たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

光学迷彩についてしらべてみた。その2

 
Teck総研10月14日(土)にエンジニア職業説明会
光学迷彩の説明会および体験会があるそうです。
うはーーーーいきてーーーーーー!
 
昨日に引き続き光学迷彩の話です。
光学迷彩の仕組みとして現在研究されているものは大きく分けて三つです。

1、カメラで背景を取り込み、特殊素材の服に映す。(相対投影型)
2、カメラで背景を取り込み、服自体に映す。(自主投影型)
3、光を湾曲させる。(インビジブルウーマン型)

できるだけ簡単に、へっぽこな絵くっつけてまとめてみたいと思います。

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  • 1、相対投影型

人間の目が物を見るのは光が物体に当たって反射するからです

反射・鏡や水面など平面なもの

乱反射・普通はコレ。乱反射の仕方で色もかわります。
 
それを、少しいじくります。普通の反射・乱反射は角度を変えると見え方がかわるので「動いている」と感じます。
しかし、「どこから見ても同じ」反射をする素材をつくれば、動きに関係なく一定の見え方になります。

それがこの再帰性反射材」と呼ばれるものです。
どこから見ても、同じように光って見える、という、ある意味光学迷彩の逆の「どこからでも見える」素材です。
これ、よく使われているんですよ。どこから見てもよく見えるもの。
そう、道路の看板
 
さて、その「どこからでも見える」のを逆手にとって利用します。
普通、洋服に光や映像を当てると影ができたりしわでゆがんだりしますよネ。
それが、「どこから見ても同じ」反射素材をつかうことで、さまざまな方向から映した映像が、そのままの状態で見えるようになります。

拡大図。
球がしきつめられているので、どこから光があたっても、同じ方向に跳ね返すことができます。


カメラで背景を撮影。それをリアルタイムで再帰性反射材に映せば、ほとんど背景に溶け込むかのようにみせることができます。
逆に言えば、再帰性反射材を使っていないと、この形での光学迷彩はできない、ということになります。


攻殻機動隊の1シーンと、Teck総研のレインコート。
見てのとおり、レインコートの部分以外にも投影はしているはずですが、そこは透過しているようには見えません。

さきほどの図は超簡略化したものなので、もっと詳しい仕組みを知りたい方はこちらを見てください。
ハーフミラー(半分透けて半分反射するやつ)と二個のカメラ・プロジェクタを使ってさらに精度と自由度をあげています。

光学迷彩の世界へようこそ!
「光学迷彩」のデモ
光学迷彩 Optical Camouflage
こちらは開発したTeck総研のページで、動画をたくさんおいています。
 
この技術の最大のポイントは「背景をリアルタイムで投影」すること。
これ、一瞬でもずれたら台無しになります。
 
テレイグジスタンス実現のために応用できる技術のひとつ「光学迷彩」
「そこにないものをあたかもあるように見せる」光学迷彩も可能です。
分身の術も可能、ってことですネ。
しかし、ここにあるように、ひじょーーーーにその角度調節が難しい!
コンピューターがロボット化されて、自動調節するような研究もされているそうで、そのへん大いに期待です。

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  • 2、服そのものがモニターになっている。


先ほどの「位置が固定」という難点を克服すべく、現在開発中なのがコレ。
 
投射型透明マント(英語)
And Tomorrow のところを見ていただけるとわかりやすいと思います。
ようは、全身に全方向のカメラをつけて、同時に洋服そのものに投影しようというもの。

素子のなんかは、スイッチいれたり切ったりしてるので、コレだと思います。
洋服に映像ー?って気がしますが、ひそかにこれも開発中。
 
仏テレコム、洋服に光ファイバーを織り込んだディスプレイ開発
画像が荒いのはまだ開発中だからとしても、これ面白いですネ。
テレビ中継とかくらいなら映せるかも?って思いました。サンドイッチマンも「映像マン」に進化。
 
はて、ほいじゃどんなものでディスプレイをつくればいいかという問題になります。 
有機ELディスプレイ
液晶ディスプレイの、有機物をつかってペラペラにできるもの、という感じです。
メリットはそのはっきりした映像、映像を映すスピード、使用電力の少なさ、寿命の長さ、薄くしたり形を変えたりという汎用性にあります。
現在でもつかわれているようですが、これを応用すれば洋服状の液晶ディスプレイも・・・可能?
そういう意味では、リアルタイム投影ができるようになれば、わりと「一方向からの光学迷彩」は近々可能な気がします。
全方位カメラ、となると、これはちょっと遠そうですネ^^;
 

つまり、体全体を布状のモニターで包んでそれに背景を表示しているような状態です。
話の設定ではその光学迷彩服をイスラエルが開発し、それを装備した「カメレオン部隊」なる特殊部隊を創設するのですが、
その圧倒的な性能と強さのためにその部隊が暴走をし始め、それを止めるためにゴルゴ13に依頼をする、という筋書きです。
ゴルゴ13 VS 光学迷彩

先日も書いた、ゴルゴ13に出てくる「カメレオン部隊」の話。
先ほどの投射型と違って、こちらはまさに軍にとってはうってつけの防具。
便利な使い方は数多くありそうですが、間違いなく「メタルギアソリッド」のステルス迷彩のように、兵器として使用されることは目に見えています。
うーん、ちょっと複雑なとこデス。

