たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

その時ぼくは彼女に「バブみ」を感じたから

「バブみある」って単語、すごいね。
「甘えたくなるくらい母性に満ちている」という意味で使われている様子。
オタクの愛情表現である「尊い」「バブみ」とは - Togetterまとめ
アニヲタWiki(仮) - バブみ

女の子に対する「萌え」を表現する言葉は、時代とともにさまざまなものが登場してきた。
例) 萌え豚という蔑称を逆手に取った「ブヒる」、より下半身に直結した感情を表す「シコれる」etc.
しかしそれらは基本的に「可愛い」の言い換えであり、女性に母性を感じる男は基本的に全員
「マザコン」の範疇でくくられ、年上好きと決めつけられてきた。
 
しかし近年になり、年下のアニメキャラや声優に「母性」を求める声が高まってきた。
それまで年上の女性に対してしか抱かれないと思われてきた「母親になってほしい」「産まれたい」「育てられたい」
それらの感情を年下の女の子に対して抱く彼らは、自らの感情をこう表現するようになった。
「バブみがある」 と……

赤ちゃんのバブバブ。
 

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これを使いたいか否かは別として、まーよくできた単語だなーと。
今まで意外と、性欲ではなく「母性」への感動を表現する言葉ってなかった。
ザコンって言われると違うんだよなあ。
 
ざーっくり言えば、ララァに対するシャアの感情とか、レイに対するシンジの感情。

キャラで言えば、バブみあるのはそうだなあ。
「艦これ」の愛宕さんとか、で合ってますか?
え、体型で言ってるだけだろうって? うーんそうかも。
もっとこう、溢れ出るものでしょうかね。
 
咲めも! : 「バブみ」という概念から考察する咲-Saki-キャラ
なるほど、体型じゃないな。
「私に帰りなさい」「はい受け入れてあげますよ」級のキャラ、ということでしょう。
だったら、「艦これ」なら、雷のほうがバブみありますね。
 

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年下の女の子に、母性を感じて「バブみある」というのは、かなり倒錯しているように見えます。
っていうか倒錯はまあ、してます。
 
けど、そういう感情を持ってはいけない、ってことはないよね。
 
20・30になって、たとえばおねえちゃんキャラにときめいた場合。
絶対そのおねえちゃんって、自分より年下じゃないですか。
そこに姉性(母性に対抗してみた)を求めてなんの問題が有るだろうか。
 

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「バブみ」はもうちょっとややこしい。
別に、母親になってもらいたいわけではない。
そのキャラクター「母性」を感じるか否か。なので対象は幼児でもいい。


 
てか「母性ってなによ」って話ですね。
個人的に、バブみに通じる「母性」は以下。
・受け入れてくれる包容力
・歩む道筋をひっぱってくれる先導力
・見捨てないでくれる安心感
 
さすがに「育ててくれる」とかははいらないと思っています。
ていうかヒモになりたいわけじゃないんだよね。
認めてくれそうかどうか。承認してくれそうかどうか。
「〜〜そう」、と曖昧なのがミソ。
 

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ってことはこれじゃないの?

この都会は戦場だから
男はみんな 傷を負った戦士
どうぞ 心の痛みをぬぐって
小さな子供の昔に帰って
熱い胸に 甘えて

実年齢がどうか、ってのは一旦忘れてください。
精神的に「疲れきった身体を投げだし」たいキャラって、案外いると思います。
それは、実はイメージの中では恋人かもしれない。
母性の部分だけ引っこ抜いて「バブみ」と称したのなら、なんとなーくわかる気がします。
まさにララァ綾波レイ
 

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もっと観念的。自分がそこに介在せず「このキャラクターは母性(上の定義にあわせて)をもっているような気がする」という、形容です。
一見「バブみある」って、気持ち悪く聞こえるじゃないですか。お前甘えたいのかよと。
はい、気持ち悪い単語だと思いますぼくも。
 
