たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「人間型」を追いかけて〜女性型ロボットの見果てぬ夢〜

HRP-4C、各所で話題になってますね。「人目を惹くために人間型にした」そうですから、十分にその役割は果たせたってところでしょうか。
ところで、HRP-4Cに対する意見って大雑把に言ってしまえば2通りあって「キモい」っていうのと「よくやった」っていうのがあると思うんですが、たまこまごさんはどちらのお考えでしょうか?
 
自分は「よくやった」の方かな…っていうのは、ドロッセルお嬢様なんかを見れば判るように「人間らしい」動きにそこまで大量の可動は必要としないのでは?と思うのです。現時点でHRP-4Cの動きがキモく見えるのは、ぶっちゃけ開発者が「動きをつけるプロ」ではないからなのではないか…と。ちゃんとした3Dアニメーターかアニマトロニクス技術者などに動きをつけて貰えば現時点でもかなりイケてるんじゃないかなぁ。
(実際、方向転換なんかはまぁまぁ自然に見えますしね http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090316/pr20090316_3.asx )
それは顔の表情も同じで、人間なら例えば(不謹慎な例ですが)顔面麻痺して可動箇所が落ちてても、不自然ながらも人間らしく見えるのだからHRP-4Cでもそのくらいのレベルには出来る筈。
実際、ちょっと前のハリウッド映画に使われてた人間型のアニマトロニクスには(撮り方もあるのでしょうが)言われないとロボットとは気がつかないようなものもあって、しかもそれらはHRP-4Cと同程度かあるいは下回る可動しかないものもあるわけで。なのにそれより不自然に見えるHRP-4Cはモーションデータを間違えてるとしか思えない。
ついでに、何故かマスコミが取り上げる写真に、「電源を落として弛緩しきった顔」が多いっていうのもマイナスイメージを助長してる一因じゃないかと。そんなの人間でも可愛らしくは見えないよ!
 
まぁ、何が言いたいかっていうと、まだまだハード面でも問題は多いだろうけど、今まで問題にしなかったソフト面やデータ面が問題になってきた、という事でロボット工学は凄い速さで進んでるんだなぁ…と彼女(代名詞が彼女!)を見て感心したわけですよ。未来に希望も出て来ましたし(w
それと、よく「外人は特に人型の機械には征服されるって恐れを抱くから開発が進まないんだ」と聞きましたけど、こうしてある程度それらしい物が出来てきて、その海外の評判を見るとあまりそういった反応が無くは無いにしろ多くないようにも思うんですよね…。
まぁ、普段からネットやってるような人達の意見でしょうから、かなり偏っているのかもしれませんが、それでも結構意外でした。これもまた実際に作られなければ判らなかった事の一つ、かな。
 
たまごまごさんはHRP-4C、どう思われますか?

人類の科学力はゆっくりとではあっても一歩、また一歩と歩みを進めているようですね。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090316/pr20090316.html
 
ところで、たまごまごさんは何か思い入れのある女性型アンドロイドってありますか?

する?ロボットの話しちゃう???(嬉しそうに
 
自分もこのニュース見てニコニコしていました。
あー、いいねいいね、すすんでいるねと。
 
実を言うと、自分自身は「限りなく人間に近いロボット」という形状はそこまで好きではなかったりします。むしろ「ロボロボ」している方が愛らしくて好きなんですよね。ウォーリーとか。ドロッセルお嬢様とか。
というのも、ドロッセルお嬢様なんかは「女の子らしさ」をあえて記号化して抜き出して、組み合わせているじゃないですか。そういうのをあえてチョイスして作っちゃう方が、なんだか人間のエゴっぽくて嫌いになれないんですよ。ようは「萌え」に人格がないのと同じ事で、あくまでも「人間>ロボット」の関係をはっきりさせた愛玩性があるというか。おもちゃの延長線です。
 
実質ロボットの機能を考えると、そんな「人間らしさ」とか「記号的な要素」はいらないわけです。工業用みたいにがちがちに動く方がよっぽど効率が良いです。
しかし、あえて「ロボットらしさ」を捨てて「限りなく人間に近いロボット」を作ろうとするその意気込みに敬意を表したいです。
もう、今これを作っている制作者さん達の目が向かっているのは、「理屈じゃない何か」じゃないですか。
 

●人の存在に挑む●

HRP-4Cに対して、自分は「よくやった」と思います。
いや、もっともこれが部屋にいたらどう思うかと言われたら、現段階では確かに気持ち悪いです。しかし、開発者は何かを今越えようとしているわけですよ。
その「何か」が人類の将来にプラスかというと、あながちそうとも言い切れないあたりが、すごく好きなんです。
 