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  • 3、インビジブルウーマン型

「ファンタスティックフォー」のインビジブルウーマンの理論で透明化しようという研究がイギリスやロシアで行われています。


インビジブルウーマンはフォースフィールド(体の周りに一定の力の場を張る)を操ることができます。
それによって、光を自在に屈折させ、透明になるという仕組みです。
同じように、服の周りに光を曲げる力場をつくるか、あるいは服そのものが光をうまく屈折させることによって、光学迷彩化できるのでは?という理論です。

レオンハルト氏は、石の周りを流れる水を例に説明した。
水はあたかもそこに何もないかのように流れてきて、石の周りを回り、流れていく。
「水を光に置き換えると、光が人や物体を避けて通るために何もないように見えるだろう。
その物体の後ろから、あたかも前に何もないかのように光が届いているように見えるだろう
「透明人間は実現できる」――英科学者の理論

そこに「ある」けど、「ない」ように見せるというテクニックです。透過も投影もしないわけですネ。
なんか無茶な感じがしますが、理論上できるっていうんだから、うーん、できるの?
レーダーや電磁波を曲げることで、「存在を確認されない」という「ステルス機」は、できそうですネ。

Gadomsky氏は長年、ナノサイズの金粒子に関する研究に携わっており、今回の光学迷彩はその賜物である。
この光学迷彩は、極微的なコロイド状の金粒子をサブミクロン単位の膜状にしたものである。
この膜によってあたかも物体がそこに存在しないかのように見せることができるのである。
光学迷彩を開発―露

案外これ、ひょっとしたら「固定物」に関してはできるんじゃないかという気がしてきました。


なんかむちゃくちゃな絵ですが、こうなるのが理想なわけです。光学迷彩
たとえば、水の中にガラス球をいれると、屈折率が違うので、入っているのがまるわかりです。
しかし油の中にいれると屈折率が同じなので、完全に透過しているように見える、なんていう実験があります。
同様に、固定物で空気の光の屈折を妨げないor屈折しても元に戻せる仕組みができれば、透明に見えるんじゃないかな?
もっとも、人体にはまだまだ難しい研究だとは思います。

  • まずはロマンから始まるのが科学

「そこまでして何の役にたつの?」というのが一般的だと思います。
どんなにお金かけてもSFにすぎない、って言う人もいるかもしれません。
しかし、科学って・・・そういうとこからはじまるじゃないか!興味だ!ロマンだ!愛情だ!すいません興奮しました。

そしてもうひとつのアプローチが、超能力の工学的な実現でした。昔から人の夢として「超能力がほしい」というものがあった。透明人間にしてもそう。こうした技術は、情報技術との融合があってこそ。「光学迷彩」で「透けて見える」というのも本来、人の目では見えないようなものを、コンピュータデバイスの力を借りて、あたかも見えるようにするように作ってあげる、という技術なんです。透明人間という超能力をどう工学的に実現すればいいか、というところを考えて生まれたアイデアでした。
開発者 稲見昌彦インタビュー

この考え方最高にスキです。
こういうのが、宇宙にいったり、医療をすすめたりと、世界を開くんだ。
 
リアルタイム投影を使う技術はさまざまな面で応用できそうです。
ただし、この技術は「光学迷彩を使っている」と認識している場面でしか使えません。
だってね、投影モニタを隠したり、ズレたり、再帰性反射材ないとまったく意味なくなっちゃいますモノ。
そうだなー、リンク先の他に思いついたものとしては、危険な場所にモニターをつけたヘビ型ロボットを忍び込ませて、壁の向こうを透視しながら救助とか。あと単純にインテリアとかも面白そうです。
考えれば考えるほど夢膨らみますねコレ。
くそう、14日の説明会に行きたい><
 
ロボットもそうですが、やはり「こういうのを作りたい」という子供の時の夢が、現在の日本の工学を支えていると思ってます。文系の自分が言っても説得力ないですが。
平和利用のための、ロマンあふれる研究をこれからも続けていってください。
んで、光学迷彩できたらどうするかというと・・・エッチなこと?(最初に戻る
 
オマケ
透明人間になる薬を体中に塗布して自信満々の男、いとも簡単に撃たれて死す(なんでも評点)
・・・まあ、こういう人もいる。
写真にうつらない男(X51.ORG)
光を曲げている、という可能性は0ではないッスね。
僕の見た光学迷彩
CG処理らしいですが、これはすごい。動画アリ。
透明人間でGO!!〜光学迷彩マン警察に捕まる!?〜
それを利用してみた。いや、めっちゃ見えてるから。
透視マシン発明される?(医学都市伝説)
体壊しそうならしかたないネー。
光学迷彩装置(英語)
多分すごいこと書いてあるんだと思いますがすいません、読めません。
光学迷彩(っぽい)服

っぽいだけ。しかしこれはアートだなあ。
光学迷彩水着
3DCGですヨ。
マルセイユの透明人間
マルセイユに伝わる都市伝説。
透明人間をモチーフにした写真

フォトショ職人ってどんなテクもってるんだロ。少しわけてヨ。
笑い男摸倣ツール
The Stealth(ザ・ステルス)
USBカメラを使って遊べる迷彩&笑い男ツール。
これ、めっちゃ面白いのでゼヒ。