見つけたときの執念がものすごい。仮面ずれまくりです。
 

●美少年愛の美学

むろん、恋愛感情を作ろうという流れは作れません。だって仮面の男だもん。
しかし抑圧されると欲求というのは反動で爆発しそうになるものでして。

いや、ちょ、だめだって!待って!それはだめだって!!!
仮面を脱ぐ云々以前に、同意とかすらも飛び越えてスキンシップをはかろうとしてしまう先生。危うすぎます。人生棒に今にも振りそうです!!
 
まあ、そこでぱっくんちょとはいかないんですが、その理由がまたひどい。
その理由は…おっと、これは言ったらだめですね。読んでみてください。
 
ただそこを隠すとこの本の面白さがいまいち伝わりずらいと思うので、ネタバレしても割と大丈夫な部分の別ケースを紹介します。
 
こんな危うい生活を送っている彼ですが、それでも「自分やべえ」という自覚はあるんです。
そこにあらわれたるは、少年顔に少年の体をした教員。大人。
…大人だ!大人ならセーフです!(子供よりは)。
んで少年の美しい姿を愛する彼も「こんな夢のようなことがあるだろうか!」と大喜びするのですが、そこには罠が待ち構えていました。

ティンコが…でかい!
だめだ…こんなの、こんなの少年じゃないよ!
 
いや、少年じゃないし。
 
もうこんな具合で、ずっと空回りしまくり。プラトニックというよりは、極めて欲望に忠実なばっかりに、どんどん自爆を繰り返す様はあまりにも哀れで滑稽です。
少年愛って色々な描写方法があると思うんですが、「その少年が好きだから、何もかも愛する」んじゃないんですよ、この先生は。「少年だから、この子に欲情する」という、少年ありきなんです。
このへんをうまいことデフォルメしているので、やってることは本当に色々アウトなんだけれどもゲラゲラ笑って済ませられます。
まあねえ。笑ったらかわいそうなんですけれどもさ。むしろ笑ってあげないとかわいそうです。
 

●一瞬のはかないものだからー●

とはいえ、少年愛少女愛は「発達していないことに対する瞬間の美学」という部分はあるので、マンガでそれを表現するのはなかなか愉快ではあります。
実際後半でてくる幼なじみの話なんかは、その「一瞬の思い出」がかなり色濃く出ていて結構切ない物あるんです。あとエロいです。あんな思い出経験してたら、少年好きにもなりますわ。

「恋は消えることはない 汚れることもない
 そんな瞬間がほんのわずかの間 必ずある」
多分この27才男性教員は、大人が子供をもてあそぶとかじゃなくて、幼い頃の体験と思い出の中に生きている人間なんだと思います。
恋なのか欲情なのか分かっていない部分もありますが、彼にとって少年に欲情することは、自分の思い出への激しい恋慕なのは間違いないと思います。
なんか、それも切ないね。
切ないけど、少年たちをみてニヤニヤしながら幸せそうにしている彼の顔を見たら、どうでもよくなります。

いや、確かに絶対「少年美の永遠」を手に入れることはできないけど、結構あなた幸せそうですよ。うん。
 
少年美・少女美ってのは「一瞬」「失われる」からこそ、っていう前提があるので、手に入れたいと思ってしまった人は仮面をかぶってギリギリするしかない。哀しく滑稽な道化としてさまよい続けることになるんですよね。
だからこそ、マンガで見ると面白い。このマンガ自体は女性向けに描かれていますが、男性の方が案外読んだら痛面白いのではないかと思うのでした。

今キスミーテニスボーイ読んでます。
京山あつき先生のマンガのテンポのよさと、ギャグに昇華してしまう切れ味はすっごい楽しいです。いいわー。BL苦手な人にもおすすめ。
おすすめだけど、やっぱりBLなので、本当に苦手な人はご注意ください。