人間型ロボットを作る、というのはひいては、フランケンシュタイン博士やゴーレムの思想と何も変わっていないと思います。あ、宣伝的要素とか、これを使って何をするかとかは、違うかも知れませんが。
ようは、なぜか人間は人間型に憧れる、というのがポイントだと思います。
不気味の谷はなかなか越えられないのですが、意地でも越えようとする人間の闘い。
「なぜ挑むの?」と言われると全くわかりません。多分「そこに不気味の谷があるから」とかだと思います。いや、そんなわけのわからない言葉は使わないですね。「それが目的だから」とかでしょうか。
 
また、ほとんどが女性型なのも面白いと思います。これエロい目的とかそういうのは全然なくて、どういう道をたどってもやはり誰かが女性型を作る気がしてならないんです。
というのも、ロボットという存在が今、現実と偶像の合間を行き来する状態になりつつあるから。ようするに究極の美を追い求める理系の人々、なんじゃないかと思うんです。だから自然と「美」を形にしやすい女性像になっていくんじゃないかなと。逆に言えば無骨なのは男性型多いですし、そのからの離脱もあると思います。
 
未来のイヴは間近に見えて、遙か遠し。
表情とか、そういう実用的ではない機能はもうちょい後でもいいと思いますが、それでもきっと「表情に挑み続ける学者」は現在いるはず。そこ、そこがいい。
無機物に「疑似的に感情を作りだそう」とする人間。
「限りなく不完全な人間」を真似た「人間型」を作る、不完全さの美学。
ムダであればあるほど人間に近く近くなっていきます。
そして、究極的に近づきたい場所は「感情を表現する機械」であることに間違いはなさそうです。
でなきゃ、顔から作らないって。
 

●女性型ロボット●

思い入れのある女性型ロボットといえば、どうしてもはずせないのが「ミソッカス」です。

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そもそも「ロボット」なんだから、どんなに感情だなんだといっても結局はプログラムじゃない、と言われるわけです。
実際そうです。プログラムなんです。「こうしたら、こう反応する」っていう。
だけど、そんな「やったら返す」という反応だとしても、あるいは一皮仮面をはがせば機械の塊だとしても、それでもミソッカスはかわいかった!
その後、マルチの元になったとか色々諸説ありますが、ミソッカスはミソッカスです。
たとえそれを愛する人は愚者であろうと言われても、ミソッカスを選んだ主人公の気持ちは心の底からよくわかる。わかるんだよ。
 
何度か話題に出している「時計じかけのシズク」も欠かせない好きなロボットの一つです。ロボットとの恋愛感情って、本当にありうるの?「時計じかけのシズク」

シズクのいい所は、確かにかわいいしAIで成長して人間らしいのですが、それでもきちんと「不気味な存在」として周囲に見られていることです。
主人公はこよなくシズクを愛しているから、どうしてもそのひいき目がはいるんですが、まわりの人間は「所詮ロボット」なんですよ。このカットのように「だめよあんなもの見ちゃいけません!」なんですよ。
たとえどんなに人間に近づこうとも、人間にはなれないんですよ。
なのに愛らしい。なのに人間以上に愛してしまった。だからこの物語がとてつもなく好きです。
 
あと、ブラックユーモアになりますが、タカハシマコ先生の少女ロボットは壮絶でした。
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じいさんの悪趣味によって、プログラムされた少女型ロボット。カスタムがお下品なので、何かにつけてエロい反応をします。
「寝よう」という音声に反応して「うん、おじさま寝ましょう。穴という穴にぶちこんでね。」と服を脱ぐプログラムがされていたりするわけです。いやん。悪趣味。
オチで「愛してるんだ!」と言ったら、その言葉に反応して「愛情があってもダメなものはダメよ!私子供なのよこの変態!!」とロボットに罵られる有様。うふん悪趣味。
しかし、逆に興奮するから困る。
 
人間は自分で作っておきながら、その形状を愛してしまう不思議な生き物です。
それは崇拝でもあり、憧憬でもあり、畏怖でもあります。
昨年くらいに「ロボットに人権はあるのか」なんて話が真剣なのか冗談なのかわからない勢いで討議されたことが外国でありましたが、傍から見ればおかしなその会話も、実際当事者になったら意外とマジでのめりこんでしまう気がします。そのくらい、「人の形をするもの」への感情は特別なのです。
 
だからこそ、動く人形、ロボットが人間に限りなく近づく時に人の心は千々に乱れます。
うん、乱れるとイイと思うんだ。そしていっぱい色々な意見が飛び交って、色々な創作物でそれが形になり、意見を交わし合えば、「なぜ人間は人間を知ろうとするのか」という永遠の謎に一歩せまる気がするんだ。
その謎が解けるときには、もうロボットの支配下にいるかもしれないけどねー。
 
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マリアやアイギスも好きだヨ。なのも好きだヨ。
ところで、ダッチワイフ型ロボが出来るのはかなり近い未来の話な気がするんですが、その時の倫理問題がどうなるのか非常に気になるところです。
だんだん冗談じゃなくなってきました。