たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

球体関節人形を見て感じるささやかな「恐怖」について、思う。


なんでこの動画のびてるの?と思いつつ紹介。
球体関節人形については…色々言わせてもらいたいぜ!
「きれい」とか「かわいい」とか「似ている」とか、そういうのも確かに素晴らしい技術なんだけれども、それ以上に「人の形を作る」という行為は、人間の内面をさらけ出す行為なわけですよ。
見えないもう一人の自分を、たたきだす行為なわけですよ。唇に血をにじませるほどかみしめながら。
だから「怖い」と思うのは当然。動くからとかじゃなく、それが「見ないでおいた人間の本質」だから。死んでいるのに生きている、もう一人の自分がいるようだから。
怖くて当然なのです。
 
自分はHans Bellmerをはじめ、天野可淡に耽溺した一人です。恋月姫作品の美しさも大好きなんですが、天野可淡の作品に出会ったときの衝撃は何物にも変えられません。
天野氏の人形は笑いません。見上げるように、精神に杭を打ち込むような視線を向けます。
一度「マリアの心臓」で天野可淡の人形を生で見ました。
今の多くの技術者のような、美しさや丁寧さはないんです、むしろ荒々しいと言ってもいい。また小手先でグロっぽい表現をするわけでもないです。
しかしそこにいる少女は間違いなく、自分たち観客の精神に棲んでいる住人たちでした。
怖かった、でもたまらなく愛しかった。
トレヴィルの写真集を買いました。そこから吉田良など良作を生む数多くの作家を見てきました。「人形屋左吉」で色々話も聞きました。
 
それでも、あまりにも自分の心の中がつかみだされてしまったようで、天野可淡人形はぼくにとって特別でした。
怖いかって?怖いですよ。
彼女が部屋にいたら、きっと自分は対面できず発狂してしまうでしょう。自分の中の分からない部分が暴露される気分になるでしょう。
でも惹かれてしまう。
 
人の形は、何よりも「人間の精神」を如実に映し出します。
「怖い!」「かわいい」「おっぱい」とかもいいですが、改めてその人形が持っている空気を、生で見て味わって欲しいのです。
人生が変わるほどの出会いが、本物の人形には、あるんです。
 

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ファッション的嗜みとして見るとか、萌えキャラとしてみるとか、そういう動機でもいい。本物に出会って、いかにその造形が人間の神経の中をほじくるか、体感してほしいんです。