たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「じゃあ、私たちはこれが一枚目だね。」 〜けいおん!番外編「ライブハウス!」〜

BDとDVD収録の「けいおん!」番外編「ライブハウス!」みたよー。
いやあ、最高でしたね!

律の太もも。
白い!白い!
 
じゃなくて。
 

唯の鼻血。
コメンタリーで言われていましたが、最初練習段階で声優の豊崎愛生さんに渡したのが鼻血なし動画だったのに、収録本番で鼻血が追加されたため、あいなまさん吹き出してしまって収録が停止してしまったといういわくつき。
いやっ!スゴクいいシーンなんですよ!
軽音部の5人だけにとどまらず外の人とつながりが出来て行くとても素敵なシーンなんですよ!
鼻血だけど。
 
この番外編を見るまで、もー長い長い時間待っていたので「待ちすぎてしまってあら探しとかしそうだなあ」と自分では思って構えていたんです。構える時間が長いからどうなることやら、期待を裏切られたらどうしようと。
杞憂ってこういうことをいうんだね!
なんだよ…音楽楽しいよ!ライブ会場熱いよ!
待っててよかった、本当によかった。
 
はて、今回は番外編だけあって、今までだったら決してないような、そして1期と2期の大きな転換点であり、かつしっかりした鎖のような話でした。
クローズドなほんわかぬるま湯空間だった「放課後ティータイム」が、外に向かって踏み出した一話です。
無論、最初から全員が乗り気だったわけじゃありません。
原動力となったのは、唯の人懐っこさ。見ているだけでどんどん胸やら拳やらが熱くなるよ…!
以下、猛烈にネタバレです。引用画像はケータイでとった写真なのでちと荒いです。
なんにせよ、まずは本編を見てください!
 

 
 

●緊張感!●

けいおん!」のアニメ版の面白いのは、徐々に、少しずつではあるけれども外に外にキャラが向かっていくところです。
この前の番外編「冬の日!」では、全員が団子になって暮らすのではなく、それぞれが自らの意思で一歩踏み出すところを描いていました。もちろん、軽音楽部が地面としてあるからこそ踏み出せるのも含めて。
そして今回は、「放課後ティータイム」がライブハウスという外の場に出ることになります。
もちろん今までも学園祭で外には発信していましたが、ライブハウスと学園祭は空気も人間関係も何もかも違います。

面白い反応をしているのは最初の方のこのシーン。ライブハウスで申し込みをしている場面です。
梓はライブハウスには観客として他の子よりも比較的来ているので、落ち着いた感じがします。
律と澪はものっすごい緊張していますね。特に律は口がうまく回らず噛みそうにすらなっています。
一応律の友人の紹介ということでの参加なので「ライブハウスを全く知らない」わけではないのかもしれませんが、律の様子を見ているとかなりおっかなびっくり。入り口から顔だけ出してみたり。少なくとも来慣れてはいないでしょう。
澪にいたってはガチンガチンです。ライブハウスで人前で演奏するのを想像するだけで…うん、今回については、澪のような反応が至って普通の女子高生の初ライブ反応だと思います。
そして落ち着きが無いのが唯。律の後ろを行ったり来たりしながら覗き込んでいて、止まることが出来ない子供のようです。唯も未知の世界に緊張していないわけじゃないです。しかし興味が上回ってテンションが上がっているのです。上がりまくりです。
むぎは…すっごい目をランランとさせています!動画で見るとわかりますが、キラキラ目が輝いております!もちろんライブハウス来るのは初でしょうね。
 
ライブに限らず、なんらかの舞台、人前にたったことがある人なら分かると思いますが、舞台から見た視点って全くの別物、なんというかもう…この世じゃないんじゃないかと思うくらい別世界なんですよね。最初の時は。

否が応にも上がってくる緊張感。
でもそれと同じくらい沸き上がってくるワクワク感!
人前に出るのが苦手な人だとこの視点は地獄絵図にしか見えないのですが、舞台って不思議なものでその地獄絵図っぷりをさらに上回るくらいのワクワクが膨れ上がるもの。
ましてやほら、一人じゃないじゃない。
 

