たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

使用キャラじゃない脇役を大抜擢した、すげーアンソロジー出たよ!「ペルソナ4 菜々子カーニバル」

珍しく、アンソロの紹介です。
 
実はアンソロは昔大好きで、マリみてラグナロクはほぼ全巻買っていたのですが、ラグナは特に出過ぎたため追いつけなくなりました。マリみては多分コンプしていると思います。
そう、アンソロはきりがない!だが同人誌を買う手間を考えるとやはり「これはおさえておかねば!」というのがあります。出版社によってセンスがぴたりとはまると、もう追いかけ続けちゃいます。
加えて、アンソロ作家さんというのは他のマンガ全般とジャンルが異なり、比較的同人誌と商業作家の間にあるような場合が多いため、「うお、こんな上手い作家さんが!」という出会いがあることも。そのへんがまた面白いですね。男性向けよりも女性向けアンソロは特にその流れが強いと思いますが、ぶっちゃけ多すぎて追っかけられません。
 
そんなわけで今どはまりしている「ペルソナ4」なんですが、今の時点で洒落にならないくらい各所からアンソロが出ていて度肝を抜かれます。何社から出ているんだろう。5?6?
んでどこから買おうかなー、全部買うとまたすごい数になるなあとか思っていたら、すさまじいのを見つけたので思わず買ってしまいました。

「菜々子カーニバル」です。
一見普通のアンソロですが、ペルソナ4を知っている人なら牛乳吹き出すと思います。
菜々子というキャラがなんなのかをカンタンに説明しますと。
 
・主人公が居候している家の娘さん。小1。
・ストーリーには絡むし、会話も出来るけど、数多くいるプレイヤーキャラの一人ではない。使用できない。
・妹的存在なので、他のキャラと違って恋愛展開は一切ない。
・つまり完全なる脇役。
 
そう、脇役なのです。重要極まりないキャラだけど脇役は脇役なのです。
いわば、ドラゴンボールでチチのオンリー本が出るようなレベルだと思います。プリキュア5でブンビーさんのアンソロジーが出るレベルだと思います。
すげーな!雪子とかチエチャンとかりせちーとかなおととか、ヒロインいっぱいいるのに、しかもそっちはプレイヤーで恋人にも出来るっていうのに、そっちは出さずにいきなり菜々子かよ!!
 
だがね、このチョイスをした光文社とアトラスはえらい。大変えらい。
菜々子は誰しもに愛される、偉大なる脇役キャラなのです。
 
同じ家に住んでいるため、菜々子っていつも家にいるわけですよ。特にお父さんが刑事なため、いつも出かけているので。
で、彼女は何の文句も言わずに、じっとだまってテレビの前に座っているわけです。正座で。正座でですよ!
お兄ちゃん(主人公)が恋の6股かけるために出かけようが、肉丼食べるために出かけようが、彼女は「ななこ、おるすばんできるよ!」と言って彼女は家で待っているんです。
正直健気すぎて「菜々子ごめん、お兄ちゃん出かけられないよ!」と言いたくなるくらいです。
 
また、この作品に出てくる女の子キャラは壊滅的に料理が下手です。主人公や友人の男子たちはそれでごたごた喧嘩したりもするのですが、そんな彼女達の料理も「うん、おいしいよ!」と空気を読んで菜々子は食べるのです。食べるのです!
高校生より遙かに大人。みんな「菜々子ちゃんに気を遣わせちゃったなあ」としんみりしながら、心から彼女に感謝と愛を注ぎます。
主人公もよくよくモテモテなキャラですが、菜々子はそれ以上に総てのキャラに愛されるいい子です。いい子すぎるが故にもちろん爆発してしまう部分もあるのですが…おっと、それはゲームをやらなきゃ。
加えて、彼女はお兄ちゃんがテストで一位になると、プレゼントを作ってくれます。不器用ながらも一生懸命に、作ってくれます。作ってくれるのです!それが…それがっ…。
 
不器用な堂島パパ、真面目で一生懸命な菜々子。時々ジュネスの歌を歌う幼い彼女に多くに人はメロメロでした。
メロメロといってもロリコン的な意味ではありません。「よつばと!」のよつばって性的なもの抜きにしてもかわいいでしょう。あれと同じです。まさに妹オブ妹。トゥルー妹です。
 
とはいえ、物語の中核の一人としてストーリーはあるものの、他のキャラの目立ち方がはげしいため普段の日常は「家にいる妹」でしかありません。
みんなでわいわいがやがやと高校生活を送っていたとき、この妹は何をしているのか?描かれないけれども夕飯を一緒に食べて居るであろう主人公と菜々子はどんな会話をしているのか。お兄ちゃんはそんな菜々子をどう見ているのか?
そんな見えない部分にものすごく、気が惹かれるじゃないですか。恋愛関係が描かれない、ただ家に一緒にいるだけの、だけどかけがえのない家族だからこそ。
 
そんな妄想がまるまる一冊のアンソロになったことに拍手を送ります。
そして、アンソロ作家さんたちの菜々子愛は異常。
みんな兄バカ。どの兄も「菜々子愛してるよ菜々子!」という妹中毒な兄ばかりです。
わかる、わかるよ!友達も恋人も事件も大事だけどさ、妹大事じゃん!菜々子大事じゃん!
 
なんともピンポイントすぎるアンソロジーですが、「ペルソナ4が好きな人は菜々子が好きに違いない」と思い切って足を踏み出し、発刊したことを本当に褒めたいです。菜々子ファンはもちろん、そうじゃない人でもこれを読めば、菜々子への愛しい感情が30倍になること間違い無しです。愛あふれすぎです。
 
他にもペルソナ4のアンソロは買ってますが、今のところこれが一番出来がいいと思います。
やはり「細い穴から出る水ほど遠くに飛ぶ」ってやつでしょうか。チエチャンアンソロとかも見たい気はしますが、やはりここは「キャラクターにもプレイヤーにも愛される菜々子」で一冊作ったことに意義があるんじゃないでしょうか。
いやあほんとすばらしいです。
 
次は堂島パパアンソロジーが見たいな。
 

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今回の記事なげー!
ペルソナ4は好きすぎて、語りたいこと多すぎです。

ちなみにこれの前の火の玉シリーズのアンソロ3は、実際にはゲーム中では出てこない冬の様子のみで描かれているアンソロジー。二次創作アンソロでも、こういう「何らかのテーマ」にそって描いて妄想補完するのは作家の技量が問われつつも面白い試みだと思います。