たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「とらドラ!」の二次創作って難しいよね

亜美ちゃんに踏まれたい、大河にさげすまれたい(Maruto!BLOG)
なんかさー、まわりのとらドラ!好きの割合が「亜美6:大河2:みのりん2」みたいな感じでして、そんなに亜美がいいのか!みのりんをもっとよくみて愛して!とか思ってたんですが、亜美もいいのよね。読めば読むほどに。あとアニメの亜美の描写があまりにも秀逸すぎて。原作を全部読んだ上で再解釈して、アニメが構成されなおしているだけのことはあるなと深く感じ入る次第です。みのりんもそういう意味でよいキャラなんですよね。
しかしなあ。亜美に踏まれつつ大河にバカにされるというのは、M属性ならぞくぞくですな。いいですな。
 

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関係ないのですが思ったこと。
とらドラ!」って本当に物語が繊細なバランスの上に出来ているので、二次創作めっちゃむずかしいなあと。
いや、大河と竜児のラブラブ物とかならいいんです。なんとなく想像はできるので。
あるいはだらだら暮らしている日常のサイドストーリーとかでもまあなんとなくは。
 
問題はばかちーとラブラブだったりみのりんとラブラブだったりする物語を描きたい場合。
そりゃーもうーみのりんとデートしてキュンキュンなのは見たいよ。見たいけどもそれをやると、描こうとすると、泣いている大河の顔がちらつきませんか。
 
誰かの願いが叶う頃、あの子が泣いてるよ?
 

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なんでこんな話すんのーといわれると、実は冬コミの同人で転げ回るほどすごくいいのがあったので。
BIBASUKUさん「俺の彼女がこんなに可愛いわけがない。」
こちらのサークルさんの新刊なんですが、7巻以降のみのりんと竜児がラブラブだったら、というIFを描いた作品。
これがまたもう、どうしようもないくらい、たまらないくらいラブい!
みのりんと竜児が心を開きあって、それが幼いながらも進展したら…というとてもとても素敵な本でした。みのりんラブ本を心の底から欲していたので、水を得た魚状態で読んでいて幸せでした。こういうのが本当に見たかった!
ですが、やはり作家さんの苦労は「みのりんを幸せにする=大河が辛くなる」にあったんだろうなあとも感じさせられるわけです。作品を本当に愛して作っているのが深く深く感じられるからこそ、同時に「じゃあ大河は?」という矛盾と戦わなければいけなくなってしまいます。後書きでもちらっとそんなことが書かれていて、大河の出番はありません。マンガとしては正解だと思います。
そんなジレンマの中でも描こうとしているからこそ、原作愛に満ちた素晴らしい同人誌でした。みのりん好きに心の底からオススメ。
 

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二次創作に脚を踏み込んだ時点で、それはもう「どうしようもない」ことというか。その作品が心の底から好きで、「こういうのが見たい!」という気持ちの表れなので、必ず矛盾の壁にはぶち当たる物だと思います。
特に「とらドラ!」はその「矛盾」を原作内で飲み込んだ上に、「みんなが幸せハッピーエンドはあり得ない」ことを最初から明示しています。あんなに脳天気で明るそうな作風なのに、誰かがどこかで泣いている。
泣いているのなんて見たくないよ。見たくないけどそうならざるを得ないよ、そうやって歩めよ。
とらドラ!」が好きだから、二次創作も見たい、作りたい。そして同時に好きだからこそ、身を切られるような思いに読者も二次創作者もサラされる。
それらもすべてひっくるめて、「とらドラ!」のすごさであり、魅力なんだろうなと思い知らされるのでした。
前に進むとき、痛みがあるからこそ、歩んだ感覚が脳と心に刻まれるんだな。キャラクターも、読者も。二次創作者も。
 

スピンオフももうすぐ発売。
本当に作品を好きな人が作った同人誌が持つ「好きでしかたないんです」パワーは本当に、本そのものから伝わってくるからすごいですよね。
自分が今まで見たたくさんの同人誌の中で一番衝撃だったのは、忘れもしません千本ノック座談会さんが描いていた妹尾あいこ本。あれを描かなければ人生の次のステップに進めないんだ、といわんばかりの情熱に圧倒されたのを覚えています。商業誌では決してできない表現の吐露でした。
きっとそういう作品がたくさんたくさんあるんだろうな。出会えていないだけなんだろうな。そう考えるとぞっとしたりわくわくしたりします。