●新世界!●


放課後ティータイム「様」!
…もワクワクなんですが正直その下の「ナマハ・ゲ」に負けています。
なんだよ「ナマハ・ゲ」って。なんでそこ、点なんだよ。

こちらセッティングシート。
何をするものかというと、曲順とか照明とか音響効果を書き込むものです。このへんほんとリアルに再現していますねえ。
実際にはさらに持ち込み機材やら、器具の配置やらも書き込む場合があります。このへんはライブハウスごとに違ったり、口頭で伝えるだけだったり、他の所のセッティング表を流用したり、もっと早くにFAXやメールで事前に送ったりと、決まりがあるわけではないです。セットリストと配置用のセッティング表が別なところもありますね。
このへんがわかりやすいと思うので、参考までに。
セッションbyアールエーティーエー音楽企画 〜〜 セッティング表の書き方 〜〜
いまさら聞けないステージ・セッティング ギターよもやま話 J-Guitar.com
ライヴハウスに出演 ライヴの始まりから終わりまで

出演を希望するライヴハウスに連絡→デモ音源を持っていく→出演が決まったらチケットを預かる(今回は売ってないですが、手売りの場合も)→セッティング表・セットリストを送る→当日。

このへんきっちり描写されています。
きっちり描かれることで今自分たちが踏み込んでいるのが新しい世界であることを見ている側に感じさせます。
演奏経験、ライブ経験がある人だと「あーあるある」となるでしょうし、そうでない人だったら律の反応のように「わけがわからない!?」となるでしょう。
 
対バンの相手がどんな人かなんて当然わかりません。怖い相手であることも、あります。無くはない。
けど…良い人もまたとても多いんですよね。ましてやこうやって一緒にライブをやる事になったらなおのこと。
このへんはいくら言葉で言われても、実際にそこに飛び込んでみないと分からない。

ライブハウスという新世界におっかなびっくりなところもあるけれど、いざ飛び込んでみたらみんな「音楽を楽しもう!」という人たちばかり。
もっとも唯達とは志の位置や姿勢が違います。
そこでカルチャーショックを当然この子達も受けます。
「目指せ武道館って言ってたのが恥ずかしいね」
気のでかい唯ですらそう言うのです。本気でやっている人が集う場には本気のオーラが漂います。
 
この作品がすごいところは、そこで怖じ気づかないことだと思います。
確かに死ぬ気でやってきた子達じゃないです。だらだらゆったりやってきたような子達です。
でも映っていないところでそれぞれが練習していたことは描かれてきました。
もちろん本気でやっている他のバンドには、実際は色々及ばないところもあるはずです。
それでも、そこで「ああ私たちだめだ」と決して言わない。
今回の出来事は「すごいアウェーにほおりこまれた」わけじゃないです。自分たちが自ら望んでドアを開け、よたよたではありつつもその世界を確実に踏みしめています。
澪は比較的冷静にそのへんを見ています。そもそも何かにトライすることでネガティブなるわけじゃない子達ですが、一人ではそこに足を踏み入れる勇気はなかったことを澪は悟っていました。
みんながいて、それぞれがちょっとずつ「ポジティブ」を出しあって前に進んでいるのです。
 
ポジティブの弾丸だったのはもちろん唯。

おっかない容姿の人のところにも平気で突進して話しかける唯の図。
澪の表情がこの時の「放課後ティータイム側」の空気をよく描いています。唯の「空気読まない」がうまく作動している瞬間でした。
もっとも、さすがに空気読めなさすぎて恥ずかしいことになるので、そこを抑えるのは他の子の役割になります。
突撃する唯、倍に膨らませるむぎ、道を進めようと頑張る部長律、ストッパーになり軌道修正する澪、それをしっかり支える梓。
5人がバランスを保っているから、こうやって前に進める。
 

●ぜんしん!●


ライブの空気は描かれますが、演奏シーンはほとんど描かれません。これきっとわざとだと思います。
放課後ティータイムの演奏すげー!」を見せる作品じゃないからです。「放課後ティータイム頑張ってる…!」を見せるための演出がされているからです。
コメンタリーで声優さんたちは、親心みたいな感じで見ちゃうとおっしゃってましたが、すっごいよくわかるし、そう作られた作品だと思います。
「自分たちの分身が!」というよりも、成長する子達を見守るような感覚です。学芸会を見に来た親族感覚です。「学校をとびだしていってしまう」という言葉が妙に印象的でした。
そうなんですよね、ああ、行っちゃう、大丈夫かな?!という印象がとても強いです。
そして、親の目を驚かせるほど成長した姿を見せる我が子のように、知らない世界でも着実に歩みを進める面々。

