たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「こどものじかん」りんちゃんの心の闇は、誰が産んだもの?

●ロリエロの裏に●

アニメ版が物議をかもしつづけていますが、マンガ原作の方は着々と根にもぐっていく展開で、エロいこと考えているひまが案外ない気がします。そんな作品が「こどものじかん」。
この作品がロリエロく見えるかといえば間違いなく見えるんですが、一通り原作を読んでいる人ならそれが表向きのものであることに気づかれる方は多いはず。加えてそういう描写を楽しみつつ、リアルな学校現場や少女の心の闇の部分をオブラートにつつんでそっとお茶と一緒に差し出してきていることも。
さて、この饅頭食うべきか食わざるべきか…もちろん食べようじゃないか。
 
こどものじかん」ってなんぞや、という人のほうが多いと思うので一応大雑把にまとめておきます。
とある若い男性教員が多感な小学校3,4年生の担任をやる中で、少女たちの心に触れる物語です。
ってかくとすげー面白くなさそうですね。ここにヒロインりんちゃんの、性的なにおいのする猛攻が加わるので、作品は一気に花が咲きます。そして豪華に咲いた花の後ろで、教師の悩みや、大人と子供のギャップ、子供の心の裏に眠る毒や人間関係の複雑さがしっとりと染めこまれているわけです。
うまいなあと思います。正面から描いたら魅力の少ない地味な話を、ロリ分供給でハードルを一気に下げて、物語の深層をどどんと突き出すんですもの。今まで教育問題とかに興味のない人でも、楽しんで読める仕組みですよね。もっとも逆を求めている人にはハードルがあがっている気もしますが、マンガが好きなら乗り越えてみよう。
4巻の最後まで読んでおられる方なら分かると思いますが、最近に入ってますますその心の闇の部分へ迫る描写が増えていて、物語がずいずいと人間の濃い方向を掘り下げていくのを感じます。
 
今月はそんな部分を象徴するかのようなナイフを突き出してきました。

つってもこれ見たらそんな感じ微塵も感じないですよね。
といっても保護者のレイジとオフロに入っているという、ほほえましいシーン…だと思います。多分。
そして一緒に入っているレイジはというと。

股間に花を咲かせていました。
なにしてんだあんた。
 

●心の闇へ●

このシーンはまあ、笑い飛ばしていいと思うのですが、彼の考えている計画を知ってしまうと笑えなくなります。
このレイジという青年、りんちゃんのお母さんと恋仲にありました。
りんちゃんは、着々とそのお母さんの面影を映し出し始めています。
そして、レイジは、りんちゃんを美しい母親のような女性に成長させ、16才になったら…とたくらんでいる、とんでもないなんちゃって光源氏なのです。
 
いやあ、光源氏ならまだよいものの、いたいけな10歳の子供を手なづけるかのように過保護に育てて、それはないですって。
とはいえ、彼のその計画はりんちゃんの心を蝕んでいるわけではないです。

彼女の心の闇がえぐりだされるシーン。
2巻を読んでいる方なら、息が詰まりますよねこれみたら。
 
りんちゃんの母親は死んでいます。
愛情を最大限にかけてほしい時に、なくなりました。もうがりがりに衰弱して。「死んじゃってごめんね」と書き残して。
その時にりんちゃんは、涙も流さず、ただ折鶴をおり続けていたのです。
彼女はその後に声を失い、一言もしゃべらなくなります。
今の、明るくてエロくて元気なりんちゃんの、完全に裏の部分です。明るく楽しくすればするほど、そして青木先生と接触して心を開けば開くほど、その闇が顔をもたげてきます。
大人にはむかっておませなことをしていれば、それは出てこなくてもすんだのに。
 

●薬。●

青木先生は「傷に触れずにどうやって治せっていうんだ!」と言います。
親友の黒ちゃんは「りんちゃんには薬が必要よ」と言います。
彼女の心には確かに闇があって、それを治すには傷を開いて薬を塗りこむ必要がある。そう二人は考えているようです。
 
実際に子供の心を癒すとするならば、これ非常に難しいですよね。
直に薬として傷に触れる必要がある、というのは正しい場合もありますし、間違っている場合もあります。家族の愛情で包み続けることで薄まり消えていく傷もあります。
しかし、りんちゃんには家族がいない。
青木先生は、「先生」として傷に触れるの?「父親」として彼女を包むの?
今月は必死に「父性」と言い張っていましたが、彼女に必要な愛情は一体なんなのか、今の時点では分かりかねます。ただ、青木先生が性欲に身を任せてしまった瞬間に、りんちゃんの心と体は確実に破壊されそうであることを考えると、恐ろしい。愛で包めるのか?というか…癒す愛ってなんなのですか。
 
大人よりもませた言動している彼女ですが、今月の描写でそれがあまりにももろい物であることが明るみに出ました。
これで青木先生次第ならば、がんばれと応援したくなるのですが…レイジだよ、レイジがナニしでかすか分からないから困るんだよ!
こどものじかん」のテーマはたくさんあるのですが、今後どっかどっかと噴出しはじめ、読者を煙に巻き続けていきそうです。
 
というわけで、こどものじかんは深いよ!ということを書きたかったわけですが、アニメ化グッズを見て仰天。

ぶるまくら。
ごめん、やっぱり「こどものじかん」はネタ的要素も、意図的にありますね。
ネタも骨太ストーリーもしっかりしているから、面白いということで一つ。
 
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アニメはどっちに向かうのかなー。風当たりの強さに関してはかわいそうな気すらします。ただネット放送もはじまっていますし、そちらに期待。二話の学級崩壊中の様子と、授業の進まなさは…なかなか胃が痛むようにいやな感じで素晴しいじゃあないかあ。
 
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『ロリコン死ね』ってメールが来ました(10月25日)(私屋カヲル)ゴルゴ31より)
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