甘えたいんじゃないよね。
「バブりたい」だったら、自分が対象に対して、甘えたいという動詞になる。
「バブみある」は相手に対して「美しい」「かわいい」「萌える」の延長線上の、形容表現。
褒め言葉ならまあ、いいのかなー?という気が、今のところしています。
「バブみ」の上位が「○○から生まれたい」
 
ただ、現実の人に対して使うのはちょっと気をつけたい。
「美しい」「かわいい」は褒め言葉だけど、「バブみある」は、母性しか見ていない。
こちらの偏見でカテゴライズする暴力になります。
ユリ承認みたいなもんです。
違うか。
こちらが「そう思っている」だけだから、相手に対していう言葉ではない。
 
だから内輪で「バブみある」という分には、新しい単語として楽しめる。
外に出した時「気持ち悪い」と言われるのは、誰もがわかっている、不思議な単語だなーと。
 
少なくとも、モヤモヤしていた「母性がある魅力」を表現しただけでもすごい。
伊東ライフの「がんばれ♥がんばれ♥」と同じくらいすごい。(てかこれは同義かな?)
 

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最初「バブみ」を聞いた時、ものすごいマイナス方面にイメージが動きました。
怖いのです。さっきの「聖母たちのララバイ」もそうだけど。
退行を受け入れていますか?っていう問いかけに感じてならない。
 
パッと思いつくのは、藤子・F・不二雄の『やすらぎの館』というSF短編。
精神がつかれた社長が訪れた「やすらぎの館」。
子供服を着て遊んでいると、同世代の子供服を着た俳優が彼をいじめてくる。
そこにやってきたのは巨人症の和服女性。
これいかんとすぐ帰ろうとするものの、いつしか社長は幼児退行をはじめて、甘え始める……という話。
 
精神が本当に疲れている。ちょっと怖い。
ちょっとじゃないよ、めっちゃ怖いよ。
まあ、これは「バブみある」という相手への形容ではなくて、「バブりたい」という動詞寄りでしょうね。
 
もう一つ。

面影ラッキーホールの「おかあさんといっしょう」
おかあさんといっしょう/面影ラッキーホール - 歌詞検索サービス 歌詞GET

ほら大人しく目を瞑っていなさい
力を抜いて目を瞑っていなさい
天使のような笑顔にママは十字架背負うわ

ちょっとどぎついPVなので、不安を感じた人は見ないこと推奨。
「バブみある」ではなく「バブりたい」になったときの心情を皮肉った歌です。
何もかも捨てて幼児退行しきった末路。
自己承認欲求の、極北。
 
多分この歌にあるような感覚があるから、「バブみある」という語に不気味さを感じる人が多いんだと思う。
ぼくも最初聞いて思い浮かんだのがこの2つだから、抵抗あったもの。
 

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きっと、使い始めた人たちはその「抵抗」を楽しんでいるんだと思う。
逸脱しちゃえ、っていう気持ち。だから「気持ち悪い」って言われても、上等なんじゃないかしら。
表には出さないけれど、と。
 

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尊い」も最近使われています。
言葉としてはどっちも新語で、面白いなーと思う。
「バブみある」や「シコリティ」は、まだ自虐的、これは恥ずかしいことだ的な意識をもって笑っている言葉なので、そこそこ受け入れやすいです、ぼくは。
「腐る」とか「ブヒる」とかに近い、自虐感。
 
尊い」は、どーも苦手なんだよなあー。
言葉としてはぴったりした意味わかるし、尊いとしか言えないものがあるのはわかる。面白い言葉だと思う。
ただ絶賛する言葉、かつ自虐感ない単語の方が刃が鋭いので、使いドコロが難しい。
上手く使わないと、対象を褒めるつもりが、ひとつの単語で終わってしまう可能性がある。
上手く使えば、効力を発揮しまくるのですが。
なので、自分では極力使わないルール定めてます。
 

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女子高生が時代の中でどんどん、自分たちにしか通じない単語を生み出しているのは時代の常。
でも最近はオタクの方が、オリジナル単語ばんばん生み出している気がして、ちょっと面白い。
 
 
 
おわり。