前半は「他のバンド(律の友人のいるラブ・クライシス含む)」は別世界の住人で、手が届かないような場所にいるような描かれ方をしています。
しかし後半彼女たちは、それらの違う世界にいるような女の子達も、自分たちと同じように楽しんでやっている、いわば並列な存在であることを理解します。演出コメンタリーで面白いことを言っていました。
このシーンまではラブ・クライシスの方がキャラサイズ大きめ。存在が大きく唯にも見えているから。
しかしこのシーンではラブ・クライシスと放課後ティータイムのサイズが同じになる。このへんは実際に見て確認してみてください。
 
彼女たちが成長した、と見て間違いはありません。大きな一歩でした。
しかしそれだけではなく視点が変化したというのもあります。自信でもあり、人とのコミュニケーションの幅が広がったということでもあります。

自分が本気で泣いてしまったシーンがあります。
あのね。対バンのラブクライシスにファンが集まって「うわーすごいねえ」と話していたときに、唯が言うんです。
「でも、私たちも和ちゃんとかみんな来てくれたよ。」
もうここで、ぶわーって。ぶわーって。
最初なんでなのかわけ分からなかったんですが、何度か見ているうちに分かりました。
確かにこの子たち今回ビッグバン級の出来事を経験し、とてつもなく成長したんですが、思い上がってないんですよ。
彼女たち相応の喜びをちゃんと噛み締めているんですよ。
突然ナンバーワン級の演奏が出来たわけじゃない。ものすごい人気を博したわけじゃない。いつもの延長線上であることには何にも変わらない、ただ一歩踏み出した経験のラインに、このライブハウスがあったんです。
そして彼女たちの今一番求めている幸せは、和ちゃんや憂や純ちゃん(!)やさわちゃんに見てもらって、褒めてもらうことなんです。浮かれているようで、ちゃんと地に足をつけて一歩ずつ踏みしめているんですよ。
きっと、この言葉を聞いた瞬間、自分は唯たちの親戚になった気持ちになったんだと思います。
ちゃんと成長してるね、安心だね、とホッとしたんだと思います。
 
もう一箇所泣けて仕方なかったのが、同じく唯の台詞でした。
他のバンドがバックステージパスを山ほどギターケースに貼っているのを見て律は「ライブ重ねてきた強者だな」と言います。それに対しての唯の台詞。
「じゃあ、私たちはこれが一枚目だね。」
これがクライマックスじゃない。
これが最後でもない。
まだ続くよ、私たちはこれからも続くよ!
前進は、するよ!
 
 
二期とかね!
 

                                                                                                                                          • -

 
今回の物語の仕掛けで素晴らしかったのは、ライブ後のだらだら年越しをしっかり描いていたことだと思います。
全く別世界のすごい状態に彼女たちを進めて置いて、ちゃんといつもの日常に戻ってくる。突然別物に変身したんじゃなくて、あくまでも彼女たちの生活の中の一つの出来事扱いなんです。つじつまがあうような立派なことは何もない、いつものテンポの彼女たちがきちんと最後に描かれます。
あとはさわちゃん絡みの話でしょうか。これは…うん、ここだけは書かない方がいいと思うので書きません。本当によかった。
ああ、これがまた見られると思うだけで泣く。年末に同人誌を作って、ライブ行って、そこから「けいおん!」見ると泣いてしまうのが分かっているのであんまり見ないでいたんですが、やっぱり見たら泣けますね。なんでこんなにまぶしいんだろう。
けいおん!」大好き!
 

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番外編のみどころは?と聞かれたら「全部!」ってくらいいっぱい詰まりまくってるので、思いつき次第小出しにして行こうと思います。話したいことが多すぎる。それぞれの視点から見たライブハウスはどうだったかとか。
本当に…「けいおん!」は面白いな…!
律っちゃん隊員的なみどころとしては、ラストで澪と二人だけで年を越すシーンでしょうか。うん、二人だけだよ。嘘じゃないよ。ほんとだよ。
 

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考えてみたら、そろそろ「けいおん!」を見て楽器をはじめ、今もやり続けている人たちがうまくなってきている時期な気がします。
ちょうど、唯達がライブハウスデビューしたように、そういう人たちもバンドデビュー、ライブデビューしていたら、いいなあ。
 
余談。
シンボルマークが温泉マークが元って…YMOですかいね?
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