たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

身近で生っぽくて、ほっこり明るい馬鈴薯先生のエロマンガは最高。

エロマンガ話なので収納。
 
 

この作家さんが載っている快楽天は必ずチェックしていたよ、ってなくらい大好きな*1馬鈴薯先生のファースト単行本が遂に出ました。
 
もーしつこいくらい書いているんですが、自分は「生活臭のあるエロマンガ」にめちゃくちゃ弱いわけですよ。ファンタジーなエロマンガももちろん好きなんですが、出来れば今にも手が触れそうな感覚がにじみでるエロマンガが、イイ!
二人が交わす会話は、全然派手じゃなくていい。たわいのない日常会話でいい。
二人がたたずむ場所は、全然派手じゃなくていい。畳のにおいと、ぺちゃんこだけどあったかい布団と、節約して買ったわずかなお酒があればいい。
香水の香りなんていらない。
お互いの汗のにおいがあればいい。
 

●畳のある日本のお部屋●

全部の作品ではないんですが、馬鈴薯先生の描くマンガはとても「日本」を意識されています。
生活はそんなに貧しいわけじゃないし、そこそこみんないい感じで生活をしているわけですが、やはり「日本人らしいアイテム」ってあるわけじゃないですか。
極端なのじゃなくていいんです。ゲイシャとかフジヤマとかじゃなくて。
たとえばこのシーン。

快楽天」掲載作品は、比較的こういう畳のある日本のお部屋が多い気がしますが、特に馬鈴薯先生の作品は等身大の日本が描かれることが多いんですよね。
ベッドもいいけど、お布団もいいじゃないですか。
部屋着はだらしないこともあるけど、好きな人に会いに行くときくらいは一生懸命なおしゃれをするあたりも、無理なく等身大です。
 
エロマンガはもちろんキャラが重要なのですが、背景を描きこむ作家さんの作品は相手に与える印象が一回り強いです。
馬鈴薯先生の作品は背景の一つ一つにものすごく気をつかっているんです。それも、出来るだけ「等身大の日本の若者の生活」に近づけて。
それが、エロシーンを堪能した読後に、なんだか親しみすら感じる要因の一つなのです。
 

●レッツドリンク、お酒●

幾つかの作品では、飲酒のシーンが出てきます。
日本での「飲酒」は、やっぱり親交の場なわけです。
今までの関係と、お酒を酌み交わしたあとの関係は、ちょっとだけ違う。そこが・・・いいんだなー。


これも細かい部分を描き込んでいるがゆえの面白いコマなんですが、この居酒屋の雰囲気を見ていたらじわじわと親密感わくじゃないですか。
しかもこれ、みんな働いているわけじゃなくて、就職活動がうまくいかない組の同窓会。
うーあー、なんてありそうな。
この真ん中にいる3人の女の子がこの後、話の主役になっていくわけですが、それぞれ「ものすごい親しい」わけではないのです。だけど同じ世代で、同じように悶々と就職活動して・・・。
そんなわだかまりを解くには、そして忘れかけた年の流れを呼び覚ますには・・・お酒が一番。
必ずしも飲みニケーションがいいとは言いませんが、一緒に食べる、一緒に飲むことは人の間の壁をとっぱらうにはいいのも間違いないんですよね。

こんな仲もあります、あるよ。
でもほら、飲み会の場は普段の1割くらいは大きめに、ぶっちゃけられるじゃん。
お酒の席と言っても、持ち帰る気満々の合コンではないわけです。単に「じゃーのもうかー」という軽いノリ。そここそが日本人感性を感じる部分です。
いつもありそうなシチュエーションから派生するエッチ。だからこそ、妙に生々しいんですな。
 
ちなみに上のヒロインと男の子は本当に腐れ縁、というか、…まあ見ての通り「女の子は男の子の気持ちに気づいてない」という強烈なニヤニヤパターン。

これはもう、男の子の気持ちは確定状態。
そんなノスタルジックな気持ちも、お酒の席だと蘇る。誤解やわだかまりもざっくり解決…するかな?してほしいな。
そして、そんな「してほしい」を解決してくれるエロマンガ。うーんステキ。
 

●ただしイケメンにかぎ…らない●

もちろん恋愛の話が多いのでイケメンも多いんですが、男の子キャラはちょっとだらしないくらいだったり、イケメンじゃなくておっとりさんだったりするほうが恋愛対象らしいのもまた、確か。

この作品集で一番大好きな「あかないとびら」より。
相手の男性がここに来ているのは「三食娘付き!」と募集をかけた酒屋の父さんの仕業なのですが、そんなファンタジー気味な展開も前後を読むと一気に「こいつでよかった!」と感じさせられます。
ここで一緒にお酒飲んでいる時点では、まだ二人は恋愛対象じゃないんです。でもこの地味で目立たない青年がとことんまでいいやつで、彼女の心を開いてくれるんです。
お酒の効果もあるけれども。やはり過去のいやな思い出を氷解させてくれたのが大きいんですよ。
この酒屋の空気がまたなんとも日本らしい。彼女が働く服装も着飾っておらず、普段はイケイケな感じなのに妙に生活感あふれているから…たまらんですよ!キュート!
 
生活感はえっちシーンにも及んでいて、二人の息づかいと汗のにおいがすごくしてくるような描写がされています。
その他の作品すべてにも通じるのですが、お互い触れあってドキドキすると、体温も高くなる訳じゃないですか。汗もじっとりかくわけじゃないですか。それこそが最高に相手が愛しくて、たまらなくなる瞬間なのです。
そこをしっかり、大切に描いてくれているから読んでいて興奮がとまりません。

二人の結婚式の様子も描かれますが、その後もこんな感じ。
ああもう、ニヤニヤだよ!
日本のラブラブカップルに乾杯だ。
イケメンもいいけど、やっぱり等身大なヤツラが一番いいですな。
 

                                                                                                                                            • -

 
ちょっと異色作な作品ですが、最後に恩返しにやってくる娘の話が載っています。
ストーリー的には本当に異色、ファンタジー気味ですらありますが…。

そんなのはもう、話のきっかけに過ぎないわけです。
二人のラブラブな笑顔、一緒にいられるこの時間、触れあう部分から感じるお互いの体温。
難しいことを考えず、明るく楽しく相手の体温を感じよう。
相手を愛しいと感じるのはそんなささいな物の積み重ねであることを再認識させてくれる、「生きた」エロマンガを読めるしあわせ。
 

これが一冊目ということで、やはりデビュー作と近作でストーリーの展開の方法に差異はあります。しかし最初から徹底して「等身大」を描こうとしている姿勢、そして繊細な心の機微すら表すような背景描写に、心はほんのりあったかくなります。
快楽天」自体、比較的「リアル寄り」「年齢層高め」「汗と体温を感じるえっち」を重視した雑誌ですが、その中でも今後旗を掲げてくれるエースなのではないかと思います。
後書きにも書かれていますが「旧快楽天を読んでいた層が、新快楽天を支えている」というのも、またなんだか味わい深いところです。
快楽天らしさがちゃーんと受け継がれているんです。
 
〜関連リンク〜
芋畑
馬鈴薯先生のサイト。
ヘドバンしながらエロ漫画!  馬鈴薯『うらはら』

*1:いや、実は毎号買ってますが、気持ちの問題だよ!